2024年度(令和6年)診療報酬改定に向けた検討を進めている中央社会保険医療協議会(総会)では12月15日、「在宅」「入院」「歯科診療」など大きく6つの領域が取り上げられました。
訪問看護については、「医療ニーズの高い利用者の退院支援」「集合住宅等における効率的な訪問看護等」「介護保険における訪問看護との制度上の差異」、の3つの切り口が議題となっています。
*こちらの内容は「カイポケ訪問看護マガジン」の記事の一部表現を変更して掲載しています
訪問看護にかかわる3つの論点
以下が今会合における論点です。
①医療ニーズの高い利用者の退院支援の評価について
退院日当日の合計90分を超える複数回の訪問看護において、医師の指示や利用者及び家族等の求めに応じて、必要な医療処置や利用者の状態悪化への対応等を行っている。実態を踏まえ、退院日当日の退院支援指導の評価について、どのように考えるか。
②集合住宅等における効率的な訪問看護等について(引き下げの検討)
同一建物等に居住する利用者への訪問の割合が極めて高い訪問看護ステーションでは、そのステーションの利用者の多くが同一法人の持つ建物に居住している割合が高い。このような訪問看護の評価を見直すべきではないか。
③介護保険における訪問看護との整合性について(身体拘束の禁止、管理者のテレワークなど)
- 介護保険における訪問看護では、身体的拘束等の原則禁止や記録に関する規定を運営基準に設けることを検討していることを踏まえ、同様の規定を医療保険の訪問看護にも設けることとしてはどうか。また、訪問看護ステーションにおける管理者に係る取扱いについて、介護保険の訪問看護と同様にテレワークが可能となるよう明確化してはどうか。
- 介護保険における訪問看護にでは、離島等に居住する利用者に対して医師が行う死亡診断等を、ICTを活用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が補助した場合の評価を検討していることに伴い、医療機関が死亡診断加算のみを算定可能な場合に、連携する訪問看護ステーションが介護保険のターミナルケア加算を算定し、遠隔死亡診断補助を行った場合を加えてはどうか。また、医療機関からの訪問看護について、離島等に居住する利用者に対して医師が行う死亡診断等を、ICTを活用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が補助した場合を評価してはどうか。
退院日の退院支援指導の評価見直しを検討
このうち、「医療ニーズの高い利用者の退院支援について」は、
- 退院日当日に2回以上の訪問看護を受けた利用者の多くは末期悪性腫瘍等の利用者であった
- 退院日当日の訪問が合計90分以上となっている利用者が全体の1割強にのぼる
といった実態から、退院支援指導の評価を手厚くするかどうかが焦点となっています。
(【画像】第573回中央社会保険医療協議会総会資料・在宅その6より)
日看協の専門委員が退院日の退院支援指導について評価アップを要望
当日の会合では、木澤晃代専門委員(日本看護協会常任理事)が合計90分を超える複数回の訪問看護の評価アップを求めました。
また、集合住宅への訪問については、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)から評価の引き下げを求めました。
介護保険制度との整合性をとることについては異論は出ておらず、厚労省の提案通りに進む可能性が高そうです。