【2024年度介護報酬改定】短期入所生活介護(ショートステイ)は基本報酬引き上げも長期利用は適正化|報酬単位一覧と新設加算の概要・要件まとめ

2024.02.19
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2024年度の介護報酬改定後の算定構造や単位が公表されているところです。(※リンク先:社保審・介護給付費分科会)。短期入所生活介護(ショートステイ)は基本報酬が5〜11単位の引き上げとなります。

しかし、一方で長期利用については施設入所と同等の評価となるよう、要介護・要支援とも報酬が引き下げられることになります。

また、今回の改定では、看護職員の十分な配置や連携体制の確保を行ったうえで看取り期の利用者に対する連携体制を受け入れた場合を評価する「看取り連携体制加算」や、現行の3つの処遇改善に関連した加算を一本化する「介護職員等処遇改善加算」など、全部で4種類の加算が新設されます。

なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、短期入所生活介護(ショートステイ)の改定実施時期は4月1日です。

2024年度介護報酬改定|短期入所生活介護(ショートステイ)の基本報酬の比較と長期利用の場合の減算新設

2024年度介護報酬改定で、短期入所生活介護(ショートステイ)の基本報酬はいずれの分類や要介護度でも5〜11単位の引き上げとなります。一方で、短期入所生活介護では連続して60日を超えて同一の事業所に入所している場合に、介護予防短期入所生活介護では連続して30日を超えて同一の事業所に入所している場合に新たに減算が適用されるようになります。

改定前後の基本報酬に関する比較表及び新設される減算の区分はを以下の表で示す通りです。

【短期入所生活介護(ショートステイ)】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較

※すべて1日当たり

基本部分 分類 単位数

(現行)

単位数

(改正後)

増減 長期利用者減算適用後

(31~60日)

長期利用者減算適用後

(61日以降)

※新設

連続31日以上介護予防短期入所生活介護を行った場合

※新設

【単独型・従来型個室多床室】 要支援1 474単位 479単位 +5単位 - - 442単位
要支援2 589単位 596単位 +7単位 - - 548単位
要介護1 638単位 645単位 +7単位 615単位 589単位 -
要介護2 707単位 715単位 +8単位 685単位 659単位 -
要介護3 778単位 787単位 +9単位 757単位 732単位 -
要介護4 847単位 856単位 +9単位 826単位 802単位 -
要介護5 916単位 926単位 +10単位 896単位 871単位 -
【併設型・従来型個室/多床室】 要支援1 446単位 451単位 +5単位 - - 442単位
要支援2 555単位 561単位 +6単位 - - 548単位
要介護1 596単位 603単位 +7単位 573単位 573単位 -
要介護2 665単位 672単位 +7単位 642単位 642単位 -
要介護3 737単位 745単位 +8単位 715単位 715単位 -
要介護4 806単位 815単位 +9単位 785単位 785単位 -
要介護5 874単位 884単位 +10単位 854単位 854単位 -
【単独型・ユニット型個室/ユニット型個室的多床室】 要支援1 555単位 561単位 +6単位 - - 503単位
要支援2 674単位 681単位 +7単位 - - 623単位
要介護1 738単位 746単位 +8単位 716単位 670単位 -
要介護2 806単位 815単位 +9単位 785単位 740単位 -
要介護3 881単位 891単位 +10単位 861単位 815単位 -
要介護4 949単位 959単位 +10単位 929単位 886単位 -
要介護5 1,017単位 1,028単位 +11単位 998単位 955単位 -
【併設型・ユニット型個室/ユニット型個室的多床室】 要支援1 523単位 529単位 +6単位 - - 503単位
要支援2 649単位 656単位 +7単位 - - 623単位
要介護1 696単位 704単位 +8単位 674単位 670単位 -
要介護2 764単位 772単位 +8単位 742単位 740単位 -
要介護3 838単位 847単位 +9単位 817単位 815単位 -
要介護4 908単位 918単位 +10単位 888単位 886単位 -
要介護5 976単位 987単位 +11単位 957単位 955単位 -

(【表】「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」(改正告示案。社保審了承済み)をと算定構造を基に作成)

※介護報酬改定後の算定構造は、以下の資料をご参照ください。

第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省

【短期入所生活介護(ショートステイ)】4種類の新設加算

24年度改定でショートステイには4種類の加算が新設されます。

具体的な単位数や要件を以下に概説します。

①看取り連携体制加算【短期入所生活介護(ショートステイ)】

レスパイト機能を果たしつつ、看護職員の体制確保や対応方針を定め、看取り期の利用者に対してサービス提供を行った場合について評価する加算です。

加算名 単位数
看取り連携体制加算(新設) 64単位/日

※死亡日及び死亡日以前30日以下について、7日を限度

看取り連携体制加算の算定要件

  • 次のいずれかに該当すること。
  • 看護体制加算(Ⅱ)又は(Ⅳ)イもしくはロを算定していること。
  • 看護体制加算(Ⅰ)又は(Ⅲ)イもしくはロを算定しており、かつ、短期入所生活介護事業所の看護職員により、または病院、診療所、訪問看護ステーション、本体施設の看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
  • 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に、利用者またはその家族等に対して対応方針の内容を説明し、同意を得ていること。

②口腔連携強化加算 【短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)】

利用者の口腔状態を確認して、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげるための情報提供を評価する加算です。

口腔連携強化加算(新設)
50単位/回

※1月に1回に限り算定可

口腔連携強化加算の算定要件等

  • 事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施し、利用者の同意を得て、歯科医療機関と介護支援専門員に評価の結果を情報提供する。
  • ショートステイ事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、事業所の従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。

③介護職員等処遇改善加算【短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)】

現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。

介護職員等処遇改善加算の単位数(短期入所生活介護の場合の算定率)

介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。

介護職員等処遇改善(新設)

【短期入所生活介護(介護予防を含むショートステイ)】

14.08% 13.6% 11.3% 9.0%

※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。

介護職員等処遇改善加算の算定要件

  • 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
  • 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算(Ⅳ)の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てること。
  • それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分すること。

④生産性向上推進体制加算【短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)】

介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、

  • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、
  • 生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、
  • 一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行う

こうした取組みを評価する加算です。

加算名 単位数
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(新設) 100単位/月
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)(新設) 10単位/月

生産性向上推進体制加算の算定要件

<生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>

  • (Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。
  • 見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。
  • 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
  • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

<生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>

  • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
  • 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について

*(Ⅰ)において提供を求めるデータは、以下の項目。

ア)利用者のQOL等の変化(WHO-5等)
イ)総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化
ウ)年次有給休暇の取得状況の変化
エ)心理的負担等の変化(SRS-18等)
オ)機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)

(Ⅱ)において求めるデータは、(Ⅰ)で求めるデータのうち、アからウの項目。

*(Ⅰ)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。

(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件

見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。

ア)見守り機器
イ)インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
ウ)介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)
見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器は全て使用することであり、その際、アの機器は全ての居室に設置し、イの機器は全ての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

(参考:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】|厚生労働省

既存の加算の見直しなどを含む短期入所生活介護(ショートステイ)の改定事項は13項目

ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、短期入所生活介護(ショートステイ)の改定事項は13項目あります。

(【画像】:第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】p203|厚生労働省

※各概要はリンク先の資料をご確認ください。

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