2024年度介護報酬改定にむけ、8月末から9月にかけてはサービス横断で対応すべき事項についての検討が進んでいます。
本記事では「地域包括ケアシステムの深化・推進」を図る切り口の1つである「認知症への対応力強化」について、社会保障審議会・介護給付費分科会での論点や検討状況を整理します。認知症関連加算の算定率の低さを踏まえた要件の見直しや、エビデンスに基づくBPSDへの対応への評価を求める声などが出ています。
222回の同分科会(8月30日開催)にて、厚労省が示した議題は以下の通りです。
【地域包括ケアシステムの深化・推進】 1.認知症への対応力強化 2.医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護 3.新しい複合型サービス 4.地域の特性に応じたサービスの確保
これに加えて、【自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進】を図るためのテーマとして、LIFEについても取り上げられています。
本記事で整理する「1.認知症への対応力強化」について、厚労省が提示した論点を下記に示します。
介護施設や事業所の.認知症への対応力強化を図るうえでは2021年度介護報酬改定でも
といった見直しが実施されました。
しかし、認知症専門ケア加算は、訪問介護で加算(I)の算定率がおよそ0.01%、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では0.7%と算定率は低迷しています。
厚労省は算定率が著しく低い背景について、「算定要件の一つである認知症自立度の利用者割合が、必ずしも各サービスの利用者実態と合致していないケースがある」としています。
こうした現状に対し、複数の委員から算定要件の見直しを求める意見があがりました。また、要件にある「認知症ケアに関する専門研修」について、「希望してもなかなか受けられない現状」を算定率低迷の一因と指摘し、さらなる受講環境の整備を要望する意見もありました。
続いて、認知症の認知機能・生活機能に関する評価尺度を巡る検討です。
厚労省はこの日、2021年度・2022年度実施の調査研究事業にて、BPSDの予防・軽減を目的とした認知症ケアモデルの普及促進に関する検証を行い「有効性が示された」ことを明らかにしました。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。