訪問看護事業所職員の賃上げはどうなる?看護職の処遇改善巡る議論の整理

2022.01.13
2023.12.21
会員限定
ホームニュース訪問看護訪問看護事業所職員…

岸田文雄政権の発足以降、介護や看護に携わる方々の賃上げについて、その動向が話題になっています。介護職員に対する手当てについては、「介護職員処遇改善支援補助金」の創設や、10月に臨時の介護報酬改定が実施されることが決まりました。それでは、介護職員処遇改善支援補助金の支給対象外となっている訪問看護事業の従事者の処遇はどうなるのでしょうか。看護師の賃金を巡るこれまでの議論や決定事項から読み解いてみましょう。

目次
    訪問看護は10月以降も処遇改善の対象外か。日看協は対応検討を要望
      「すべての職場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善」公的価格評価検討委の方針
        訪問看護基本療養費への加算が検討の俎上に乗るか、看護師に限らず幅広い賃上げ求める声も

          訪問看護は10月以降も処遇改善の対象外か。日看協は対応検討を要望

          2021年11月に政府がまとめた経済政策を受け、12月20日に成立した21年度補正予算には、介護職員や保育士、看護師らの月収を来年2月から9月まで引き上げるための経費が盛り込まれました。これにより、介護職員(または対象施設・事業所が指定する職員)の賃上げを実施するための「介護職員処遇改善支援補助金」が創設されます。

          しかし、訪問看護事業所は、この補助金の支給対象から外れています。

          介護職員処遇改善支援補助金の創設について、厚生労働省が社会保障審議会・介護給付費分科会の委員に書面で説明した際、日本看護協会常任理事の田母神裕美委員は、介護保険施設や看護小規模多機能型居宅介護などの介護領域で働く看護職員の処遇改善について、検討の機会を設けるよう求めました(第205回社会保障審議会介護給付費分科会・21年12月24日)。

          特に、訪問看護については「あらたな方策の検討が必要」と強調しています。

          これに対し厚労省は、10月以降の臨時報酬改定について協議を開始した22年1月12日時点で、「介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組み等を基本的に引き継ぐ」形で加算を創設することを提案しています。この方針に変更がなければ、訪問看護事業所は10月に新設される加算も算定できないことになります。

          【画像】第206回社会保障審議会介護給付費分科会資料(2022年1月12日開催)

          「すべての職場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善」公的価格評価検討委の方針

          国は看護師の賃上げを明言していたはずですが、訪問看護は蚊帳の外なのでしょうか。看護師の賃上げを巡る検討について少し遡ってみましょう。

          残り2169文字
          この資料は会員限定コンテンツです。
          会員情報をご登録いただくと、
          介護業界の経営支援に役立つ限定公開記事をお読みいただけます。
          業界ニュースや
          専門家記事が
          無料で読み放題
          加算も取得できる
          研修動画が
          無料で見放題
          業務で使う
          各種帳票が
          無料ダウンロード
          関連記事
          介護経営ドットコム編集部
          2024.09.17
          訪問介護事業に特化した支援策を実施―厚生労働省
          #訪問介護 #介護給付費分科会 #人材採用/定着
          浜中俊哉
          2024.05.27
          証券マンからの転身:在宅介護・訪問看護事業の社長へ②―医療現場出身の職員が営利企業で活躍するために
          #起業・開業/事業拡大 #訪問看護 #居宅系サービス
          カイポケ訪問看護マガジン編集部
          2024.02.21
          訪問看護のオンライン資格確認、補助金申請に関する詳細を公開
          #訪問看護 #補助金・助成金