第1回 介護経営ドットコム「事業所運営の状況に関するアンケート」の集計結果発表!

2023.11.20
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介護経営ドットコムでは今年9月、会員を対象にした「事業所運営の状況に関するアンケート」を実施し、234名のみなさまから回答をいただくことができました。ご協力いただき、ありがとうございます。

アンケートの集計結果では、事業所規模ごとの売上や行っている業務改善の取組み、職員の確保ができている要因などをご紹介していますので、みなさまの事業所運営のお役に立てれば幸いです。

結果の概要

今回のアンケートでは、会員の皆様の事業所における人材確保や業務改善の取組み等の事業所運営の状況についてお聞きしました。

厚生労働省がAIによるケアプラン作成について消極的な姿勢を示したというニュースもある中で、『現在はできていないが業務改善のためにいずれ行いたい取り組み』で「AIによるケアプラン作成システム」と回答した人が27.6%と、AIによるケアプラン作成へのニーズは一定程度あることが分かりました。

アンケート概要

  • 調査期間:2023年9月21日~10月4日
  • アンケート方法:介護経営ドットコム会員を対象にメールを送付
    • メール送信数:1万8,832件
  • 有効回答数:234件

回答者の属性

回答者の役職

回答者の役職は法人代表が39.7%、管理者が28.2%、施設長・事務長が17.1%となっています。

回答者の役職
(回答者の役職、n=234)

回答者のサービス種別

主たる業務を行っている事業所のサービス種別は、居宅介護支援が25.2%、地域密着型通所介護が14.5%、訪問介護が14.1%、通所介護が13.7%、訪問看護が6.8%となっています。その他には介護老人福祉施設、短期入所生活介護、通所リハビリテーション、介護老人保健施設等が含まれています。

回答者のサービス種別
(回答者のサービス種別、n=234)

それでは、ここからはアンケート集計結果の詳細をご紹介していきます。

サービス種別ごとの売上

売上①:居宅介護支援は50万円未満が37.3%

居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上は、「50万円未満」が37.3%、「50万円以上100万円未満」が25.4%、「150万円以上200万円未満」が10.2%となっています。

居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上
(居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上)

居宅介護支援事業所の規模別の売上を見ると、ケアマネジャーの常勤換算数が1人以上2人未満の小規模な事業所は、1カ月当たりの売上が「50万円未満」の事業所が大半を占めています。

常勤換算数が1人以上2人未満の居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上
(常勤換算数が1人以上2人未満の居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上)

一方、ケアマネジャーの常勤換算数が5人以上の大規模な事業所は、売上が「300万円以上」の事業所が一番多いですが、「100万円以上150万円未満」、「200万円以上250万円未満」の事業所もあり、売上にばらつきがあることが見て取れます。

常勤換算数が5人以上の居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上
(常勤換算数が5人以上の居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上)

売上②:訪問介護は200万円未満が54.5%

訪問介護事業所の1カ月あたりの売上は、「100万円以上200万円未満」が30.3%、「100万円未満」が24.2%、「600万円以上」が15.2%となっています。

訪問介護事業所の1カ月あたりの売上
(訪問介護事業所の1カ月あたりの売上)

訪問介護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ訪問回数が500回未満の事業所は、1カ月あたりの売上が200万円未満の事業所がほとんどとなっています。

1カ月あたり延べ訪問回数が500回未満の訪問介護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ訪問回数が500回未満の訪問介護事業所の1カ月あたりの売上)

一方、1カ月あたり延べ訪問回数が500回以上ある事業所は、すべての事業所で1カ月あたりの売上が200万円を超えており、600万円以上の事業所も4割存在します。

1カ月あたり延べ訪問回数が500回以上の訪問介護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ訪問回数が500回以上の訪問介護事業所の1カ月あたりの売上)

売上③:訪問看護は600万円以上が25%

訪問看護事業所の1カ月あたりの売上は、「600万円以上」と「300万円以上400万円未満」が25%、「100万円以上200万円未満」と「200万円以上300万円未満」が18.8%となっています。

訪問看護事業所の1カ月あたりの売上
(訪問看護事業所の1カ月あたりの売上)

