【2024年介護報酬改定】特定施設の人員配置基準緩和、反対意見押し切り実施│厚労省「企業の努力の芽を育てるべき」

2023.12.20
2024.01.11
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2024年度介護報酬改定項目を示す社会保障審議会・介護給付費分科会の審議報告が12月19日にまとまりました

今回の改定では、介護現場におけるICT機器などの活用を推進する施策が幅広いサービスで導入されます。とりわけ、最後まで反対意見が多かったのが、特定施設における人員配置基準の「特例的緩和」です。結果として要件の緩和を受けるにはかなり複雑な要件を満たす必要があります。厚生労働省の担当課長は、審議報告のとりまとめ作業に入る前の段階で、この施策の意義について説明しています。

実際に確定した要件と厚労省の考え方についてご紹介します。

目次
    特定施設の人員配置基準の特例的緩和が認められる条件とは
    厚労省は施策に理解を求め「スピード感」と「実施後の検証実施」を強調

      特定施設の人員配置基準の特例的緩和が認められる条件とは

      テクノロジー等の活用(見守り機器やインカム、記録用のICTツール)などを導入する特定施設の「人員配置基準の緩和」については、これまでの分科会で複数の委員から「慎重に判断すべき」との意見が出ていました。これまで示されてきた実証データが不十分であったことなどがその理由です。

      そうした意見を受けて厚労省は、「介護サービスの質の確保」「職員の負担軽減」への取り組みが認められる指定特定施設にのみ限定的に緩和を認めることを強調し、詳細な要件を明示していました。

      まず、19日に公表された「審議報告」で示された改定内容を整理します。

      人員基準に関する見直しの詳細な内容

      人員配置基準の特例的な柔軟化は、生産性の向上に先進的に取り組む特定施設に限って認められるものです。具体的には、以下の条件を満たす指定特定施設のみ、施設に配置する看護職員及び介護職員の配置すべき人数が常勤換算で「3:0.9」以上に緩和が認められます。

      • 利用者の安全・介護サービスの質の確保、職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(24年度改定で短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービスを対象に義務化される項目。3年間の経過措置あり)を開催し、生産性向上の取組みに必要な安全対策について検討している。
      • 「業務の効率化、質の向上、職員の負担の軽減に資する機器(※)」全てを導入するとともに、業務の明確化や見直し、役割分担(いわゆる介護助手の活用等)を行うなど、介護サービスの質の確保、及び職員の負担軽減に対する取り組みを実施している。

      ※)①見守り機器、②インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器、③介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る)

      ※)①はすべての居室に設置、②はすべての介護職員が使用すること。

      これらの条件に加え、基準緩和を受けるには、以下の要件を踏まえて都道府県に届け出が必要です。

      (ア)
      人員配置基準の合計数について、常勤換算で「3:0.9」以上とする。基準の適用には、(イ)の試行結果として指定権者(都道府県)に届け出た人員配置を限度とする。

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