10月15日、オンラインで第188回社保審・介護給付費分科会が開かれ、通所介護・地域密着型通所介護の個別機能訓練加算I・IIについて議論が行われました。
個別機能訓練加算の現状としては、大規模型の算定率が比較的高い一方、通常規模型と地域密着型では算定率が低くなっています。規模の小さい事業所ほど低い傾向です。
個別機能訓練加算を算定しない理由として最も多いのは「機能訓練指導員の配置が難しいこと」です。機能訓練指導員の配置基準は、加算Iが常勤・専従1名以上(サービス提供時間帯を通じて配置)、加算IIが専従1名以上配置(配置時間の定めなし)となっています。
全国老人福祉施設協議会の小泉立志氏は、小規模事業所は常勤または専従者の配置をすることが非常に困難であることを指摘。個別機能訓練加算を推進するのであれば、要件の緩和が必要との考えを示しました。
加算を算定している事業所においても、IとIIそれぞれの目的に合わせた機能訓練項目を設定することが難しいという課題があります。利用者の訓練内容の調査から、Iを算定している場合とIIを算定している場合で、訓練内容にほとんど差がなく、Ⅱを算定していても、生活機能に関する訓練はほとんど実施されていないという結果が明らかになっています。
健康保険組合連合会の河本滋史氏は、個別機能訓練加算IとIIで実施している機能訓練の内容に差がないことや、小規模事業所の算定率が低いことに対して、それぞれの目的、機能訓練項目、人員配置等を整理して、見直すべきと指摘しました。
全国健康保険協会の安藤伸樹氏からは、加算ⅠとⅡを統合した上で、生活機能の訓練を行った場合に別で評価するという案も示されました。また、「機能訓練指導員が2名以上配置されていれば、同一日に同一の利用者に対して両加算を算定することも可能」という要件についても疑問を呈しています。
通所介護事業所と地域等との連携についても議論がなされました。厚労省は利用者の社会参加は心身の機能の維持向上にプラスであると評価。社会参加活動に参加した利用者とその家族からも高い評価を受けていること等から、通所介護においても地域密着型通所介護等と同様の規定を設けて、社会参加活動や地域交流を促進してはどうかとの方向性を示しました。
ほかに、共用型認知症対応型通所介護の管理者の兼務条件緩和についても議論がありました。共用型認知症対応型通所介護の事業所数は631あり、全事業所の18.3%を占めています。この管理者について、管理上支障がない場合は、本体施設・事業所の職務とあわせて、他の職務に従事することができることにしてはどうかとの方向性が示されました。
引用:第188回社会保障審議会介護給付費分科会「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の報酬・基準について」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月20日掲載のものです。
ライター歴8年、介護業界取材歴5年。介護業界の経営者や現場責任者、介護関連施設への取材を重ねてきました。介護業界を支える皆さまの役に立つ情報発信を心がけています。