10月22日に開かれた第189回社保審・介護給付費分科会にて、医師・歯科医師から介護支援専門員に情報提供する際の様式変更について議論がなされました。主治医意見書の様式を踏まえた新たな様式を活用する方向で検討が進む見込みです。あわせて、居宅療養管理指導における利用者の範囲を明確化する検討も行われました。
医師・歯科医師による居宅療養管理指導に関し、ケアマネジャーへの情報提供について、現行の診療情報提供料(医療)の様式の活用から、以下を参考とした新たな様式へ変更する検討案が示されました。
・医師による情報提供…主治医意見書の様式を踏まえたもの
・歯科医師による情報提供…歯科疾患在宅療養管理料(医療)の様式を踏まえたもの
累次の制度見直しによって要介護認定の有効期間の延長がなされており、ケアプラン作成時に重要な役割を果たす、主治医意見書の活用機会が減少しています。ケアマネジャーに適時、必要な情報連携ができるよう、診療情報提供料(医療)の様式よりもさらに詳細の情報連携が可能となる、新たな様式への変更案が打ち出されました。
これについて、日本介護支援専門員協会の濱田和則氏は「医療介護連携を進めるうえで情報提供は非常に重要なことであり、感謝したい」と述べたうえで、より実効性が高まるという意味で、ICTの活用などといった情報の受け渡し面での検討も提言しました。今後、具体的な様式についてさらに議論が進められる見込みです。
本分科会では、居宅療養管理指導における「通院が困難なもの」の取扱いについても議題にあがりました。居宅療養管理指導は、在宅の通院が困難な利用者に対して行うものとされていますが、その基準は明確化されていません。
この点について、厚生労働省は「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院できる者などは、通院は容易であると考えられるため、全ての職種について、これらの者については算定できない」ということを明確化する検討案を示しました。複数の委員が賛成意見を述べており、「通院が困難なもの」の判断基準の明確化に向けて議論が進んでいくと思われます。
引用:第189回社保審・介護給付費分科会「居宅療養管理指導の報酬・基準について(検討の方向性)」より
<※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月26日掲載のものです。/p>
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。