厚生労働省は8月31日、2019年度の介護事業所保険事業報告(年報)を公表しました。全国における被保険者数やサービス受給者の状況をまとめ、報告しています。第1号被保険者数の対前年度伸び率(0.8%増)に対し、要介護または要支援の認定者数の対前年度伸び率(1.6%増)やサービス受給者数の対前年度伸び率(2.3%増)が上回る結果となっています。サービス種別の伸び率や地域差についても見ていきましょう。
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まず、全国的な数値の概要は以下の通りです。
*3,525万人(2019年3月末時点)→ 3,555万人(2020年3月末現在。対前年度比0.8%増、過去最高)
2020年3月時点の第1号被保険者のうち、前期高齢者 (65歳以上75歳未満)は1,726万人で48.5%、後期高齢者(75歳以上)は1,829万人で51.5%でした。前期高齢者は19年度に続いて対前年度比で微減(0.2%減)、後期高齢者は約33.7万人増(1.9%)で過去最高となっています。なお、高齢社会白書(2021年版)によると、前期高齢者人口のピークは2016年にすでにピークを迎えており、後期高齢者人口は2054年まで増加傾向が続く見込みです。
【グラフ】令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)の「ポイント」から抜粋
*658万人(2019年3月末時点) → 669万人 (2020年3月末時点。対前年度比1.6 %増、過去最高)
2020年3月時点の要介護及び要支援認定者(以下・認定者)数は、669万でした。このうち、第1号被保険者は656万人(男性204万人・第1号被保険者に対する割合31.1%、女性452万人・68.9%)、第2号被保険者は13万人(男性7万人・第2号被保険者に対する割合53.8%、女性6万人・46.2%)です。
認定者数の伸び率が、第1号被保険者数の伸び率を上回っています。
また、認定者を要介護(要支援)状態区分別にみると、要支援1が93万人、要支援2が94万人、要介護1が135万人、要介護2が116万人、要介護3が88万人、要介護4が82万人、要介護5が60万人で要介護3が最も多くなっています。厚労省は、この結果について、「軽度(要支援1~要介護2)の認定者が約65.6%を占めている」とまとめています。
*554万人(2018年度)→ 567万人(2019年度。対前年度比13万人/2.3%増、過去最高)
2019年度のサービス受給者数の1カ月当たり平均人数は、567万人でした。第1号被保険者数と要介護(要支援)認定者数よりも対前年度伸び率が上回っています。サービス受給者数は、要支援者への訪問介護と通所介護が完全に介護予防・日常生活支援総合事業に移行した2017年度に1度減少していますが、その後は増加を続けて過去最高を更新しました。
また、利用者負担を除いた2019年度の累計給付費(高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、特定入所者介護サービス費)は、過去最高の9兆9,622億円となっています。
次に、都道府県別の状況を見てみます。
第1号被保険者数に占める認定者の割合は高い方から和歌山(21.8%)、大阪(21.7%)、愛媛(20.9%)、京都(20.8%)、島根(20.8%)となっています。割合が低いのは、埼玉(15.4%)、茨城(15.4%)、山梨(15.6%)、栃木(15.8%)、静岡(16.1%)、千葉(16.3%)などの順です(全国平均値は18.4%)。
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