10月15日、オンラインで第188回社保審・介護給付費分科会が開かれ、通所介護と通所リハビリテーションの入浴介助加算について、論点と検討の方向性が示されました。
通所介護と通所リハビリテーションともに、入浴における事業所の自立支援などの取り組みを報酬で評価していく方針が示されています。それぞれの議論を見ていきましょう。
入浴介助加算の算定率(事業所ベース・2019年3月サービス提供分)は、通所介護94.5%、地域密着型通所介護77.8%、認知症対応型通所介護98.1%、介護予防認知症対応型通所介護69.8%と非常に高くなっています。
厚生労働省は現状一律50単位/日の入浴介助加算について考える上で、事業所の努力を踏まえることについて言及。通所介護においては、自宅での入浴回数を把握したり、個別機能訓練計画に入浴の項目(着脱衣・洗髪・浴槽またぎ等)を設定している事業所があることに触れました。
通所リハビリテーションについても、入浴介助加算の算定率(事業所ベース・2019年10月分)は75.2%と高くなっています。
通所リハビリテーションにおける入浴介助加算も通所介護と同様に、一律に50単位/日です。こちらの論点では、入浴する際の利用者の能力にかかわらず、一律の単価となっていることが指摘されました。転倒予防のための声かけや気分の確認など入浴時の「見守り」と、身体に触れる介助を行った場合とで、単価は変わりません。このような現状において、利用者のADL評価やリハビリテーションを促進するための方策が議論されました。
厚労省は、通所介護と通所リハビリテーションともに、利用者の個々の能力に対応し、入浴における自立支援に取り組むことを評価する方針です。入浴の重要性を指摘する委員は多く、概ね賛成の意見が集まりました。
全国老人福祉施設協議会の小泉委員は、入浴介助の単価とは別に、入浴のアセスメントを行った場合の評価も新設してはどうかと提案。
日本医師会の江澤和彦氏は、通所サービスは本来、自宅浴槽での入浴を継続することが目的であるとの認識を示した上で、入浴ケアに対し、集団的ケアから脱却し、個別ケアを評価する報酬体系の提案をしています。
また、算定率の高さから、基本報酬に組み込むなどの意見もあがりました。基本報酬に組み込まれた場合には、短時間型で、入浴や身体清潔のケアの取り組みを行っていない事業所について、減算という意見もあがっています。これらの意見をもとに、年末に向けて検討が進みます。
引用:第188回社会保障審議会介護給付費分科会「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の報酬・基準について」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月20日掲載のものです。
ライター歴8年、介護業界取材歴5年。介護業界の経営者や現場責任者、介護関連施設への取材を重ねてきました。介護業界を支える皆さまの役に立つ情報発信を心がけています。