訪問看護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ訪問回数が400回未満の事業所は、1カ月あたりの売上の事業所が「300万円以上400万円未満」が最多となっています。

1カ月あたり延べ訪問回数が400回未満の訪問看護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ訪問回数が400回未満の訪問看護事業所の1カ月あたりの売上)

一方、1カ月あたり延べ訪問回数が400回以上ある事業所は、1カ月あたりの売上が「600万円以上」の事業所が約7割を占めています。

1カ月あたり延べ訪問回数が400回以上の訪問看護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ訪問回数が400回以上の訪問看護事業所の1カ月あたりの売上)

売上④:通所介護は800万円以上の売上がある通常規模型事業所も

通所介護事業所の1カ月あたりの売上は、「400万円以上500万円未満」と「800万円以上」が21.9%、「500万円以上600万円未満」が18.8%となっています。

通所介護事業所の1カ月あたりの売上
(通所介護事業所の1カ月あたりの売上)

通所介護事業所の規模別1カ月あたりの売上を見ると、通常規模型の事業所では「800万円以上」と回答した事業所数が3番目に多い一方で、一番多いのは「400万円以上500万円未満」と、事業所間で差があることが見て取れます。

通常規模型の通所介護事業所の1カ月あたりの売上
(通常規模型の通所介護事業所の1カ月あたりの売上)

売上⑤:地域密着型通所介護は200万円以上250万円未満が32.4%

地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上は、「200万円以上250万円未満」が32.4%、「350万円以上」が20.6%、「100万円未満」と「100万円以上150万円未満」、「150万円以上200万円未満」が11.8%となっています。

地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上
(地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上)

地域密着型通所介護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ利用者数が300人未満の事業所は、「200万円以上250万円未満」が最多となっています。

1カ月あたり延べ利用者数が300人未満の地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ利用者数が300人未満の地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上)

1カ月あたり延べ利用者数が300人以上の事業所は、1カ月あたりの売上が「350万円以上」の事業所が最多で、次いで「200万円以上250万円未満」の事業所となっています。

1カ月あたり延べ利用者数が300人以上の地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上
(1カ月あたり延べ利用者数が300人以上の地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上)

業務改善の取組み

「請求ソフト」を利用した業務改善を行っている事業所は65.5%

業務改善のために行っている取組み(複数回答)は、「請求ソフト」が65.5%、「記録用のタブレット・スマートフォン」が56.0%、「介護技術の研修実施」が33.6%となっており、記録や請求業務の効率化を始めている事業所が多いことが伺えます。一方、10.8%の事業所が「業務改善のために行っている取組はない」と回答しています。そのほか、行政書士への業務委託や残業時間の管理、メールでの提供票送信等といった自由回答もありました。

業務改善のために行っている取組み
(業務改善のために行っている取組み)

従業員に好評なのは「記録用のタブレット・スマートフォン」

従業員に好評な業務改善のための取組み(複数回答)は、「記録用のタブレット・スマートフォン」が43.5%、「請求ソフト」が31.9%、「介護技術の研修実施」が19.4%となっており、タブレット等を使用した記録業務の効率化が特に従業員に好評なことが分かります。そのほか、行政書士への業務委託や必須でなかった負担となる業務の削減、介護ソフト台数の増加等といった自由回答もありました。

従業員に好評な業務改善の取組み
(従業員に好評な業務改善の取組み)

いずれ導入したいと回答したのは「ケアプランデータ連携システム」が約3割と最多

現在はできていないが、業務改善のためにいずれ行いたい取り組みは、「ケアプランデータ連携システム」が29.7%、「AIによるケアプラン作成システム」が27.6%、「記録用のタブレット・スマートフォン」が23.3%となっています。

いずれ行いたい業務改善の取組み
(いずれ行いたい業務改善の取組み)

業務改善を行えていない事業所の半数が「時間と資金に余裕がない」

全体のうち10.8%の事業所が業務改善の取組みを行っていませんでした。業務改善の取組みを行っていない理由は、「現状の業務に手いっぱいで時間的余裕がない」が58.2%、「業務改善のツールを導入するお金がない」が49.4%、「何をすればいいのか分からない」が25.3%と、時間や資金に課題がある事業所が多いことが分かります。

