【通所介護】2021年度報酬改定 加算の創設・見直し要件まとめ 厚労省・審議報告

2020.12.23
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2021年度介護報酬改定に向けて、全22回に渡り議論されてきた介護給付費分科会。その審議報告が、2020年12月23日に厚労省のホームページで公表されました。本記事では【通所介護】に関する「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」の内容について、加算や報酬に関わる詳細部分をまとめて整理していきます。

令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(厚労省ホームページ)

関連記事:審議報告案、取りまとめへ 2021年度介護報酬改定に向けた年内の議論が終了 厚労省・分科会(第197回分科会)

個別機能訓練加算の見直し

通所介護の個別機能訓練加算について、現行の加算Ⅰ(身体機能向上を目的とする機能訓練を評価)と加算Ⅱ(生活機能向上を目的とする機能訓練を評価)が統合されます。

これに伴って、人員配置要件、機能訓練項目、訓練対象者・実施者の3点がそれぞれ以下のように改正される方向性が示されました。

・人員配置要件

小規模事業所でも必要な人員の確保を可能とする観点から、機能訓練指導員の専従1名以上(配置時間帯の定めなし)の配置を求める(現行の加算(Ⅱ)の要件)

・機能訓練項目

利用者の心身の状況に応じて、身体機能・生活機能向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定することを可能とする

・訓練対象者・実施者

5人程度以下の小集団又は個別に、機能訓練指導員が直接実施することとする(現行の加算(Ⅱ)の要件)

ただし、これまで個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定していた事業所があることを踏まえ、人員配置要件で求める機能訓練指導員に加えて、専従1名以上をサービス提供時間帯を通じて配置した場合を評価する上位の加算区分が設けられます。

さらに、CHASEへのデータ提出とフィードバックを活用した、更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分も設けられる見込みです。

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入浴介助加算の見直し

利用者の自宅での入浴の自立を図る観点から、現行の入浴介助加算に以下2点の見直しが行われます。

①利用者が自宅において、自身または家族等の介助によって入浴を行うことができるよう、個別の入浴計画を作成し、計画に基づき事業所において個別の入浴介助を行うことを評価する、新たな区分を設ける。

個別の入浴計画は、利用者の身体状況や医師・理学療法士・作業療法士・介護支援専門員等が訪問により把握した利用者宅の浴室の環境を踏まえて、医師との連携の下に作成すること。

②現行の入浴介助加算が非常に高い算定率であることから、新たな加算区分の取り組みを促進するため、現行加算の単位数を見直す。

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事業所規模別の報酬に関する対応

感染症や災害の影響により利用者が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、以下2点の見直しが行われます。

①事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができる。

②感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者一人あたりの経費の増加に対応するための評価を行う。

※②部分は、区分支給限度基準額の算定に含めない。

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なお、現下の新型コロナウイルス感染症の影響による一定割合以上の利用者減に対する適用にあたっては、「年度当初から即時的に対応を行う」ことが示されており、現行の新型コロナウイルス感染症対応の報酬特例(毎月決まった回数に限り、実際にサービスを提供した時間よりも2区分上位の報酬を算定できる特例)は今年度で廃止となります。

処遇改善加算の職場環境等要件の見直し・処遇改善加算Ⅳ・Ⅴの廃止

介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである「職場環境等要件」について、介護事業者による職場環境改善の取り組みをより実効性が高いものとする観点から、以下の見直しが実施されます。

①職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直しを行う。

・ 職員の新規採用や定着促進に資する取組

・ 職員のキャリアアップに資する取組

・ 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組

・ 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組

・ 生産性の向上につながる取組

・ 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、

職員の勤務継続に資する取組

②職場環境等要件に基づく取組の実施について、過去ではなく、当該年度における取組の実施を求める。

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また、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて廃止へ。その際に、2021年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業所については、1年の経過措置期間が設けられます。

事務局からは、「介護職員処遇改善加算取得促進事業」において、上位区分への引き上げを強力に進める予定という発言もありました。

介護職員等特定処遇改善加算の見直し

スキル・経験のある職員の処遇改善を目的とした介護職員等特定処遇改善加算について、「リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行う」といった趣旨は維持した上で、小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の見直しが行われます。

・平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」とするルールについて、「より高くすること」とする。

つまり、「2倍以上」という制限がなくなり、より柔軟な配分が可能となります。

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口腔機能向上の取り組み充実に向けた新たな加算の創設・現行の口腔機能向上加算に新区分

利用者の口腔機能の低下を防ぐことなどを目的に、介護職員が実施可能な口腔スクリーニングの実施を評価する新たな加算がされます。その目的及び方法等に鑑み、栄養スクリーニング加算による取組・評価と一体的に行う必要があります。

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口腔機能向上加算については、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分が設けられます。

栄養ケア・マネジメントの充実に向けた新たな加算の創設

栄養改善が必要な者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていく観点から、以下3点の見直しが行われます。

①管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取組を評価する新たな加算を創設する。その際、CHASE へのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCA サイクルの推進・ケアの向上を図ることを要件の一つとする。

②栄養改善加算について、栄養改善が必要な者に適切な栄養管理を行う観点から、事業所の管理栄養士が必要に応じて居宅を訪問しての栄養改善サービスの取組を行うことを求めるとともに、評価の充実を図る。

