2021年度の介護報酬改定では、訪問介護の特定事業所加算について、評価区分が新設されます。2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
訪問介護において、質の高い介護サービスの提供に向けた取組を実施している事業所を評価する加算です。
2021年度の介護報酬改定では、事業所を適切に評価する観点から、勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする評価区分が新設されます。
①特定事業所加算Ⅰ~Ⅳに加えて、「特定事業所加算(Ⅴ)」が新設
②人材要件は「勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上」
③加算Ⅲ(重度者対応要件による加算)との併算定は可能
④加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可
特定事業所加算(Ⅰ):所定単位数の20%を加算
特定事業所加算(Ⅱ):所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅲ):所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅳ):所定単位数の 5%を加算
(体制要件)
①訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修を実施すること
②利用者に関する情報またはサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること
③利用者情報を文書等で伝達すること、訪問介護員等からの報告を受けること(伝達は直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX・メール等によることも可能)
④健康診断等を定期的に実施すること(事業主費用負担により少なくとも1年以内ごとに1回は実施)
⑤緊急時等における対応方法を明示すること
⑥サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修を実施すること
(人材要件)
⑦訪問介護員等について、以下のいずれかを満たしていること
・介護福祉士の占める割合が30%以上
・介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者の占める割合が50%以上
⑧全てのサービス提供責任者が以下のいずれかを満たしていること
・実務経験3年以上の介護福祉士
・実務経験5年以上の実務者研修修了者もしくは介護職員基礎研修課程修了者もしくは1級課程修了者
⑨サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
(重度者対応要件)
⑩利用者のうち、要介護4・5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が20%以上
⑪利用者のうち、要介護3~5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が60%以上
要件①~⑤、⑦、⑧、⑩をすべて満たすこと
要件①~⑤をすべて満たし、かつ、⑦または⑧のいずれかを満たすこと
要件①~⑤、⑩をすべて満たすこと
要件②~⑥、⑨、⑪をすべて満たすこと
特定事業所加算(Ⅴ):所定単位数の 3%を加算(新設)
②利用者に関する情報またはサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること(テレビ電話等のICTの活用が可能 ※追加)
⑩訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合30%以上であること(※新設)
⑪利用者のうち、要介護4・5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が20%以上
⑫利用者のうち、要介護3~5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が60%以上
要件①~⑤、⑦、⑧、⑪をすべて満たすこと
要件①~⑤、⑪をすべて満たすこと
要件②~⑥、⑨、⑫をすべて満たすこと
・新設加算Ⅴは、加算Ⅲ(重度者対応要件による加算)との併算定が可能
・新設加算Ⅴは、加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。