業務改善の取組みを行えていない理由
(業務改善の取組みを行えていない理由)

特に居宅介護支援で時間的に余裕がない事業所が顕著

サービス種別ごとに見ると、特に居宅介護支援で「現状の業務に手いっぱいで時間的に余裕がない」と回答している事業所が顕著になっています。

今回のアンケートに回答していただいた居宅介護支援事業所はケアマネジャーの常勤換算数が1人以上2人未満の小規模な事業所が大半のため、ひとりケアマネとして様々な業務をこなさなければならず、時間的な余裕がないと推測することもできます。

しかし、実際にはひとりケアマネではない事業所でも同じように時間的な余裕がないと回答した事業所が多い傾向が見られたため、業務の忙しさは事業所の規模に関わらず居宅介護支援に共通した課題であると言えるでしょう。

居宅介護支援事業所で業務改善の取組みを行えていない理由
(居宅介護支援事業所で業務改善の取組みを行えていない理由)

売上規模が小さい事業所ほど業務改善を行えていない傾向に

地域密着型通所介護、居宅介護支援、訪問介護においては、売上規模の小さい事業所で業務改善を行っていない事業所の割合が大きくなっています。これは、売上規模が小さいほど、業務改善の取組みにかける資金や時間に余裕がないためと推測されます。

以下は「業務改善を行えていない」と回答した地域密着型通所介護事業所の売上規模です。一月あたりの売上が250万円以上の事業所は0件でした。

業務改善を行えていない地域密着型通所介護事業所の売上規模
(業務改善を行えていない地域密着型通所介護事業所の売上規模)

以下は「業務改善を行えていない」と回答した居宅介護支援事業所の売上規模です。一月あたりの売上が50万円未満の事業所がほとんどとなっており、100万円以上の事業所は0件でした。

業務改善を行えていない居宅介護支援事業所の売上規模
(業務改善を行えていない居宅介護支援事業所の売上規模)

以下は「業務改善を行えていない」と回答した訪問介護事業所の売上規模です。100万円以上200万円未満の事業所が半数を占めており、300万円以上の事業所は0件でした。

業務改善を行えていない訪問介護事業所の売上規模
(業務改善を行えていない訪問介護事業所の売上規模)

人材採用の状況

採用活動の状況が厳しい事業所は半数を超える

採用活動の状況は、「採用活動を行っているが応募がない」が38.4%、「従業員は足りているので採用活動をしていない」が31.9%、「採用活動を行っており応募はあるが採用まで至る人がいない」が16.4%となっています。従業員が充足している事業所もある一方で、半数を超える事業所では採用活動がうまくいかない現状があることが伺えます。

採用活動の状況
(採用活動の状況)

訪問介護と訪問看護は求職者からの応募が来ない事業所が多い

サービス種別ごとに見ると、特に訪問介護と訪問看護で「採用活動を行っているが、応募がない」と回答している事業所が顕著になっています。

この傾向は事業所規模別に見た場合も変わらないため、応募者が集まらない状況は事業所の規模に関わらず、訪問介護・訪問看護に共通した課題であると言えるでしょう。

訪問介護事業所の採用活動の状況
(訪問介護事業所の採用活動の状況)

訪問看護事業所の採用活動の状況
(訪問看護事業所の採用活動の状況)

従業員が充足している理由は「平均残業時間が1桁未満のため」が約4割

従業員が足りているので採用活動をしていない事業所は全体のうち31.9%でした。従業員が充足している理由は、「平均残業時間が1桁未満である」が39.2%、「従業員が事業所の理念に共感している」、「理由が分からない」が21.6%となっています。そのほか、職員紹介報奨金制度を設けているためや開業後間もないため、人員配置に若干の余裕を持たせているためといった自由回答もありました。

従業員が充足している理由
(従業員が充足している理由)

