デイサービスの会計・経理業務の流れとは?効率化する方法もご紹介

2023.04.14
2023.04.27
ホーム事業所運営通所介護デイサービスの会計…

デイサービスの会計業務は煩雑だと感じている事業者の方も多いのではないでしょうか。

そのような中で「会計業務を効率化したいけど、どうすればいいの?」といった悩みを感じる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、デイサービスの経営者・管理者の皆様に向けて、デイサービスの運営基準に定められている会計のルールや会計・経理業務を効率化する方法などについて解説しています。

目次
    会計と経理の業務の違いとは?
    デイサービスの運営基準で定められた会計のルールとは?
    デイサービスの会計を効率化する方法とは?
    まとめ

      会計と経理の業務の違いとは?

      会社は資産・負債等と収益・費用の情報を対外的に発信・報告するために決算書を作成します。

      そして、決算書を作成するために会計や経理といった業務を行うことになります。

      同じような業務として認識されていますが、会計と経理は業務の範囲に違いがあります。

      経理は、請求書の発行取引先への支払いなど、お金の出入金を管理するために必要なことを行います。

      一方、会計は、企業が行った活動について記録し、決算書を作成するために必要なことを行います。

      それでは、それぞれの業務について詳しく見ていきましょう。

      デイサービスにおける会計の業務内容とは?

      デイサービスでは、以下のような会計業務を行います。

      • 取引の内容を帳簿に記帳する。
      • 帳簿の内容を会計ソフトに入力する。
      • 月次決算書を作成する。
      • 固定資産管理表などの帳簿を管理する。
      • 決算書を作成する。
      • 法人税申告書を作成し、提出する。

      デイサービスにおける経理の業務内容とは?

      デイサービスでは、以下のような経理業務を行います。

      • 現金の出納、残高を管理し、帳簿に記載する。
      • 取引の内容に基づき、出金・振込等を行う。
      • 介護報酬を請求する。
      • 利用者負担金について請求書を発行する。
      • 利用者負担金の回収状況の管理をする。

      デイサービスの運営基準で定められた会計のルールとは?

      デイサービスの会計で理解しておかなければならないルールが、運営基準で定められている「会計の区分」です。

      (会計の区分)

      第38条 指定通所介護事業者は、指定通所介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定通所介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。

      引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

      「介護事業の会計が他事業の会計と区分されていない」場合や「介護事業の収入は他事業の会計と区分しているが、支出を区分していない」という場合、運営指導(実地指導)で指導を受ける恐れがあるため、注意が必要です。

      運営基準を満たす適切な会計処理方法として、具体的には以下の4つの方法が挙げられます。

      1. 会計単位分割方式
      2. 本支店会計方式
      3. 部門補助科目方式
      4. 区分表方式

      会計単位分割方式

      会計単位分割方式とは、事業所単位ごとの介護サービス事業別に、あたかも別の法人のように仕訳帳や総勘定元帳をそれぞれ分ける方法です。

      総勘定元帳が事業所単位ごとになるので、損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書も貸借対照表とともに事業所単位ごとに作成します。

      本支店会計方式

      本支店会計方式とは、仕訳帳や総勘定元帳の一部について、事業所単位ごとの介護サービス事業別に分離して会計処理をする方法です。

      事業所単位で損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書や貸借対照表は作成しますが、貸借対照表の資本の部(純資産の部)については分離せず、いわゆる本支店区分だけ存在させます。

      本部あるいは他の事業所間の取引は、本支店勘定(貸借勘定)で処理をします。

      部門補助科目方式

      部門補助科目方式とは、勘定科目に補助コードを設定し、仕訳時に補助コードを記入することで、介護サービス事業別の数値が集計できるようにする方法です。

      貸借対照表は介護サービス事業別の区分をせず、損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書は区分します。

      区分表方式

      区分表方式とは、仕訳時に区分をせずに、計算書類の数値をそれぞれの科目に応じて按分基準を設け、配分表を用いて介護サービス事業別の結果表を作成する方法です。

      具体的な勘定科目と按分方法とは?

