【2024年度介護報酬改定】「口腔・栄養」巡る改定の方向性まとめ(運営基準・加算)

2023.12.11
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2024年度介護報酬改定における推進テーマの一つに、口腔・栄養状態改善のための取り組み推進があります。
12月11日に示された「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」にはこのテーマを巡って幅広いサービスにおける改定項目が盛り込まれました。

例えば、訪問系サービスや短期入所サービスにおいては、介護支援専門員や歯科医療機関への情報提供を評価する加算が新設される見通しです。 また、介護保険施設では管理栄養士による入所者等の情報提供が新たに評価されることになりそうです。
ぜひ自事業所で必須となる対応や、新たな加算算定のための取り組みをご確認ください。

訪問系サービスなどでケアマネへの情報提供を新たに評価

「口腔・栄養」が議題に挙がった直近の社会保障審議会・介護給付費分科会(11月27日)を振り返ると、厚生労働省は改定の方向性として以下6つの切り口を示していました。

ここで検討された内容は今回の「審議報告(案) 」にも全て反映されています。
まず、6テーマに沿って審議報告案に記載された改定項目を以下で確認します。

口腔管理の連携に対する評価【訪問介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(介護予防)短期入所生活介護、(介護予防)短期入所療養介護サービス】

まず、現行では口腔に問題がある利用者の把握や歯科医療機関との連携における報酬上の評価がない訪問サービスや短期入所サービスについてです。審議報告案ではこれらのサービスに対し、

  • 歯科医療機関と介護事業所の連携のもと、介護職員による口腔衛生状態及び口腔機能の評価の実施並びに利用者の同意のもとの歯科医療機関及び介護支援専門員への情報提供を評価する新たな加算を設ける。

ことが盛り込まれました。

なお、検討の際は、”介護職員による評価”に使える指標例としてOHAT(ORAL HEALTH ASSESSMENT TOOL、下記の画像参照)が示されていました。

(【画像】第232回社会保障審議会・介護給付費分科会資料より(以下同様)

介護保険施設入所者等の口腔管理の充実

こちらは全ての施設系サービスにおいて、職員による適切な口腔管理等の実施と歯科専門職による適切な口腔管理を促すための改定項目です。

  • 施設系サービス事業者に利用者の入所時及び定期的な口腔衛生状態及び口腔機能の評価の実施を義務づける

なお、23年度入所者の全員に対して口腔のスクリーニングを実施していない施設は老健で46.1%、 介護医療院では41.8%でした(23年度の調査) 。

また、特定施設と認知症対応型共同生活介護等の口腔・栄養スクリーニング加算の要件に「入所者毎の口腔状態の確認の実施」を加えることも検討されていましたが、今回の審議報告案には記載がありませんでした。

口腔衛生管理体制加算の見直し【(介護予防)特定施設入居者生活介護サービス】

  • 特定施設入居者生活介護等における口腔衛生管理体制加算を廃止し、同加算の算定要件の取組を一定緩和した上で、基本サービスとして行うこととする。その際、3年の経過措置期間を設ける。

本件は、12月4日に先んじて開示された運営基準の改正案にも明記されている項目です。

終末期がん患者等の利用者への対応【(介護予防)居宅療養管理指導(歯科衛生士等が行う場合)】

  • 終末期がん患者の利用者について居宅療養管理指導(歯科衛生士等が行う場合)の算定回数上限を緩和する。
  • 一時的に頻回な介入が必要と医師が判断した利用者について期間を設定したうえで追加訪問することを可能とする見直しを行う。

介護における栄養管理に関する情報連携【介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院】

  • 介護保険施設の管理栄養士が、介護保険施設の入所者等の栄養管理に関する情報について、他の介護保険施設や医療機関等の医師又は管理栄養士、及び介護支援専門員に文書等で提供することをすることを評価する新たな加算を設ける。

再入所時栄養連携加算の対象の見直し(介護保険施設)

  • 再入所時栄養連携加算の対象に「医療機関から介護保険施設への再入所者等であって療養食を提供する必要性がある利用者」を算定対象に加える。

2024年度介護報酬改定に関する審議報告案に盛り込まれたその他の改定項目

このほかにも審議報告案には【口腔・栄養】に関する記載があります。上記6つのテーマ以外の内容を抜粋します。

通院時情報連携加算の見直し 【居宅介護支援】

  • 通院時情報連携加算について、利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化した上でケアマネジメントの質の向上を図る観点から、医師の診察を受ける際の介護支援専門員の同席に加え、利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合を同加算の対象とする

リハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進 【訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション】

  • 通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算について、以下の要件を満たす場合を評価する新たな区分を設ける。
    • 【ア】 口腔アセスメント及び栄養アセスメントを行っていること。
    • 【イ】 リハビリテーション計画等の内容について、リハビリテーション・口腔・栄養の情報を関係職種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFE に提出した情報を活用していること。
    • 【ウ】共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること。
  • 報酬体系の簡素化の観点から、通所リハビリテーション、訪問リハビリテ ーションのリハビリテーションマネジメント加算(B)の要件を新規区分とし、加算区分を整理する。

介護保険施設におけるリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進 【介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健 施設、介護医療院】

  • 介護老人保健施設におけるリハビリテーションマネジメント計画書情報加算、介護医療院における理学療法、作業療法及び言語聴覚療法並びに介護老人福祉施設等における個別機能訓練加算(Ⅱ)について、以下の要件を満たす場合について評価する新たな区分を設ける。
    • 【ア】口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していること。
    • 【イ】 リハビリテーション実施計画等の内容について、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の情報を関係職種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じて LIFEに提出した情報を活用していること。
    • 【ウ】 共有した情報を踏まえ、リハビリテーション実施計画または個別機能訓練計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること。

リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し 【通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院】

  • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組を推進する観点から、 リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直しを行う。

居宅療養管理指導における管理栄養士及び歯科衛生士等の通所サービス利用者に対する介入の充実 【(介護予防)居宅療養管理指導】

  • 居宅療養管理指導費について、通所サービス利用者に対する管理栄養士による栄養食事指導及び歯科衛生士等による歯科衛生指導を充実させる観点から、算定対象を通院又は通所が困難な者から通院困難な者に見直す。

運動器機能向上加算の基本報酬への包括化【介護予防通所リハビリテーション】

  • 予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進するとともに、報酬体系の簡素化を行う観点から、以下の見直しを行う。
    • (【ア】 運動器機能向上加算を廃止し、基本報酬への包括化を行う。 )
    • 【イ】 運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定していることを評価する選択的サービス複数実施加算について見直しを行う。
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