社会保障審議会・介護給付費分科会では1月16日、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算(以下・特定加算)、介護職員等ベースアップ等支援加算の1本化に向けた検討が始まりました。制度の詳細は今後の検討に委ねられることになり、まずは現行の加算を算定するための様式が簡素化されます。23年4月分の加算算定に必要な計画書も新しくなります。
介護職員らの処遇改善を目的とした現行の加算は、前述の3種類です。これらを算定する事業所は、毎年度複雑なルールにのっとり手続きをする必要があります。厚生労働省もこうした状況を課題と捉えており、加算そのものの1本化や手続きの簡素化に向けて検討を進めることを22年12月に公表しています。
(【画像】第213回社会保障審議会介護給付費分科会の資料より(23年1月16日開催。以下同様))
3つの加算の制度としての1本化は、24年度介護報酬改定に向けて今後の社会保障審議会・介護給付費分科会などで検討事項として扱われます。
これに先立ち、1月16日の同分科会では23年度分(令和5年度)各加算を算定するために必要な様式の変更案が示されました。
具体的な変更点は大きく分けて3つあります。
【1】計画書の作成時に現行で必要としている”加算算定年度とその前年度の賃金額の比較”について記載を省略する。 ※加算を算定する年度における賃金改善見込み額が、加算算定により得られる金額を上回ることを様式で確認する。また、加算による原資以外の部分でこれまで支払っていた賃金を下げない旨、誓約を求める(23年度の計画書から適用。)
【3】複数の事業所を運営している法人の場合、賃金総額や賃金改善額など事業所ごとの内訳の記載を不要とし、法人単位で確認する(22年度の実績報告書、2023年度の計画書から適用)。
なお、3種類の加算は賃上げの対象者や配分についての規定が異なります。例えば、特定加算には職種間の配分ルールという独自の要件があります。会合では、自治体側から新様式でこれをどのように確認するのか質問がありました。
これに対して同省の古元重和老人保健課長は、2の実績報告書では3つの加算を1本化して賃金の改善状況を確認するという形にするものの、「職種については確認ができるような様式を工夫してまいりたい」と回答しています。また、3に関して、事業所の一覧自体は様式の中に残す予定だと説明しました。
各種様式は、厚労省の提案通りの内容で簡素化が進められることになりました。
新様式は2月に通知で示されます。そのほか当面のスケジュールは、以下の通りです。
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