2024年度の介護報酬改定で、通所介護等における入浴介助加算は、一部の算定要件の追加や緩和などの見直しが実施されました。
こちらのページでは、通所介護等における入浴介助加算について、24年4月の改定前後の変更点について、留意事項通知の内容なども踏まえてご紹介します。
通所介護等における入浴介助加算とは?
通所介護や地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護における入浴介助加算とは、利用者に入浴サービスを提供し、入浴中の観察・介助を行う場合に算定する加算です。
24年度の介護報酬改定では、入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件に「入浴介助に関する研修等」の実施が追加されたほか、入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件の一部が緩和されました。なお、入浴介助加算(Ⅱ)の要件緩和については、通所リハビリテーションも同様の見直しが適応されます。
通所介護等における入浴介助加算の2024年度変更ポイント
① 入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件に、入浴介助に関わる職員に対する「入浴介助に関する研修等の実施」を追加。
② 入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件である「医師等による、利用者宅浴室の環境評価・助言」に関する要件を緩和。具体的には、医師等に代わり介護職員が訪問し、医師等の指示のもとでICT機器を活用して状況把握を行い、医師等が評価・助言する場合も算定可能に。
③ 入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件に係る現行のQ&Aや留意事項通知で示している内容を告示に明記することで、要件を明確化。
④ 単位数等は変更なし。
※通所リハビリテーションにおける入浴介助加算の24年度改定での変更点は②〜④のみ。
通所介護等における入浴介助加算の対象サービス
- 通所介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 通所リハビリテーション
2024年4月以降の通所介護等における入浴介助加算の算定要件等
(【画像】:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より引用)
通所介護等における入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件
- 入浴介助を適切に行うことができる人員・設備を有して行われる入浴介助であること。
- 通所介護計画(通所リハビリテーション計画)に基づき、入浴介助を行うこと。
- 入浴介助に関わる職員に対し、入浴介助に関する研修等を行うこと。(新設要件。通所リハビリテーションは除く)
通所介護等における入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件
- 入浴介助加算(Ⅰ)の要件をすべて満たすこと。
- 医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員または利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員、地域包括支援センターの職員その他住宅改修に関する専門的知識及び経験を有する者(以下「医師等」という。)が、利用者の居宅を訪問し、浴室における動作・浴室の環境を評価する。
かつ、当該訪問において、居宅の浴室が利用者自身または家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合には、訪問した医師等が、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備にかかる助言を行うこと。
ただし、医師等による利用者の居宅への訪問が困難な場合には、医師等の指示の下、介護職員が利用者の居宅を訪問し、情報通信機器等を活用して把握した浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を踏まえ、医師等が当該評価・助言を行っても差し支えない。 - 事業所の機能訓練指導員等が共同して、医師等と連携の下で、利用者の身体の状況、訪問により把握した居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成すること。
ただし、個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画に記載することをもって、個別の入浴計画の作成に代えることができる。 - 上記の入浴計画に基づき、個浴または利用者の居宅の状況に近い環境(利用者の居宅の浴室の手すりの位置や使用する浴槽の深さ及び高さ等に合わせて、当該事業所の浴室に福祉用具等を設置することにより、利用者の居宅の浴室の状況を再現しているもの)で、入浴介助を行うこと。
通所介護等における入浴介助加算の単位数
入浴介助加算(Ⅰ):40単位/日
入浴介助加算(Ⅱ):55単位/日
※いずれも変更なし
通所介護等における入浴介助加算のQ&A
通所介護等における入浴介助加算に関するQ&Aを一部抜粋して記載します。
*参考:厚労省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A」掲載ページ※厚労省特設ページ「令和6年度介護報酬改定について」(リンク先)下部に掲載
| 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 令和6年3月15日 |
| 問60 入浴介助加算(Ⅰ) 研修内容について
Q.入浴介助に関する研修とは具体的にはどのような内容が想定されるのか。 |
| A.
・具体的には、脱衣、洗髪、洗体、移乗、着衣など入浴に係る一連の動作において介助対象者に必要な入浴介助技術や転倒防止、入浴事故防止のためのリスク管理や安全管理等が挙げられるが、これらに限るものではない。 ・ なお、これらの研修においては、内部研修・外部研修を問わず、入浴介助技術の向上を図るため、継続的に研修の機会を確保されたい。 |
| 問61 入浴介助加算(Ⅱ) 情報通信機器等を活用した訪問方法について
Q.情報通信機器等を活用した訪問する者(介護職員)と評価をする者(医師等)が画面を通して同時進行で評価及び助言を行わないといけないのか。 |
| A.
情報通信機器等を活用した訪問や評価方法としては、必ずしも画面を通して同時進行で対応する必要はなく、医師等の指示の下、当該利用者の動作については動画、浴室の環境については写真にするなど、状況に応じて動画・写真等を活用し、医師等に評価してもらう事で要件を満たすこととしている。 |
| 問62
Q.入浴介助加算(Ⅱ)は、利用者が居宅において利用者自身で又は家族等の介助により入浴を行うことができるようになることを目的とするものであるが、この場合の「居宅」とはどのような場所が想定されるのか。 |
| A.
・ 利用者の自宅(高齢者住宅(居室内の浴室を使用する場合のほか、共同の浴室を使用する場合も含む。)を含む。)のほか、利用者の親族の自宅が想定される。なお、自宅に浴室がない等、具体的な入浴場面を想定していない利用者や、本人が希望する場所で入浴するには心身機能の大幅な改善が必要となる利用者にあっては、以下①~⑤をすべて満たすことにより、当面の目標として通所介護等での入浴の自立を図ることを目的として、同加算を算定することとしても差し支えない。 ① 通所介護等事業所の浴室において、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士若しくは介護支援専門員又は利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員、地域包括支援センターの職員その他住宅改修に関する専門的知識及び経験を有する者が利用者の動作を評価する。 ② 通所介護等事業所において、自立して入浴することができるよう必要な設備(入浴に関する福祉用具等)を備える。 ③ 通所介護等事業所の機能訓練指導員等が共同して、利用者の動作を評価した者等との連携の下で、当該利用者の身体の状況や通所介護等事業所の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成する。なお、個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別の入浴計画の作成に代えることができるものとする。 ④ 個別の入浴計画に基づき、通所介護等事業所において、入浴介助を行う。 ⑤ 入浴設備の導入や心身機能の回復等により、通所介護等以外の場面での入浴が想定できるようになっているかどうか、個別の利用者の状況に照らし確認する。 ※ なお、通所リハビリテーションについても同様に取り扱う。 |
| 問63
Q.入浴介助加算(Ⅱ)について、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士若しくは介護支援専門員又は利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員、地域包括支援センターの職員その他住宅改修に関する専門的知識及び経験を有する者が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価することとなっているが、この「住宅改修に関する専門的知識及び経験を有する者」とはどのような者が想定されるか。 |
| A.
福祉・住環境コーディネーター2級以上の者等が想定される。なお、通所リハビリテーションについても同様に取り扱う。 |