厚生労働省は今後新たに予算を割き、訪問介護事業の人材獲得に特化した支援を実施します。
同時に、介護職員等処遇改善加算についても、未取得の事業所の算定推進と上位区分への移行をそれぞれに進めていく方針です。
訪問介護事業への支援強化のための新たな施策とは
同省は9月12日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、2025年度の予算概算要求に訪問介護事業への支援強化策を新たに盛り込んだことなどを説明しました。
主な施策は、以下の通りです。
- (特に、小規模な訪問介護事業者が)経験が十分でないヘルパーでも安心して従事できるような研修カリキュラム作成や受講費用の補助。
- 経験が十分でないヘルパーへの同行支援にかかる経費などの支援。
- 経営改善の専門家の活用などにかかる経費や、経営改善に向けた取組を行う際の事務員等の臨時的な雇用等に要する経費の補助。
- ホームページの改修やチラシ作成など、介護人材や利用者の確保のための広報に要する経費の補助。
- 事業の協働化・大規模化に向けた取組に要する経費等の補助。
- 介護分野の業界団体や都道府県労働局、都道府県福祉人材センターなどが連携した人材確保のための協議会の設置。
- ハローワークや介護事業所等が協力して行う職場説明会、職場見学会・体験会などを各地域で推進する。
- ホームヘルパーに関する広報事業の実施。
なお、ホームヘルパーに関する広報以外の事業は、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)の対象メニューを拡大することで対応します。
これらの施策の細部については、政府として予算案が取りまとめられる12月に向けてこれから詰められていく見通しです。




(【画像】9月12日開催の社保審・介護給付費分科会資料より。以下同様)
介護職員等処遇改善加算の新たな取得支援も実施
24年度介護報酬改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられましたが、その分、「介護職員等処遇改善加算」(介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算を1本化した加算)を取得した場合に算定できる単位がほかのサービスと比べて多く配分されています。
今回説明があった訪問介護事業への支援策では、同加算の取得を促進する方針も示されました。
こちらの支援策は三段階に分かれ、
- 同加算を算定していない事業所向けに、入力項目を簡素化した申請書類を送付するほか、賃金体系等の制度の整備を支援するためにモデル賃金体系の活用を周知する【下記図表①】
- 上位区分の算定を促すための支援として、職種間配分ルールが24年度改定で柔軟化されたことの周知を図るほか、25年度から適用される職場環境等要件に関する好事例集の作成する【下記図表②】
- すでに上位区分の加算を算定している事業所には、24年度報酬改定で新設・拡充した各種加算(口腔連携強化加算、認知症専門ケア加算、特定事業所加算)の活用等を促していく【下記図表③】
ことが紹介されています。
