訪問看護事業所を運営するためには従業員を雇用する必要がありますが、訪問看護事業は特に看護職員の確保が難しい状況となっています。そのために、職員の定着は、事業者が優先して取り組むべき事項の一つになってきます。
訪問看護事業所を運営する皆さまは、「職員の離職が相次いでしまった。どうすれば人材を定着させられるの?」や「質の高いサービスを提供するためにも、職員に定着してもらいたい。何かいい方法はあるの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
そのような経営者・管理者の皆さまに向けて、この記事では、訪問看護事業所で人材が定着しない要因と人材定着のための具体的な対策などについて解説していきます。
まずはじめに、人材にできるだけ長く働いてもらうメリットを再確認しましょう。訪問看護事業所で人材を定着させることには、以下のようなメリットが考えられます。
このように、人材を定着させることで、コスト削減や労働生産性・利用者様の満足度アップが期待できます。
次に、人材が定着しない訪問看護事業所には、どのような要因があるのか見ていきましょう。
訪問看護と全産業平均の離職率の推移が、以下のグラフです。
全産業平均の離職率がほぼ横ばいなのに対し、訪問看護の離職率は右肩上がりになっています。
また、2021年度の全産業平均の離職率は『13.9%』なのに対し、訪問看護の離職率は『22.1%』と、大きな開きが出ていることが分かります。
そのため、訪問看護は平均と比べて人材の入れ替わりが激しい業種だと言えるでしょう。
訪問看護事業所の職員はどのような理由で退職するのでしょうか。愛知県が2021年に実施した「令和3年度医療機関等看護職員需要調査結果」によると、訪問看護ステーションにおける看護職員の早期退職(採用年度内で退職)した理由は以下のようになっています。
職員が働きやすい職場の特徴を知るために、看護師が離職をとどまった背景を見ていきましょう。
株式会社エス・エム・エスが2022年に実施した「看護師の働き方に関する意識調査」は、転職活動を開始して取りやめた経験がある人への調査を行っています。
それによると、退職を取りやめるに至った理由は以下のようになっています。
※この調査は訪問看護師だけではなく、病院などで働く看護師も含まれています。
このように、労働条件や給与、人間関係を改善することが、職員の定着につながってくることが分かります。
これまで見てきたように、労働条件や人間関係などが良好だと感じている職場は、人材が定着しやすい傾向にあります。反対に、職場環境への不適応や、健康面・精神面の不安が離職につながっているようです。
それでは、人材定着のための具体的な方法をご紹介します。
働く中で不満や不安を感じることは、誰でもあるでしょう。人材を定着させるために大切なのは、そうした不安を早期に把握して、解決に向けた行動をとることです。
具体的には以下のような方法が考えられます。
スキルアップを支援することで、職員の自信やモチベーションが向上し、職場への定着につながります。
給料や福利厚生、ワークライフバランスの充実など、労働条件の改善を行うことも大切です。
具体的には、以下のような方法が考えられます。
定着率を上げるためには、採用時のミスマッチを減らすことも重要です。
ここまで、訪問看護ステーションで人材を定着させるメリットや、人材定着のための具体的な方法について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
職員にできるだけ長く働き続けてもらうためには、採用時にミスマッチを防ぐことはもちろん、働く中で出てきた不安や不満をいち早くキャッチアップし、対応していくことが大切です。
ここでご紹介した内容が皆様の事業所の人材定着に役立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。