介護経営ドットコムでは今年9月、会員を対象にした「事業所運営の状況に関するアンケート」を実施し、234名のみなさまから回答をいただくことができました。ご協力いただき、ありがとうございます。
アンケートの集計結果では、事業所規模ごとの売上や行っている業務改善の取組み、職員の確保ができている要因などをご紹介していますので、みなさまの事業所運営のお役に立てれば幸いです。
今回のアンケートでは、会員の皆様の事業所における人材確保や業務改善の取組み等の事業所運営の状況についてお聞きしました。
厚生労働省がAIによるケアプラン作成について消極的な姿勢を示したというニュースもある中で、『現在はできていないが業務改善のためにいずれ行いたい取り組み』で「AIによるケアプラン作成システム」と回答した人が27.6%と、AIによるケアプラン作成へのニーズは一定程度あることが分かりました。
回答者の役職は法人代表が39.7%、管理者が28.2%、施設長・事務長が17.1%となっています。
主たる業務を行っている事業所のサービス種別は、居宅介護支援が25.2%、地域密着型通所介護が14.5%、訪問介護が14.1%、通所介護が13.7%、訪問看護が6.8%となっています。その他には介護老人福祉施設、短期入所生活介護、通所リハビリテーション、介護老人保健施設等が含まれています。
それでは、ここからはアンケート集計結果の詳細をご紹介していきます。
居宅介護支援事業所の1カ月あたりの売上は、「50万円未満」が37.3%、「50万円以上100万円未満」が25.4%、「150万円以上200万円未満」が10.2%となっています。
居宅介護支援事業所の規模別の売上を見ると、ケアマネジャーの常勤換算数が1人以上2人未満の小規模な事業所は、1カ月当たりの売上が「50万円未満」の事業所が大半を占めています。
一方、ケアマネジャーの常勤換算数が5人以上の大規模な事業所は、売上が「300万円以上」の事業所が一番多いですが、「100万円以上150万円未満」、「200万円以上250万円未満」の事業所もあり、売上にばらつきがあることが見て取れます。
訪問介護事業所の1カ月あたりの売上は、「100万円以上200万円未満」が30.3%、「100万円未満」が24.2%、「600万円以上」が15.2%となっています。
訪問介護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ訪問回数が500回未満の事業所は、1カ月あたりの売上が200万円未満の事業所がほとんどとなっています。
一方、1カ月あたり延べ訪問回数が500回以上ある事業所は、すべての事業所で1カ月あたりの売上が200万円を超えており、600万円以上の事業所も4割存在します。
訪問看護事業所の1カ月あたりの売上は、「600万円以上」と「300万円以上400万円未満」が25%、「100万円以上200万円未満」と「200万円以上300万円未満」が18.8%となっています。
訪問看護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ訪問回数が400回未満の事業所は、1カ月あたりの売上の事業所が「300万円以上400万円未満」が最多となっています。
一方、1カ月あたり延べ訪問回数が400回以上ある事業所は、1カ月あたりの売上が「600万円以上」の事業所が約7割を占めています。
通所介護事業所の1カ月あたりの売上は、「400万円以上500万円未満」と「800万円以上」が21.9%、「500万円以上600万円未満」が18.8%となっています。
通所介護事業所の規模別1カ月あたりの売上を見ると、通常規模型の事業所では「800万円以上」と回答した事業所数が3番目に多い一方で、一番多いのは「400万円以上500万円未満」と、事業所間で差があることが見て取れます。
地域密着型通所介護事業所の1カ月あたりの売上は、「200万円以上250万円未満」が32.4%、「350万円以上」が20.6%、「100万円未満」と「100万円以上150万円未満」、「150万円以上200万円未満」が11.8%となっています。
地域密着型通所介護事業所の規模別の売上を見ると、1カ月あたり延べ利用者数が300人未満の事業所は、「200万円以上250万円未満」が最多となっています。
1カ月あたり延べ利用者数が300人以上の事業所は、1カ月あたりの売上が「350万円以上」の事業所が最多で、次いで「200万円以上250万円未満」の事業所となっています。
業務改善のために行っている取組み(複数回答)は、「請求ソフト」が65.5%、「記録用のタブレット・スマートフォン」が56.0%、「介護技術の研修実施」が33.6%となっており、記録や請求業務の効率化を始めている事業所が多いことが伺えます。一方、10.8%の事業所が「業務改善のために行っている取組はない」と回答しています。そのほか、行政書士への業務委託や残業時間の管理、メールでの提供票送信等といった自由回答もありました。
