前回は、介護事業のオーナー経営者を対象として代表的な事業承継の手法と備えについて紹介しました。 同じく介護事業に関わる社会福祉法人や医療法人でも経営者の高齢化は進んでおり、対策は急務です。
今回は、特殊法人である医療法人と社会福祉法人の事業承継の特徴について解説いたします。
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、所轄庁による認可により設立されます。
社会福祉法人は非営利法人であるため、法人設立時の寄附者に持分はなく、期末などに剰余金の配当もありません。
さらに、解散時の残余財産は社会福祉法人その他学校法人、公益財団法人などの社会福祉事業を行う者又は国庫に帰属します。
社会福祉法人の代表的な承継方法は、下記の3つです。今回はそのうち、合併と事業譲渡における留意点について解説します。
1.経営権の取得 社会福祉法人を買収しなくても、理事となり経営権を取得することで、社会福祉法人のM&Aを行ったのと同じ効果が得られます。 意思決定機関である理事会の決議は、3分の2以上の決定が必要となります。 理事の合意を得ることができれば、合併や事業譲渡よりコスト削減が可能です。
2.合併 合併とは、2つ以上の法人が契約によって1つの法人に統合することをいいます。 社会福祉法に規定されている合併は、社会福祉法人同士でのみ認められています。
3.事業譲渡 事業譲渡とは、売手の事業の一部またはすべてを買手が受継ぐ方法です。 社会福祉法人の場合、その法人が行っている事業の一部を譲渡することはできますが、事業の全部を譲渡することはできないと考えられます。
社会福祉法人の有する性格より、社会福祉法人の事業展開は、公益性・非営利性を十分に考慮した事業承継が必要であるため、経営基盤の保全の観点や所轄庁との調整が重要になります。
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