訪問看護事業所を運営する皆様の中には、目標とする売上を達成するために、稼働率を中間指標として経営改善を考えているのではないでしょうか?
そして、目標とする稼働率を設定する際に、「訪問看護の稼働率はどのように計算するの?」や「何を目安に目標とする稼働率を設定すればいいの?」と悩んでいるのではないでしょうか。
この記事では、訪問看護事業所の経営者・管理者の皆様に向けて、稼働率の計算方法や、1人当たり訪問回数や売上の全国平均、稼働率をアップする方法などについて解説していきます。
訪問看護事業所における稼働率は、「職員が勤務時間内にどれだけサービス提供を行うことができたかを表す指標」となっています。
稼働率を上げるということは、サービスの提供にあたる時間を長くし、手待ち時間や事務業務、移動などの時間を短くするということになります。
訪問看護事業所の稼働率は、以下のように算出します。
稼働率=1カ月のサービス提供時間数÷看護師等の1カ月の勤務延時間数
管理者は訪問が可能な時間だけ勤務延時間に含め、事務員等の勤務時間は含めません。
また、看護師等の勤務延時間数には、休憩時間は含めないことにも留意しましょう。
【勤務延時間数に含めるもの】
ここからは、厚生労働省の調査から、訪問看護事業所における売上や訪問回数の全国平均を見ていきます。
厚生労働省の「令和4年度介護事業経営概況調査結果」によると、
となっています。
厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査」によると、収入と支出の差を表す収支差率は、訪問回数別で見ると以下のようになっています。
訪問看護事業所では、訪問回数が増えるほど、収支差率が大きくなる傾向があることが分かります。
訪問看護事業所の稼働率をアップするためには、サービス提供時間数と1カ月の勤務延時間数の差を最小化させること。つまり、勤務延時間数の中で、サービス提供時間を増やしつつ、事務業務や移動時間などの占める割合を減らすことが重要です。
それぞれ具体的な方策について見ていきましょう。
サービス提供時間を増やすためには、利用者数を増やす必要があります。ケアマネジャーなどに事業所を認知してもらい、信頼関係を築くことが重要です。
【利用者数を増やす方法】
事業所までの移動時間がかかってしまうことや事務業務に時間がかかることで、訪問スケジュールが組めなかったり、残業になってしまったりすることはよくあります。
【事務業務の効率化・移動時間の削減の方法】
ここまで、訪問看護事業所における稼働率の計算方法や、稼働率を上げるための取り組みについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
サービス提供時間は請求データから、勤務延時間数は労働時間から算出することができますので、稼働率を算定していない場合は、ご自身の事業所の稼働率を算定して把握しましょう。そして目標とする稼働率を設定しましょう。
稼働率をアップするためには、記録ソフトを導入して記録の入力時間を削減したり、外出先から連絡・報告が行えるようチャットアプリを導入したりするなどの方法がありますので、ソフト・システム等の導入を検討してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。