2025年9月上旬に開催された社会保障審議会・介護保険部会では、介護保険の資格確認にマイナンバーカードを導入する方針が了承されました。
当面は現行の紙の保険証と併用し、紙の保険証はこれまでの「65歳になったら全員に交付」する運用から「要介護認定の申請時に交付」する形に変わります。
これは2026年度から始まる新しい情報共有の仕組み「介護情報基盤」の導入に向けた動きで、事業者の事務負担軽減や、利用者に対するより質の高いサービス提供を目指すものです。
*厚労省の提案は7月配信の「介護保険被保険者証の送付を要介護認定申請のタイミングに変更―厚生労働省」で検討でも紹介しています。
今回の決定で、現場に関わる主な変更点は以下の3つです。
【1.紙の介護保険証の交付タイミングの変更】 (現在) 65歳になると全員に交付 →(今後) 要介護認定を申請したタイミングで交付 ※被保険者証の交付から実際にサービスを利用するまでの期間が長く、紛失が多いため。
【2.マイナンバーカードで資格確認が可能に】 介護事業者は、利用者のマイナンバーカードをカードリーダーで読み取ることで、資格情報(被保険者番号や要介護認定、利用者の負担割合、負担限度額など)を確認できるようになります。
【3.サービス利用時の本人確認の簡素化】 サービスの初回利用時は紙の保険証かマイナンバーカードいずれかで本人確認を求め、2回目以降は確認作業を簡素化できるようにする。
ただし、これらの運用変更について実施時期はまだ未定です。
ところで、これまでの介護保険部会では、マイナンバーカードと介護保険証の一体化についても何度か議論されてきました。 マイナンバーカードと紙の保険証は当面の間併用されることになっていますが、将来的に紙の保険証を廃止するかどうかは、まだ決まっていません。 この日も、「認知症高齢者などには紙が必要」という意見と、「情報連携のためにはマイナカードを基本にすべき」という意見の両方が出ており、今後、マイナカードの普及状況などを見ながら検討が続けられることになりそうです。
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