2024年度の介護報酬改定(※リンク先:社保審・介護給付費分科会)で、通所リハビリテーションは基本報酬の区分が見なおされ、大規模型事業所の区分が1つに統合されます。
また、リハビリテーションマネジメントを実施する体制などが充実している事業所を評価するために、「リハビリテーションマネジメント加算」を算定する利用者の割合が8割を超えるなどの要件を満たした大規模事業所は、通常規模型と同等の評価が行われるようになります。
新設加算としては、事業所の理学療法士等が医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行うことを評価する「退院時共同指導加算」(600単位)と介護職員等処遇改善加算があります。また、介護予防通所リハビリテーションでは、この2種に加えて、現行の「選択的サービス複数実施加算」が見直され、「一体的サービス提供加算」(480単位)が新設されます。
なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、通所リハビリテーションの改定実施時期は6月1日です。
2024年度介護報酬改定では、通所リハビリテーションの基本報酬の体系が見直され、現行では2つに区分されていた大規模型(Ⅰ)(Ⅱ)が1つに統合されます。
なお、通常型の基本報酬は引き上げられます。改定前後の基本報酬に関する比較表は以下の通りです。
(現行)
(改正後)
1時間以上2時間未満
2時間以上3時間未満
3時間以上4時間未満
4時間以上5時間未満
5時間以上6時間未満
6時間以上7時間未満
7時間以上8時間未満
Ⅰ/Ⅱ
※旧大規模型Ⅰ及びⅡは廃止し、大規模型に統合する。
※以下の条件をすべて満たした大規模型事業所は、通常規模型と同様の単位数を算定できる。
通所リハビリテーション
(【表】 「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」(改正告示案。社保審了承済み)を基に作成)
介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。 第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省
24年度改定で通所リハビリテーション及び介護予防通所リハビリテーションに新設される加算は、以下の3種類です。
具体的な単位数や要件を以下に概説します。
医療機関からの退院後に介護保険のリハビリテーションを行う際、リハビリテーション事業所(訪問・通所)の理学療法士等が、医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行ったことを評価する加算です。
(新設)
病院または診療所に入院中の者が退院するに当たり、通所リハビリテーション事業所の医師または理学療法士、作業療法士あるいは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し 、退院時共同指導(病院や診療所の主治の医師、PT、OT、STその他の従業者との間で退院患者に関する情報を相互に共有した上で、患者またはその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、通所リハビリテーション計画に反映させること)を行った後に、初回の指定通所リハビリテーションを行った場合に、 退院につき1回に限り、所定単位数を加算する。
現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。
介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。
【通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション】
※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。
予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進するとともに、報酬体系の簡素化を行うため、運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定していることを評価する「選択的サービス複数実施加算」について見直しが行われます。※運動器機能向上加算は2024年度改定で廃止し、基本報酬に包括化
以下の要件を全て満たす場合、一体的サービス提供加算を算定する。
(参考:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省)
ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、通所リハビリテーションの改定事項は21項目あります。
(【画像】:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省)
※各概要はリンク先の資料をご確認ください。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。