新加算の要望まとめ 2021年報酬改定に向けて事業者団体ヒアリング 介護給付費分科会

2020.11.30
2020.11.30
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厚生労働省は8月3日に社会保障審議会 介護給付費分科会をオンラインで開催。2021年度の介護報酬改定に向けて、事業者団体のヒアリングを実施しました。各団体から新たな加算の創設について要望があがっています。まとめて確認しておきましょう。

目次
    訪問介護(日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会)
      訪問看護(全国訪問看護事業協会)
        小規模多機能(全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会)
          介護保険施設(日本栄養士会)
            通所・訪問リハビリテーション(全国リハビリテーション医療関連団体協議会)
              その他(全国介護事業者連盟、全国社会福祉法人経営者協議会、日本福祉用具・生活支援用具協会)

                訪問介護(日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会)

                ●サービス提供責任者の業務に対する加算

                サービス提供責任者が、その役割としての業務ではなく、訪問業務にほとんどの時間を費やしているという現場の状況から、本来の役割を担うために、サービス提供責任者としての業務に対する加算の創設を求めました。具体的には下記業務があげられています。

                ・退院、退所時のカンファレンスに参加した場合

                ・緊急時等のカンファレンスに参加した場合

                ・ターミナルケアにおいて利用者宅を訪問し、心身状況の確認やサービスの調整を行った場合

                ●土・日曜、祝日や年末年始等の訪問に対する休日加算

                休日に勤務する職員の負担は大きく、割増料金を事業所の持ち出しで支払っている現状もあるとして、休日加算の創設を求めました。

                ●新型コロナウイルス対策を評価する加算

                訪問介護サービスの提供時には利用者と密接せざる得ない状況にあることから、訪問看護における「特別管理加算」のような感染症加算の創設を要望しました。また、通所介護や訪問看護で認められている電話等での状態確認についても算定できるよう求めました。

                ●ターミナルケア加算、認知症専門ケア加算

                ターミナル期の利用者の状況に合わせたケアや、認知症の利用者への専門的なケアなどが増加している現状に合わせて、訪問介護においても、ターミナルケア加算、認知症専門ケア加算を算定できるよう求めました。

                訪問看護(全国訪問看護事業協会)

                ●入院・入所時の医療機関等への情報提供に対する加算

                2018年度の診療報酬改定において、入院する利用者についての情報を提供した場合に、情報提供療養費3の算定が可能になっています。これに合わせて、介護報酬においても、情報提供に対する加算を創設するよう求めています。

                小規模多機能(全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会)

                ●入院時情報連携加算、退院・退所加算

                サービス利用中に入院することや、医療機関に同行し症状等を説明するケースが増加している現状に合わせて、居宅介護支援と同様に、入院時情報連携加算、退院・退所加算を算定できるよう求めました。

                介護保険施設(日本栄養士会)

                ●中・大規模介護保険施設への管理栄養士の複数配置に対する加算

                日本栄養士会は、定員80名の介護保険施設に対して常勤の管理栄養士を2名以上配置した場合に、在宅復帰や入院抑制の効果があったというデータを示し、管理栄養士の複数配置についての加算を要望しました。

                ●入院時・在宅復帰時の栄養情報提供に対する加算

                介護保険施設から医療機関に入院する際、または在宅生活に復帰する際の、栄養情報提供書の発行に対して評価を求めました。

                通所・訪問リハビリテーション(全国リハビリテーション医療関連団体協議会)

                ●退院前のカンファレンス参加に対する加算

                退院後に利用の予定がある通所リハ・訪問リハの医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、退院前カンファレンス等の話し合いの場に参加した際に、居宅介護支援や訪問看護と同様に算定可能とすることを求めました。退院後のリハビリをより早く、スムーズに開始することが目的です。

                ●PT・OT・STの3職種配置に対する加算

                2017年度の調査によると、通所リハにおいて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種を配置している事業所の割合は27%で、各加算の取得率が高いといいます。通所リハにおいて専門職がより活躍できるよう、3職種の配置に対する加算の創設を要望しました。

                ●VISITのデータ提供に対する加算

                リハマネ加算Ⅰ・Ⅱにおいて、VISITへのデータ提供に対する加算の創設を求めました。また、提出書類の作成に初回は1時間以上要しているという現状から、提出書類の削減案も示しました。

                ●老健施設のリハ専門職配置に対する加算

                老健施設での個別リハに対する評価が不十分であるとして、入所者への個別リハにおいて、最低3名以上のリハ専門職を配置した場合の加算を要望しました。

                ●離床を促す取組に対する加算

                介護医療院、介護療養型医療施設、介護老人保健施設の入所者に対して、医師の医学的管理下において離床の取組等を実施し、ADLが維持・向上した場合に、それを評価する加算の創設を求めました。

                ●専門職人材を派遣したことに対する加算

                生活機能向上連携加算では、専門職を派遣した側には報酬設定がありません。通所介護等との連携を促進するためにも、派遣した側への報酬を設定してはどうかという提案がありました。

                その他(全国介護事業者連盟、全国社会福祉法人経営者協議会、日本福祉用具・生活支援用具協会)

                ●「CHASE」の活用に対する加算

                「 CHASE 」について、できるだけ多くのデータを収集することが重要であるとして、情報を提供する施設・事業所の負担を考慮し、インセンティブ措置を導入してはどうかという提案がありました。

                ●AIを活用したケアプラン作成を推進するための加算

                全国介護事業者連盟は、生産性向上に寄与するICT関連機器の活用を評価する加算の拡充を求めました。具体的には、AIを活用したケアプラン作成を推進するための加算の創設を要望しています。

                ●感染症・災害対策に対する加算

                新型コロナウイルス感染症や7月の豪雨災害など、法人経営・施設運営に大きなダメージがある中、 感染症対策や災害対策に関する体制構築を評価する加算を創設し、非常時を見据えた体制強化を促進すべきという要望がありました。

                ●ロボット・センサー等の活用を促進するための加算

                新型コロナウイルス対策において、見守り機器の非接触・遠隔管理が、感染リスクの減少に貢献しているという声があるとして、ロボット・センサーの評価の拡大と全施設を対象することを求めました。また、導入施設への運用支援を加えた新たな加算を検討してはどうかという提案がありました。

                各事業者団体から、新しい加算の創設について様々な要望があがりました。これらのヒアリング結果を参考に、今後の議論が進みます。どのような加算が創設されるのか、議論の動向をチェックしておきましょう。

                ※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年8月6日掲載のものです。

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