【2024年度介護報酬改定】認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)は基本報酬は1単位プラス―新旧比較と7種の新設加算まとめ

2024.02.22
2024.02.22
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2024年度の介護報酬改定後の単位について、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)では基本報酬がすべての介護度で1単位引き上げられます(※リンク:第239回社保審・介護給付費分科会)。

また、今回の改定では、認知症の行動・心理症状(BPSD)への平時からの対応を評価する「認知症チームケア推進加算」など、7種類の加算が新設されます。

なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、認知症グループホームの改定実施時期は4月1日です。

認知症グループホームの基本報酬新旧比較と、24年度新設加算を概説します。

目次
    2024年度介護報酬改定|認知症グループホームの基本報酬の比較
    【認知症グループホーム】7種類の新設加算
    既存の加算の見直しなどを含む認知症グループホームの改定事項は17項目

      2024年度介護報酬改定|認知症グループホームの基本報酬の比較

      2024年度介護報酬改定で、認知症グループホームの基本報酬はすべての分類で+1単位の引き上げとなります。

      改定前後の基本報酬に関する比較表は以下の通りです。

      【認知症グループホーム】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較

      基本部分 分類 単位数

      (現行)

      単位数

      (改正後)

      増減
      【入居】

      1ユニットの場合

      要支援2 760単位 761単位 +1単位
      要介護1 764単位 765単位 +1単位
      要介護2 800単位 801単位 +1単位
      要介護3 823単位 824単位 +1単位
      要介護4 840単位 841単位 +1単位
      要介護5 858単位 859単位 +1単位
      【入居】

      2ユニット以上の場合

      要支援2 748単位 749単位 +1単位
      要介護1 752単位 753単位 +1単位
      要介護2 787単位 788単位 +1単位
      要介護3 811単位 812単位 +1単位
      要介護4 827単位 828単位 +1単位
      要介護5 844単位 845単位 +1単位
      【短期利用】

      1ユニットの場合

      要支援2 788単位 789単位 +1単位
      要介護1 792単位 793単位 +1単位
      要介護2 828単位 829単位 +1単位
      要介護3 853単位 854単位 +1単位
      要介護4 869単位 870単位 +1単位
      要介護5 886単位 887単位 +1単位
      【短期利用】

      2ユニット以上の場合

      要支援2 776単位 777単位 +1単位
      要介護1 780単位 781単位 +1単位
      要介護2 816単位 817単位 +1単位
      要介護3 840単位 841単位 +1単位
      要介護4 857単位 858単位 +1単位
      要介護5 873単位 874単位 +1単位

      (【表】「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」(改正告示案。社保審了承済み)を基に作成)

      介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。

      第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省

      【認知症グループホーム】7種類の新設加算

      24年度改定で認知症グループホームに新設される加算は、以下の7種類です。

      • 協力医療機関連携加算
      • 退所時情報提供加算
      • 高齢者施設等感染対策向上加算
      • 新興感染症等施設療養費
      • 認知症チームケア推進加算
      • 介護職員等処遇改善加算(3加算の統合。24年6月創設)
      • 生産性向上推進体制加算

      具体的な単位数や要件を以下に概説します。

      ①協力医療機関連携加算【認知症グループホーム】

      協力医療機関との実効性のある連携体制を構築するため、入居者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価する加算です。

      加算名 条件 単位数
      協力医療機関連携加算

      (新設)

      協力医療機関が下記の①②の要件を満たす場合 100単位/月
      それ以外の場合 40単位/月

      協力医療機関の要件

      1. 入居者の病状が急変した場合等に、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
      2. 高齢者施設等からの診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。
      3. 入居者の病状が急変した場合等に、入院を要すると認められた入居者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。

      協力医療機関連携加算の算定要件

      • 協力医療機関との間で、入居者の同意を得て、当該入居者の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。

      ②退所時情報提供加算【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する加算です。

      加算名 単位数
      退所時情報提供加算(新設) 250単位/回

      退所時情報提供加算の算定要件

      • 医療機関へ退所する入居者について、退所後の医療機関に対して入居者を紹介する際、入居者等の同意を得て、当該入居者等の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に、入居者等1人につき1回に限り算定する。

      ③高齢者施設等感染対策向上加算【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入居者等への感染拡大を防止することが求められることから、以下を評価する新たな加算が設けられます。

      • 新興感染症の発生時等に感染者の診療等を実施する医療機関(協定締結医療機関)との連携体制を構築していること。
      • 上記以外の一般的な感染症(※)について、協力医療機関等と感染症発生時における診療等の対応を取り決めるとともに、当該協力医療機関等と連携の上、適切な対応を行っていること。
      • 感染症対策にかかる一定の要件を満たす医療機関等や地域の医師会が定期的に主催する感染対策に関する研修に参加し、助言や指導を受けること。