      具体的な勘定科目と按分方法は、以下の表のようになっています。

      種類 勘定科目 按分方法
      給与費 介護職員・医師・看護師給与等常勤職員給与
      介護職員・医師・看護師給与等の非常勤職員給与
      退職給与引当金繰入
      法定福利費
      勤務時間割合により区分する。
      (困難な場合は次の方法により按分)
      〇職種別人員配置割合
      〇看護・介護職員人員配置割合
      〇届出人員割合
      〇延利用者数割合
      材料費 介護用品費
      医薬品費
      施設療養材料費
      施設療養消耗器具備品費
      診療材料費
      医療消耗器具備品費
      各事業の消費金額により区分する。
      (困難な場合は次の方法により按分)
      〇延利用者数割合
      〇各事業別収入割合
      給食用材料費 実際食数割合により区分する。
      (困難な場合は次の方法により按分)
      〇延利用者数割合
      〇各事業別収入割合
      その他の材料費 延利用者数割合により按分する。
      (困難な場合は各事業別の収入割合により按分)
      経費 福利厚生費
      職員被服費
      給与費割合により区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      旅費交通費
      通信費(通信運搬費)
      交際費
      諸会費
      雑費
      渉外費
      〇延利用者割合
      〇職種別人員配置割合
      〇給与割合
      消耗品費
      消耗器具備品費
      保健衛生費
      被服費
      教養娯楽費
      日用品費
      広報費
      各事業の消費金額により区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      車両費 使用高割合により区分する。
      (困難な場合は次の方法により按分)
      〇送迎利用者数割合
      〇延利用者数割合
      会議費 会議内容により事業個別費として区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      光熱水費 メーター等による測定割合により区分する。
      (困難な場合は建物床面積割合により按分)
      修繕費(修繕維持費) 建物修繕は、当該修繕部分により区分、建物修繕以外は事業個別費として按分する。
      (困難な場合は、建物床面積割合で按分)
      賃借料
      地代家賃等
      賃貸物件特にリース物件については、その物件の使用割合により区分する。
      (困難な場合は、建物床面積割合により按分)
      保険料 〇建物床面積割合により按分する。
      〇自動車関係は送迎利用者数割合又は使用高割合で、損害保険料等は延利用者数割合により按分する。
      租税公課 〇建物床面積割合により按分する。
      〇自動車関係は送迎利用者数割合又は使用高割合で按分する。
      保守料 保守契約対象物件の設置場所等に基づき事業個別費として区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      委託費 委託費(寝具)(給食)(その他) 各事業の消費金額により区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      〇延利用者数割合
      〇実際食数割合
      〇建物床面積割合
      〇延利用者数割合
      研修費 謝金
      図書費
      旅費交通費
      研修雑費
      研究材料費
      研修内容等、目的、出席者等の実態に応じて、事業個別費として区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      減価償却費 建物減価償却費
      建物附属設備減価償却費
      構築物減価償却費
      建物床面積割合により区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      医療用器械備品減価償却費 使用高割合により区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      車両船舶減価償却費 使用高割合により区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      その他の器械備品減価償却費 使用高割合により区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      その他の有形固定資産減価償却費
      無形固定資産減価償却費
      延利用者数割合により按分する。
      徴収不能額 徴収不能額 各事業の個別発生金額により区分する。
      (困難な場合は各事業別収入割合により按分)
      引当金繰入額 退職給与引当金繰入
      賞与引当金繰入
      給与費割合により区分する。
      (困難な場合は延利用者数割合により按分)
      徴収不能引当金繰入 事業毎の債権金額に引当率を乗じた金額に基づき区分する。
      (困難な場合は、延利用者数割合により按分)
      支払利息 支払利息 事業借入目的の借入金に対する期末残高割合により区分する。
      (困難な場合は、次の方法により按分)
      〇借入金が主として土地建物の取得の場合は建物床面積割合
      〇それ以外は、延利用者数割合

      介護保険の給付対象事業における会計の区分について (平成13年3月28日老振発第18号)より作成

      デイサービスの会計を効率化する方法とは?

      ここではデイサービスの会計・経理業務に煩雑さを感じている方に会計業務を効率化する方法をご紹介します。

      • 利用者負担金の回収を口座振替にする
      • 介護事業所向けの会計ソフトを導入する
      • 介護事業に詳しい税理士にアウトソーシングする

      といった方法が考えられます。

      利用者負担金の回収を口座振替にする

      利用者負担金の回収に関する業務が重荷になっているケースがあります。

      現金での回収をやめて口座振替に切り替えると、利用者様からの集金業務の手間を省くことができます。

      また、請求ソフトと利用者負担金の口座引落の機能が連動している請求ソフトを導入すると、計算した請求データから送信することができるのでとても便利です。

      介護事業所向けの会計ソフトを導入する

      会計ソフトを導入すると以下のようなメリットがあります。

      • 銀行口座やクレジットカードと連携させることで、入力や仕訳を自動化し、データ入力の手間を削減できる。
      • 入力したデータから、キャッシュレポートや決算書などが作成されるため、レポート作成の手間が省ける。
      • 運営基準で求められている事業所毎の会計のデータを分けて集計するための機能が付いている。

      デイサービスの経理・会計ソフトはカイポケ会計がおすすめ

      デイサービスの経理・会計ソフトは、「カイポケ会計・労務 by Money Forward クラウド会計」がおすすめです。

      介護保険請求・記録ソフトのカイポケ会員なら、月額基本料金0円から利用可能です。ご興味のある方は、ぜひこちらから詳細をご覧ください

      介護事業に詳しい税理士にアウトソーシングする

      決算書や法人税申告書の作成に不安がある場合や事業所で事務員を確保することが難しい場合は、介護事業に詳しい税理士に会計業務をアウトソーシングするという選択肢もあります。

      【税理士に会計業務を委託するメリット】

      • 貸借対照表・損益計算書などの書類作成を全て依頼することができるため、自力で行うと何日もかかる業務をミスなく短時間で終わらせることができる。
      • 複雑な決算・申告作業を適切に行ってくれるため、追加徴税などのリスクを減らすことができる。

      まとめ

      ここまで、デイサービスで行う会計業務やルール、会計・経理を効率化する方法について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

      会社である以上、決算書や法人税の申告に関するルールを遵守し、またデイサービスの運営基準に定められる会計のルールも遵守しなくてはいけません。

      決算書や申告書を適正に効率よく作成することに不安があるようでしたら、税理士等の専門家へアウトソーシングを検討してみるのもいいかもしれません。

      最後までお読みいただきありがとうございました。

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