10月22日に開かれた第189回社保審・介護給付費分科会にて、訪問リハビリテーションに関する複数の論点と今後の検討方針が提示されました。
退院・退所直後のリハビリテーションの充実という観点から、現行の訪問リハの算定上限回数に関する検討がなされました。現行では、短期集中リハビリテーション実施加算を算定している利用者において、上限回数(月24回)まで利用しているケースが約10%あります。
診療報酬における在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料が、退院日から3月以内の場合に週12回まで算定可能となっている点も参考に、訪問リハにおける週6回の上限の引き上げについて検討の方向性が示されました。委員からは賛同意見とともに、急性増悪時の短期集中的なリハ提供を求める意見もあがっています。
2015年度の介護報酬改定で創設された社会参加支援加算について、算定要件の見直しが論点となりました。現行の要件には、「指定通所介護等の実施が居宅訪問等をした日から起算して3月以上継続する見込みであることを確認する」ことが含まれており、未来予測を踏まえた判断の難しさが疑問視されています。
また、要件そのものが社会参加支援ではなく、リハビリサービスから他のサービスへの移行を評価している側面が強い点も議題として示されました。これらの現状を踏まえ、要件緩和等についても継続的に議論がされています。
本分科会にて、リハビリテーションマネジメント加算の見直しについても議論されました。論点となったのは、自立支援・重度化防止の取り組みに対する更なる質の向上についてです。検討の方向性の中で、ICT機器の活用による介護サービスの質の向上と業務効率化、及び報酬体系の簡素化と事務負担軽減などの方針が提示されました。
神奈川県福祉子どもみらい局の水町参考人は「マネジメント加算(Ⅰ)は訪問リハ事業所の8~9割が算定しており、報酬体系の簡素化の観点から、基本報酬に含めて良いのでは」と発言しました。委員の意見を踏まえながら、見直しが検討されていく見込みです。
引用:第189回社保審・介護給付費分科会「訪問リハビリテーションの報酬・基準について(検討の方向性)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月26日掲載のものです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。