      また、感染対策に係る一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることも新たに評価します。

      加算名 単位数
      高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)(新設) 10単位/月
      高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)

      (新設)

      5単位/月

      高齢者施設等感染対策向上加算の算定要件

      <高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)>

      1. 感染症法第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること。
      2. 協力医療機関等との間で新興感染症以外の一般的な感染症の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時等に協力医療機関等と連携し適切に対応していること。
      3. 診療報酬における感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に行う院内感染対策に関する研修又は訓練に1年に1回以上参加していること。

      <高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)>

      • 診療報酬における感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から、3年に1回以上施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けていること。

      ④新興感染症等施設療養費【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      新興感染症のパンデミック発生時等において、必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で感染した高齢者を施設内で療養を行うことを評価する加算です。

      加算名 単位数
      新興感染症等施設療養費(新設) 240単位/日

      新興感染症等施設療養費の算定要件

      • 入居者が別に厚生労働大臣が定める感染症(※)に感染した場合に相談対応、診療、入院調整等を行う医療機関を確保し、かつ、当該感染症に感染した入居者に対し、適切な感染対策を行った上で、サービス提供を行った場合に、1月に1回、連続する5日を限度として算定する。

      (※)現時点において指定されている感染症はない。

      ⑤認知症チームケア推進加算【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぐため、あるいは出現時に早期に対応するための平時からの取組を推進する観点から、新設される加算です。

      加算名 単位数
      認知症チームケア推進加算(Ⅰ)

      (新設)

      150単位/月
      認知症チームケア推進加算(Ⅱ)

      (新設)

      120単位/月

      ※認知症専門ケア加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)を算定している場合においては、算定不可。

      認知症チームケア推進加算の算定要件

      <認知症チームケア推進加算(Ⅰ)>

      • 事業所又は施設における利用者又は入居者の総数のうち、周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者の占める割合が2分の1以上であること。
      • 認知症の行動・心理症状の予防及び出現時の早期対応(以下「予防等」という。)に資する認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している者又は認知症介護に係る専門的な研修及び認知症の行動・心理症状の予防等に資するケアプログラムを含んだ研修を修了した者を1名以上配置し、かつ、複数人の介護職員から成る認知症の行動・心理症状に対応するチームを組んでいること。
      • 対象者に対し、個別に認知症の行動・心理症状の評価を計画的に行い、その評価に基づく値を測定し、認知症の行動・心理症状の予防等に資するチームケアを実施していること。
      • 認知症の行動・心理症状の予防等に資する認知症ケアについて、カンファレンスの開催、計画の作成、認知症の行動・心理症状の有無及び程度についての定期的な評価、ケアの振り返り、計画の見直し等を行っていること。

      <認知症チームケア推進加算(Ⅱ)>

      • 認知症チームケア推進加算(Ⅰ)の(1)・(3)・(4)に掲げる基準に適合すること。
      • 認知症の行動・心理症状の予防等に資する認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を1名以上配置し、かつ、複数人の介護職員から成る認知症の行動・心理症状に対応するチームを組んでいること。

      ⑥介護職員等処遇改善加算【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。

      介護職員等処遇改善加算の単位数(認知症グループホームの場合の算定率)

      介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。

      介護職員等処遇改善(新設)

      【認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)】

      18.6% 17.8% 15.5% 12.5%

      ※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。

      介護職員等処遇改善加算の算定要件

      • 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
      • 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てること。
      • それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分すること。

      ⑦生産性向上推進体制加算【(介護予防を含む)認知症グループホーム】

      介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、

      • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、
      • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、
      • 生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、
      • 一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行う

      といった取組みを評価する加算です。

      加算名 単位数
      生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(新設) 100単位/月
      生産性向上推進体制加算(Ⅱ)(新設) 10単位/月

      生産性向上推進体制加算の算定要件

      <生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>

      • (Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。
      • 見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。
      • 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
      • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

      <生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>

      • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
      • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
      • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

      (※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について

      (Ⅰ)において提供を求めるデータは、以下の項目。

      ア)利用者のQOL等の変化(WHO-5等)
      イ)総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化
      ウ)年次有給休暇の取得状況の変化
      エ)心理的負担等の変化(SRS-18等)
      オ)機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)
      (Ⅱ)において求めるデータは、(Ⅰ)で求めるデータのうち、アからウの項目。
      (Ⅰ)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。

      (※2)見守り機器等のテクノロジーの要件
      見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。
      ア)見守り機器
      イ)インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
      ウ)介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。) 見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器は全て使用することであり、その際、アの機器は全ての居室に設置し、イの機器は全ての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

      (参考:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省

      既存の加算の見直しなどを含む認知症グループホームの改定事項は17項目

      ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の改定事項は17項目あります。

      (【画像】:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】p214,215|厚生労働省

      ※各概要はリンク先の資料をご確認ください。

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