4月21日、第3回となる「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」が開催されました。前回に引き続き、介護保険給付の対象となる福祉用具について、要介護者等の”居宅での自立した生活の支援”と”介護保険制度の持続可能性の確保”のバランスを配慮したうえでの、福祉用具「貸与」・特定福祉用具「販売」を巡る制度設計や、福祉用具を使って在宅生活を続ける高齢社に対する介護支援専門員の支援等について、議論が交わされました。
第2回までの本会合では、「貸与原則から販売への移行」に関する財政審の提言に対し、社会保障や在宅介護の専門家からは慎重な議論を求める声が多数挙がっていました。厚労省はこれを受け、新たなデータ等を示して議論の深化を促しています。
厚労省は前回会合に続き、以下の視点で構成員に議論を促しました。
<着目すべき5つの論点(厚労省)>
1.現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性 2.利用者の状態を踏まえた対応 3.福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス等 4.介護支援専門員による支援(ケアプラン作成、モニタリング、サービス担当者会議等) 5.経済的な負担
また、今回は、厚労省がまとめたデータに加え、3名の専門家による報告書等の提出資料も共有されています。
*岩元文雄構成員(全国福祉用具専門相談員協会理事長):財政審が販売への移行の検討を進めるべき品目としている歩行関連用具や手すりの選定について、専門的視点・個別性を踏まえた介入意義の説明。
*小野木孝二構成員(日本福祉用具供給協会理事長):貸与制度と割賦販売の端的な比較
*濵田和則構成員( 日本介護支援専門員協会副会長):福祉用具貸与サービスの単独利用における 居宅介護支援の実態調査報告書
5つの論点のうち、”1”について、現状の介護保険制度では福祉用具の利用は「貸与」が原則とされ、貸与になじまない性質もの(入浴・排泄関連用具等)のみ「販売」の対象としています。
この枠組みに対し、利用者の自己負担や介護費用の削減を進める観点から「要介護度に関係なく給付対象となっている廉価な品目」について、原則「販売」への移行を求めるという提案がなされてきました。
<介護度に関係なく給付対象となっている廉価な品目(2020年11月の財政審の建議)>
歩行補助杖 歩行器 手すり スロープ
この論点について、慎重な検討を求める意見が構成員の多数を占める状況は変わっていません。その一方で、建設的な解決策を模索するため、具体的な提案をした構成員もあり、より議題に対して踏み込んだ議論が展開されました。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。