【2024年度介護報酬改定】小規模多機能型居宅介護の基本報酬新旧比較と新設加算まとめ

2024.04.04
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2024年度の介護報酬改定によって、小規模多機能型居宅介護は基本報酬がすべての介護度で引き上げられました(※リンク先:厚生労働省の特設ページ)。

新設加算としては、介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入・継続的なテクノロジーの活用を評価する「生産性向上推進体制加算」など、2種類の加算があります。また、サービス特有の変更点としては管理者が兼務可能であるサービスの緩和や「総合マネジメント体制強化加算」の区分新設などがあります。

なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、小規模多機能型居宅介護は4月1日に施行されています。

【小規模多機能型居宅介護】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較

2024年度介護報酬改定で、小規模多機能型居宅介護の基本報酬はすべての分類で引き上げられました。

改定前後の基本報酬に関する比較表は以下の通りです。

【小規模多機能型居宅介護】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較

基本部分 分類 単位数

(現行)

単位数

(改正後)

増減
同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合

※1カ月あたり

要支援1 3,438単位 3,450単位 +12単位
要支援2 6,948単位 6,972単位 +24単位
要介護1 10,423単位 10,458単位 +35単位
要介護2 15,318単位 15,370単位 +52単位
要介護3 22,283単位 22,359単位 +76単位
要介護4 24,593単位 24,677単位 +84単位
要介護5 27,117単位 27,209単位 +92単位
同一建物に居住する者に対して行う場合

※1カ月あたり

要支援1 3,098単位 3,109単位 +11単位
要支援2 6,260単位 6,281単位 +21単位
要介護1 9,391単位 9,423単位 +32単位
要介護2 13,802単位 13,849単位 +47単位
要介護3 20,076単位 20,144単位 +68単位
要介護4 22,158単位 22,233単位 +75単位
要介護5 24,433単位 24,516単位 +83単位
短期利用の場合

※1日あたり

要支援1 423単位 424単位 +1単位
要支援2 529単位 531単位 +2単位
要介護1 570単位 572単位 +2単位
要介護2 638単位 640単位 +2単位
要介護3 707単位 709単位 +2単位
要介護4 774単位 777単位 +3単位
要介護5 840単位 843単位 +3単位

(【表】:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示|厚生労働省を元に作成)

※介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。

「介護報酬の算定構造」(第239回社会保障審議会介護給付費分科会資料より)

【小規模多機能型居宅介護】2種類の新設加算

24年度改定で小規模多機能型居宅介護に新設される加算は、以下の2種類です。

  • 介護職員等処遇改善加算
  • 生産性向上推進体制加算

具体的な単位数や要件を以下に概説します。

①介護職員等処遇改善加算

現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。

介護職員等処遇改善加算の単位数(加算率)

介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。

介護職員等処遇改善(新設)

【小規模多機能型居宅介護】

14.9% 14.6% 13.4% 10.6%

※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。

介護職員等処遇改善加算の算定要件等

  • 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
  • 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てること。
  • それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分すること。

②生産性向上推進体制加算

介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、

  • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、
  • 生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、
  • 一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行う

といった取組みを評価する加算です。

加算名 単位数
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(新設) 100単位/月
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)(新設) 10単位/月

生産性向上推進体制加算の算定要件

<生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>

  • (Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。
  • 見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。
  • 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
  • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

<生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>

  • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
  • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について

  • (Ⅰ)において提供を求めるデータは、以下の項目。

    ア)利用者のQOL等の変化(WHO-5等)
    イ)総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化
    ウ)年次有給休暇の取得状況の変化
    エ)心理的負担等の変化(SRS-18等)
    オ)機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)

  • (Ⅱ)において求めるデータは、(Ⅰ)で求めるデータのうち、アからウの項目。
  • (Ⅰ)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。

(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件

  • 見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。
    ア)見守り機器
    イ)インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
    ウ)介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)
  • 見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器は全て使用することであり、その際、アの機器は全ての居室に設置し、イの機器は全ての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

(参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

既存の加算の見直しなどを含む小規模多機能型居宅介護の改定事項は14項目

ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、小規模多機能型居宅介護の改定事項は14項目あります。
このうちサービス特有の改定項目としては、

  • 人員配置基準上の管理者の規定について、兼務可能であるサービスを限定しないよう変更する
  • 「総合マネジメント体制強化加算」の区分新設・既存要件で算定できる区分の単位減

などがあります。

(【画像】:令和6年度介護報酬改定における改定事項について |厚生労働省

※それぞれの内容はリンク先の資料をご確認ください。

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