4月から運用が開始された科学的介護情報システム(LIFE)は、初日からシステム障害で運用がストップした。その原因は、想定以上のアクセスが集中したためとされている。システムがパンクするほど、多くの介護施設、事業所がLIFEに取り組んでいることを意味する。
今後の焦点は、フィードバックである。LIFEから提供されるフィードバックデータをいかに有効に活用するかが重要な課題となっている。
LIFEのフィードバックの活用次第で、介護施設、事業所間のケアの質の格差が拡大していく。
しかし、フィードバックの分析と活用は容易ではない。特に小規模な事業者には専門職が少ないこともあって困難を極めるだろう。
フィードバックの基本的な構成としては、ADL値などの項目毎に、提出データの時系列での変化をグラフで示される予定だ 。そこにLIFEの全国平均値が比較対象として提示される。
介護事業所では、この漠然としたデータを職員で共有して、その活用を検討することになる。各部署の専門職が、それぞれの立ち位置でフィードバックされた情報を用いて、その変動要因の分析と今後の対応策を検討するという流れだ。一連の流れを上手く機能させるためには、多職種が連携して、利用者の更なる状態の改善に取り組むための「LIFE委員会」の編成と定期的な委員会の開催が必要となる。
このLIFE委員会のレベル格差が、将来的に事業者間格差となっていく。しかし、委員会には相当の時間が取られる。現在の業務を見直して、効率化を実現した上でLIFE委員会を編成することになる。その効率化のためには、ICT化の促進や見守りセンサーの導入なども検討すべき時期に来ている。
LIFEのフィードバックは、ADL値点数の改善推移などでは、時系列の利用者データを棒グラフで表し、LIFEでの全国平均値が折れ線グラフで表されることになっている。
小濱介護経営事務所 代表。一般社団法人日本介護経営研究協会専務理事。一般社団法人介護経営研究会 専務理事。一般社団法人介護事業援護会理事。C-MAS 介護事業経営研究会最高顧問。