【2024年度介護報酬改定】通所リハビリテーションの基本報酬新旧比較と新設加算まとめ―大規模事業所もリハの実施体制を基本報酬で評価

2024.03.05
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2024年度の介護報酬改定(※リンク先:社保審・介護給付費分科会)で、通所リハビリテーションは基本報酬の区分が見なおされ、大規模型事業所の区分が1つに統合されます。

また、リハビリテーションマネジメントを実施する体制などが充実している事業所を評価するために、「リハビリテーションマネジメント加算」を算定する利用者の割合が8割を超えるなどの要件を満たした大規模事業所は、通常規模型と同等の評価が行われるようになります。

新設加算としては、事業所の理学療法士等が医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行うことを評価する「退院時共同指導加算」(600単位)と介護職員等処遇改善加算があります。また、介護予防通所リハビリテーションでは、この2種に加えて、現行の「選択的サービス複数実施加算」が見直され、「一体的サービス提供加算」(480単位)が新設されます。

なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、通所リハビリテーションの改定実施時期は6月1日です。

【通所リハビリテーション】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較―大規模型は統合

2024年度介護報酬改定では、通所リハビリテーションの基本報酬の体系が見直され、現行では2つに区分されていた大規模型(Ⅰ)(Ⅱ)が1つに統合されます。

なお、通常型の基本報酬は引き上げられます。改定前後の基本報酬に関する比較表は以下の通りです。

【通所リハビリテーション】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬新旧比較表

基本部分 分類 単位数

(現行)

単位数

(改正後)

増減
通常規模型

1時間以上2時間未満

要介護1 366単位 369単位 +3単位
要介護2 395単位 398単位 +3単位
要介護3 426単位 429単位 +3単位
要介護4 455単位 458単位 +3単位
要介護5 487単位 491単位 +4単位
通常規模型

2時間以上3時間未満

要介護1 380単位 383単位 +3単位
要介護2 436単位 439単位 +3単位
要介護3 494単位 498単位 +4単位
要介護4 551単位 555単位 +4単位
要介護5 608単位 612単位 +5単位
通常規模型

3時間以上4時間未満

要介護1 483単位 486単位 +3単位
要介護2 561単位 565単位 +4単位
要介護3 638単位 643単位 +5単位
要介護4 738単位 743単位 +5単位
要介護5 836単位 842単位 +6単位
通常規模型

4時間以上5時間未満

要介護1 549単位 553単位 +4単位
要介護2 637単位 642単位 +5単位
要介護3 725単位 730単位 +5単位
要介護4 838単位 844単位 +6単位
要介護5 950単位 957単位 +7単位
通常規模型

5時間以上6時間未満

要介護1 618単位 622単位 +4単位
要介護2 733単位 738単位 +5単位
要介護3 846単位 852単位 +6単位
要介護4 980単位 987単位 +7単位
要介護5 1,112単位 1,120単位 +8単位
通常規模型

6時間以上7時間未満

要介護1 710単位 715単位 +5単位
要介護2 844単位 850単位 +6単位
要介護3 974単位 981単位 +7単位
要介護4 1,129単位 1,137単位 +8単位
要介護5 1,281単位 1,290単位 +9単位
通常規模型

7時間以上8時間未満

要介護1 757単位 762単位 +5単位
要介護2 897単位 903単位 +6単位
要介護3 1,039単位 1,046単位 +7単位
要介護4 1,206単位 1,215単位 +9単位
要介護5 1,369単位 1,379単位 +10単位
基本部分 分類 単位数(現行)

Ⅰ/Ⅱ

単位数

(改正後)

増減

Ⅰ/Ⅱ

大規模型

1時間以上2時間未満

要介護1 361/353単位 357単位 -4/+4単位
要介護2 392/384単位 388単位 -4/+4単位
要介護3 421/411単位 415単位 -6/+4単位
要介護4 450/441単位 445単位 -5/+4単位
要介護5 481/469単位 475単位 -6/+6単位
大規模型

2時間以上3時間未満

要介護1 375/368単位 372単位 -3/+4単位
要介護2 431/423単位 427単位 -4/+4単位
要介護3 488/477単位 482単位 -6/+5単位
要介護4 544/531単位 536単位 -8/+5単位
要介護5 601/586単位 591単位 -10/+5単位
大規模型

3時間以上4時間未満

要介護1 477/465単位 470単位 -7/+5単位
要介護2 554/542単位 547単位 -7/+5単位
要介護3 630/616単位 623単位 -7/+7単位
要介護4 727/710単位 719単位 -8/+9単位
要介護5 824/806単位 816単位 -8/+10単位
大規模型

