入所者の自立支援を促進するケアとは?自立支援促進加算の要件について厚労省が解釈提示

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厚生労働省は6月9日、21年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)で、「自立支援促進加算」の算定要件について新たに解釈を示しました。
自立支援促進加算は、介護保険施設(介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)で、入所者が自らの能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、多職種共同で作成した支援計画に基づくケアを実施することなどを求め、それを報酬で評価する加算です。 LIFEへの提出情報・フィードバック情報の活用も要件に含まれています。

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Vol.991「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)(令和3年6月9日)」の送付について

今回のQ&Aでは、報酬改定に関する留意事項通知で示された自立支援促進加算の算定要件について、補足事項が示されています。

自立支援促進加算における「個々の入所者や家族の希望に沿った、尊厳の保持に資する取組」の考え方

まず、留意事項通知では自立支援促進加算の趣旨として、多職種による入所者への医学的評価、アセスメント、支援実績に基づき、自立支援のための対応が必要とされた者について、包括的な支援計画を策定し、「個々の入所者や家族の希望に沿った、尊厳の保持に資する取組」など、特別な支援を行っている場合に算定できるものと規定されています。

Q&A(Vol.10)の問5には、「個々の入所者や家族の希望に沿った、尊厳の保持に資する取組」について、具体的な考えが示されており、例えば、入所者がおむつを使用している状態に慣れて、改善の可能性があるにも関わらず、おむつの使用継続を希望しているような場合は、本加算で求める入所者や家族の希望とはいえないとされています。

廃用性機能障害を防ぐための計画的な支援

また、Q&A(Vol.10)の問6には、廃用性機能障害を防ぐための計画的な支援の在り方について触れられていますが、その前提として、下記a~fの支援計画の各項目を理解しておく必要があります。

a 寝たきりによる廃用性機能障害を防ぐために、離床、座位保持または立ち上がりを計画的に支援する。

b 食事は、本人の希望に応じ、居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく、個人の習慣や希望を尊重する。

c 排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用することとし、特に多床室においては、ポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならない。

d 入浴は、特別浴槽ではなく、一般浴槽での入浴とし、回数やケアの方法についても、個人の習慣や希望を尊重すること。

e 生活全般において、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅で の生活と同様の暮らしを続けられるようにする。

f リハビリテーション及び機能訓練の実施は、本加算において評価をするものではないが、医学的評価に基づき、必要な場合は、入所者本人や家族の希望も確認して施設サービス計画の見直しを行う。

Q&A(Vol.10)では、上記の支援計画の項目に基づく、支援を実施する上での具体的な取り組みについて、やむを得ずベッド離床や座位保持を行うべきではない場合を除き、原則として、全ての入所者がベッド離床や座位保持を行っていることが必要であるということが示されました。

また、補足事項として
・ 高齢者の離床時間と日常生活動作は有意に関連し、離床時間が少ない人ほど日常生活動作の自立度が低い傾向にあるとのデータなどを参考に、一定の離床時間を確保すること

・本人の生きがいを支援し、生活の質を高めていく観点から、離床中行う内容を具体的に検討して取り組むことも重要

との考え方も示されました。

食事の時間や嗜好等への対応

Q&A(Vol.10)問7には、食事の時間や嗜好等への対応について求められる取り組みにも触れられています。

具体的には、入所者が要介護状態となる以前の生活にどれだけ近づけるかという観点から、

- 個人の習慣や希望を踏まえた食事の時間の設定

- 慣れ親しんだ食器等の使用

- 管理栄養士や調理員等の関係職種との連携による、個人の嗜好や見栄え等に配慮した食事の提供など、入所者毎の習慣や希望に沿った個別対応を行う

ことが想定されています。また、

- 経管栄養といった医学的な理由等により、ベッド離床を行うべきではない場合を除き、ベッド上で食事をとる入所者がいないようにする

- 入所者の体調や食欲等の本人の意向等に応じて、配膳・下膳の時間に配慮する

といった取り組みが想定されています。

この際に、
・医学的な理由などによって離床するべきではない場合を除いてベッド上で食事をとる入所者がいないようにすること

・ 入所者の体調や食欲など本人の意向等に応じて、配膳・下膳の時間に配慮すること

・ 衛生面に十分配慮のうえ、調理から喫食まで120 分以内の範囲にできるように配膳することが望ましいが、結果的に喫食出来なかった場合に、レトルト食品の常備食を提供すること

等も考えられるとも補足しています。

Q&Aでは、このほかにもcの排せつ(プライバシーを配慮した、日中の多床室でポータブルトイレの使用など)やdの入浴(やむを得ず、特別浴槽を利用している入所者がの扱い)の規定について、新たに詳細を示しています。

厚労省6月9日事務連絡:「令和3年度介護報酬改定に関する Q&A (Vol.10)」の送付について

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