③①及び②における管理栄養士については、外部(他の介護事業所、医療機関、介護保険施設又は栄養ケア・ステーション)との連携による配置を可能とする。

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サービス提供体制強化加算

サービス提供体制強化加算については各サービスにおいて、サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から、財政中立を念頭とした見直しが実施されます。以下には「通所介護」に関わる記載のみを抜粋してお伝えします。

・介護福祉士割合や介護職員等の勤続年数が上昇・延伸していることを踏まえ、各サービス(訪問看護及び訪問リハビリテーションを除く)について、より介護福祉士の割合が高い、又は勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。

・勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新たな区分を設定する。

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ADL維持等加算

2018年の介護報酬改定で新設されたADL維持等加算について、自立支援・重度化防止に向けた取り組みを一層推進する観点から、対象サービスの拡大を含めた見直しが行われます。現行要件の課題や算定率の低さが論点となり、緩和を軸とした算定要件に関する見直しが盛り込まれました。内容は、以下の通りです。

①クリームスキミングを防止する観点や、現状の同加算の取得状況や課題を踏まえ、算定要件について、以下の見直しを行う。

・初月と6月目のADL値の報告について、評価可能な者は原則全員報告を求める。

・リハビリテーションサービスを併用している者について、同加算取得事業者がリハビリ   テーションサービス事業者と連携して機能訓練を実施している場合に限り、同加算に係   る計算式の対象とする。

・ 利用者の総数や要介護度、要介護等認定月に係る要件を緩和する。

・ADL利得が上位85%の者について、各々のADL利得を合計したものが0以上とする要件   について、初月のADL値に応じて調整式で得られた利用者の調整済ADL利得が一定の値以   上とする。

・CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向   上を図ることを求める。

※クリームスキミング…規制緩和によって参入する新規事業者が、収益性の高い分野のみにサービスを集中させ「いいとこ取り」すること

②より自立支援等に効果的な取組を行い、利用者のADLを良好に維持・改善する事業者を高く評価する新たな区分を設ける。

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生活機能向上連携加算

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、介護事業でのICTの活用も審議報告案に含められています。生活機能向上連携加算もこれに該当しており、算定率が低い状況を踏まえたうえで、その目的である外部のリハビリテーション専門職等との連携による自立支援・重度化防止に資する介護の推進を図る観点から、以下の見直し及び対応が盛り込まれました。以下には「通所介護」に関わる記載のみを抜粋してお伝えします。

・訪問介護等における同加算と同様に、ICTの活用等により、外部のリハビリテーション専門職等が当該サービス事業所を訪問せずに、利用者の状態を適切に把握し助言した場合について評価する区分を新たに設ける。

・外部のリハビリテーション専門職等の連携先を見つけやすくするため、生活機能向上連携加 算の算定要件上連携先となり得る訪問・通所リハビリテーション事業所が任意で情報を公表 するなどの取組を進める。

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認知症加算の見直し

認知症専門ケア加算について、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、対象サービスの拡大や人員配置要件に関する見直しが実施されます。通所介護では認知症加算の人員配置要件に変更があります。

・人員配置要件

認知症加算の算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(以下、詳細を記載)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。

認知症ケアに関する専門研修は以下の通りです。

・認知症専門ケア加算(Ⅰ)・・・認知症介護実践リーダー研修

・認知症専門ケア加算(Ⅱ)・・・認知症介護指導者養成研修

・認知症加算・・・認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修

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なお、上記の専門研修について、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行うことも、審議報告案に盛り込まれています。

同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化

現行では訪問系サービスに適用されている同一建物減算適応時等の区分支給限度基準額の計算方法について、通所介護も対象とする見直しが実施されます。具体的な内容は以下の通りです。

・同一建物等居住者に係る減算の適用を受ける者と当該減算の適用を受けない者との公平性の観点から、当該減算等の適用を受ける者の区分支給限度基準額の管理において、減算等の適用前の単位数を用いることとする。

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また、通所介護については、通常規模型のサービスを利用する者と大規模型のサービスを利用する者との公平性の観点から、以下の見直しも併せて盛り込まれています。

・大規模型の報酬が適用される事業所を利用する者の区分支給限度基準額の管理において、通常規模型の単位数を用いることとする

訪問介護、通院等乗降介助の見直しに伴う減算の適用

訪問介護における通院等乗降介助について、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便性の向上の観点から、目的地が複数ある場合であっても、居宅が始点または終点となる場合には、目的地間の移送に係る乗降介助に関しても、同一の事業所が行うことを条件に、算定が可能となります。

この見直しに伴い、通所系サービスについては利用者宅と事業所との間の送迎を行わない場合に減算が適用されますので、注意が必要です。

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今後のスケジュール

12月18日の分科会にて年内の議論は終了。審議報告案をもとに、年明けから諮問・答申へと進み、新加算の単位数や見直し後の単位数など、詳細が明らかになっていきます。

引用:第197回社保審・介護給付費分科会「審議報告案にかかる参考資料(令和2年12月18日)」、第189回社保審・介護給付費分科会「訪問介護・訪問入浴介護の報酬・基準について(検討の方向性)」より

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