4時間以上5時間未満

要介護1 540/520単位 525単位 -15/+5単位
要介護2 626/606単位 611単位 -15/+5単位
要介護3 711/689単位 696単位 -15/+7単位
要介護4 821/796単位 805単位 -16/+9単位
要介護5 932/902単位 912単位 -20/+10単位
大規模型

5時間以上6時間未満

要介護1 599/579単位 584単位 -15/+5単位
要介護2 709/687単位 692単位 -17/+5単位
要介護3 819/793単位 800単位 -19/+7単位
要介護4 950/919単位 929単位 -21/+10単位
要介護5 1,077/1,043単位 1,053単位 -24/+10単位
大規模型

6時間以上7時間未満

要介護1 694/670単位 675単位 -19/+5単位
要介護2 824/797単位 802単位 -23/+5単位
要介護3 953/919単位 926単位 -27/+7単位
要介護4 1,102/1,066単位 1,077単位 -25/+11単位
要介護5 1,252/1,211単位 1,224単位 -28/+13単位
大規模型

7時間以上8時間未満

要介護1 734/708単位 714単位 -20/+6単位
要介護2 868/841単位 847単位 -21/+6単位
要介護3 1,006/973単位 983単位 -23/+10単位
要介護4 1,166/1,129単位 1,140単位 -26/+11単位
要介護5 1,325/1,282単位 1,300単位 -25/+18単位

※旧大規模型Ⅰ及びⅡは廃止し、大規模型に統合する。

※以下の条件をすべて満たした大規模型事業所は、通常規模型と同様の単位数を算定できる。

  • リハビリテーションマネジメント加算の算定率が利用者全体の80%を超えていること
  • リハビリテーション専門職の配置が10:1以上であること
基本部分 分類 単位数(現行) 単位数

(改正後)

増減
介護予防

通所リハビリテーション

要支援1 2,053単位/月 2,268単位/月 +215単位
要支援2 3,999単位/月 4,228単位/月 +229単位

(【表】 「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」(改正告示案。社保審了承済み)を基に作成)

介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。
第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省

【通所リハビリテーション】3種類の新設加算

24年度改定で通所リハビリテーション及び介護予防通所リハビリテーションに新設される加算は、以下の3種類です。

  • 退院時共同指導加算
  • 介護職員等処遇改善加算
  • 一体的サービス提供加算(介護予防のみ)

具体的な単位数や要件を以下に概説します。

①退院時共同指導加算【通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション】

医療機関からの退院後に介護保険のリハビリテーションを行う際、リハビリテーション事業所(訪問・通所)の理学療法士等が、医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行ったことを評価する加算です。

加算名 単位数
退院時共同指導加算

(新設)

600単位/月

退院時共同指導加算(通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション)の算定要件

病院または診療所に入院中の者が退院するに当たり、通所リハビリテーション事業所の医師または理学療法士、作業療法士あるいは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し 、退院時共同指導(病院や診療所の主治の医師、PT、OT、STその他の従業者との間で退院患者に関する情報を相互に共有した上で、患者またはその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、通所リハビリテーション計画に反映させること)を行った後に、初回の指定通所リハビリテーションを行った場合に、 退院につき1回に限り、所定単位数を加算する。

②介護職員等処遇改善加算【通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション】

現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。

介護職員等処遇改善加算の単位数(加算率)

介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。

介護職員等処遇改善(新設)

【通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション】

8.6% 8.3% 6.6% 5.3%

※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。

介護職員等処遇改善加算の算定要件等

  • 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
  • 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てること。
  • それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分すること。

③一体的サービス提供加算【介護予防通所リハビリテーション】

予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進するとともに、報酬体系の簡素化を行うため、運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定していることを評価する「選択的サービス複数実施加算」について見直しが行われます。※運動器機能向上加算は2024年度改定で廃止し、基本報酬に包括化

一体的サービス提供加算(新設)
480単位/月

一体的サービス提供加算の算定要件等

以下の要件を全て満たす場合、一体的サービス提供加算を算定する。

  • 栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを実施していること。
  • 利用者が介護予防通所リハビリテーションの提供を受けた日に、利用者に対し、栄養改善サービスまたは口腔機能向上サービスのうちいずれかのサービスを行う日を1月につき2回以上設けていること。
  • 栄養改善加算、口腔機能向上加算を算定していないこと。

(参考:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省

既存の加算の見直しなどを含む通所リハビリテーションの改定事項は21項目

ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、通所リハビリテーションの改定事項は21項目あります。

(【画像】:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省

※各概要はリンク先の資料をご確認ください。

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