従業員に好評な業務改善のための取組み(複数回答)は、「記録用のタブレット・スマートフォン」が43.5%、「請求ソフト」が31.9%、「介護技術の研修実施」が19.4%となっており、タブレット等を使用した記録業務の効率化が特に従業員に好評なことが分かります。そのほか、行政書士への業務委託や必須でなかった負担となる業務の削減、介護ソフト台数の増加等といった自由回答もありました。
現在はできていないが、業務改善のためにいずれ行いたい取り組みは、「ケアプランデータ連携システム」が29.7%、「AIによるケアプラン作成システム」が27.6%、「記録用のタブレット・スマートフォン」が23.3%となっています。
全体のうち10.8%の事業所が業務改善の取組みを行っていませんでした。業務改善の取組みを行っていない理由は、「現状の業務に手いっぱいで時間的余裕がない」が58.2%、「業務改善のツールを導入するお金がない」が49.4%、「何をすればいいのか分からない」が25.3%と、時間や資金に課題がある事業所が多いことが分かります。
サービス種別ごとに見ると、特に居宅介護支援で「現状の業務に手いっぱいで時間的に余裕がない」と回答している事業所が顕著になっています。
今回のアンケートに回答していただいた居宅介護支援事業所はケアマネジャーの常勤換算数が1人以上2人未満の小規模な事業所が大半のため、ひとりケアマネとして様々な業務をこなさなければならず、時間的な余裕がないと推測することもできます。
しかし、実際にはひとりケアマネではない事業所でも同じように時間的な余裕がないと回答した事業所が多い傾向が見られたため、業務の忙しさは事業所の規模に関わらず居宅介護支援に共通した課題であると言えるでしょう。
地域密着型通所介護、居宅介護支援、訪問介護においては、売上規模の小さい事業所で業務改善を行っていない事業所の割合が大きくなっています。これは、売上規模が小さいほど、業務改善の取組みにかける資金や時間に余裕がないためと推測されます。
以下は「業務改善を行えていない」と回答した地域密着型通所介護事業所の売上規模です。一月あたりの売上が250万円以上の事業所は0件でした。
以下は「業務改善を行えていない」と回答した居宅介護支援事業所の売上規模です。一月あたりの売上が50万円未満の事業所がほとんどとなっており、100万円以上の事業所は0件でした。
以下は「業務改善を行えていない」と回答した訪問介護事業所の売上規模です。100万円以上200万円未満の事業所が半数を占めており、300万円以上の事業所は0件でした。
採用活動の状況は、「採用活動を行っているが応募がない」が38.4%、「従業員は足りているので採用活動をしていない」が31.9%、「採用活動を行っており応募はあるが採用まで至る人がいない」が16.4%となっています。従業員が充足している事業所もある一方で、半数を超える事業所では採用活動がうまくいかない現状があることが伺えます。
サービス種別ごとに見ると、特に訪問介護と訪問看護で「採用活動を行っているが、応募がない」と回答している事業所が顕著になっています。
この傾向は事業所規模別に見た場合も変わらないため、応募者が集まらない状況は事業所の規模に関わらず、訪問介護・訪問看護に共通した課題であると言えるでしょう。
従業員が足りているので採用活動をしていない事業所は全体のうち31.9%でした。従業員が充足している理由は、「平均残業時間が1桁未満である」が39.2%、「従業員が事業所の理念に共感している」、「理由が分からない」が21.6%となっています。そのほか、職員紹介報奨金制度を設けているためや開業後間もないため、人員配置に若干の余裕を持たせているためといった自由回答もありました。
半数を超える事業所が人材採用がうまくいかないと回答しています。その要因は、「介護業界は人手不足のため」が64.6%が最多で、「地域に若者・働き手が少ないため」が29.1%、「競合の事業所よりも給与が低いため」が22.8%となっています。そのほか、他法人に比べて魅力がないためや求職者への情報発信が不十分、開業間もなく採用に注力できていないためといった自由回答もありました。
事業所を運営する中で課題に感じていることについて自由記述で回答いただきましたので、その結果をご紹介していきます。特に人材採用・育成や介護報酬・資金に関する課題について多くの意見をいただきました。
ここまで、サービス種類別の売上や業務改善の取組み、人材採用の状況などについてアンケートの集計結果をご紹介してきましたが、いかがでしたか。
事業所運営上の課題については自由記述にもかかわらず多くの方々に意見を書いていただきました。いただいた意見をもとに、より良い事業所運営に資する企画を検討してまいりますので、ぜひご期待ください。
また、介護経営ドットコムではより良いコンテンツ制作を行えるよう、定期的に会員様向けアンケートを行っていく予定ですので、引き続きご協力いただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。