人材採用がうまくいかない理由は「介護業界は人手不足のため」が64.6%

半数を超える事業所が人材採用がうまくいかないと回答しています。その要因は、「介護業界は人手不足のため」が64.6%が最多で、「地域に若者・働き手が少ないため」が29.1%、「競合の事業所よりも給与が低いため」が22.8%となっています。そのほか、他法人に比べて魅力がないためや求職者への情報発信が不十分、開業間もなく採用に注力できていないためといった自由回答もありました。

人材採用がうまくいかない要因
(人材採用がうまくいかない要因)

事業所運営上の課題

事業所を運営する中で課題に感じていることについて自由記述で回答いただきましたので、その結果をご紹介していきます。特に人材採用・育成や介護報酬・資金に関する課題について多くの意見をいただきました。

介護報酬・資金に関する課題
  • 事業所として単独での収益増が見込めない(居宅介護支援)
  • 特定事業所加算をとらないと経営的には厳しいが、そのために増員する余力がない(居宅介護支援)
  • 他業種に比べ、介護業界の報酬が少なすぎる(地域密着型通所介護)
  • 昇給の原資を増やす方法(訪問介護)
  • 売上を上げる方法が分からない(訪問介護)
  • 客単価の向上(訪問看護)
人材採用・育成に関する課題
  • 人材育成。特にマネジメント層の育成に苦慮している(通所介護)
  • マンパワー不足。仕事は断っているほど需要がある(居宅介護支援)
  • 他ケアマネのメンタルの低下、意欲低下(居宅介護支援)
  • 従業員の高齢化とITスキルの習熟(訪問介護)
  • 新任者指導、人材確保(訪問看護)
  • 人材不足からくる業務縮小、そこからの負のサイクル(その他)
事務作業に関する課題
  • 記録等書類作成にかかる時間。同じことを繰り返し書かなくてはならない(居宅介護支援)
  • 書類作成義務が多すぎる。そんなにケアマネを信用していないのですか、と憤りを感じるときもある(居宅介護支援)
  • 新規開設のため、経理・会計・労務・税務・人事等すべておいて後手後手で運営している(訪問看護)
  • BCP策定等膨大な事務作業(訪問介護)
感染症に関する課題
  • コロナによる高齢者減(地域密着型通所介護)
  • 運営推進会議の開催時期についてコロナやインフルエンザの流行の中での開催(地域密着型通所介護)
  • コロナ等の感染症により欠席率が上がっている。もっと厚い人材配置をしたいが、欠席が増えることも懸念されるため、バランスが難しい(通所介護)
業務改善に関する課題
  • 情報共有の有益な方法(訪問介護)
  • 多事業所、病院クリニックとの連携・情報共有方法(訪問看護)
  • ICTを活用した業務効率化(居宅介護支援)
  • ICT化とアナログの使い分け。情報共有の不足。コミュニケーション不足(その他)
物価高騰に関する課題
  • 物価高による利用者減(地域密着型通所介護)
  • 電気代や設備費用の高騰(地域密着型通所介護)
  • 様々な、ものの値上げ、最低賃金の改定、収入原となる介護保険料は変わらないこと(通所介護)
事業継続に関する課題
  • 国は小規模事業者をつぶす方向にありまさに危うい状況へ (居宅介護支援)
  • 事業継続(地域密着型通所介護)
  • 人手不足の中、今後事業を継続していけるのかどうか(訪問介護)
  • 後継者がいない(地域密着型通所介護)
規模の縮小・拡大に関する課題
  • 規模をいつ縮小していくか(地域密着型通所介護)
  • 他店舗展開の効率の高め方が分からない(地域密着型通所介護)
  • 支店を出したい。フランチャイズ形式にするのか、他のやり方が良いのか検討中(その他)

最後に

ここまで、サービス種類別の売上や業務改善の取組み、人材採用の状況などについてアンケートの集計結果をご紹介してきましたが、いかがでしたか。

事業所運営上の課題については自由記述にもかかわらず多くの方々に意見を書いていただきました。いただいた意見をもとに、より良い事業所運営に資する企画を検討してまいりますので、ぜひご期待ください。

また、介護経営ドットコムではより良いコンテンツ制作を行えるよう、定期的に会員様向けアンケートを行っていく予定ですので、引き続きご協力いただけますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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