訪問看護、高齢者住宅などを展開する株式会社PlanB浜中氏の経営哲学

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社員教育や研修、福利厚生に課題を感じていた

現在の事業内容を教えてください

三重県にて訪問看護ステーションをはじめ訪問介護、居宅介護支援、ナーシングホームなどを展開しています。 また、昨年2棟目となる24時間看護師常駐のナーシングホーム(サ高住)を立ち上げました。その他、訪問看護の経営コンサルをしており、現在まで14社の立ち上げ支援を行いました。

しらゆりけあ(株式会社PlanB)

これまで介護事業の経営・運営において抱えていた課題は何ですか?

課題は創業時と現在では変わっているので、2つに分けてお伝えします。

まず創業当時の課題は、医療・介護業界のマネジメントで、組織として運営していく難しさでした。訪問看護を開業した当初、医療機関へ普通に営業しにいく感覚で利用者さんを獲得しにいったところ、出入り禁止のような状態になってしまったことがありました。それは当時私に業界の常識がなかったからで、それがゆえに、営業にいくのも苦労した苦い経験があります。また、スタッフの意識も低く、営業にいく必要性を伝えるのにも一苦労しました。

創業から3年目以降の課題は、黒字化していく中で、病院で働いていたナースたちの待遇面でした。もっと具体的に言うと、社員教育や研修、福利厚生の強化の必要性を感じたことです。それは、離職率にも影響し、高い水準になっていたため、取り組まなければいけない課題として優先順位が高くなっていました。

潜在看護師の活用に成功、利用者獲得も情報を聞き出す工夫で順調に増加

課題ついてはどのような取り組みをされていますか?

創業当時の課題への取り組みは、まずは基本を教えることからはじめました。具体的には、1日何件いけば報酬がどれくらいもらえるのか、どこに時間をさいていくか、どのように売り上げがあがっていくのか、数値管理をどうするかなどです。開業当初は、そのあたりの意識や感覚も低かったので、1件の訪問に対して1時間どころか3時間かかっていたこともありました。 数値管理を徹底していき、一人あたりどれだけ訪問いくかという限界訪問数をだすようにしたところ、会社全体の能力が見える化でき、忙しいのか暇なのかがわかるようになりました。

過去には、ほとんどのスタッフはどこからどのようにお金が入ってくるかというお金の流れを知りませんでした。医療法人や株式会社の違いについても同様に知らない人が多い状況だったため、お金の流れなどをランチミーティングなど設定して理解してもらうように努めました。ボランティアなのか営利なのかを懇々と説明していくうちに徐々に理解してもらえるようになったと思います。

それらの意識改革によって、少しずつ考え方も変わっていったように思います。評価についても、過去は時間で仕事をした対価(何時間働いたらいくらもらえるのように)で捉えていた方がいましたが、仕事の評価に対してお金がついてくるというのを伝え、考え方や行動も変わっていったと思います。

3年目以降の課題への取り組みは、スタッフを第一に考えて福利厚生と環境を整えていきました。そのためにオフィスを新築し、市から福利厚生を評価され「男女がいきいきと働き続けられる企業」という表彰もいただきました。オフィスには、40名の研修室があり、外部の講習を招いての研修やオンラインでの勉強会などをしています。その他美肌効果やケガが直りやすいという酸素ルーム(カプセル)を用意しています。女性が多いので酸素ルームは夜勤あけに入ってもらい、リラックスや肌の静養に使ってもらっています。

健康面への配慮もしていて、ランチはビュッフェ形式で無料にしています。ランチでは管理栄養士が考えたメニューで夜食も提供しています。それ以外にも子供たちが遊ぶことができるスペースを設け、学童にいけない子供はそこで宿題ができるようになっています。 それらの取り組みもあってか、現在ではおかげさまで採用に困ったことはありません。リファラル採用が自然とできてくるようになり、加速させるために社員紹介制度もつくり、紹介が成立して入社して3ヶ月たったら謝礼金もだしています。

採用の取り組みとして特に意識していたことは潜在看護師の活用です。潜在看護師は多いのに環境整備を含めて活用がなかなか難しいのが現実でした。この取り組みの一環として、創業して1年目でキッズルームをはじめたことがありました。ただ、当時はマンションの一室を借りただけで、保育士がいないとなかなか大変でうまくいきませんでした。今はキッズルームの機能がある階段会議室の壁がガラス張りになっており、子供が遊んでいる様子も見られるようにしているので、問題なく運営できていると思います。

利用者獲得についてもだいぶ改善してきました。具体的な利用者獲得の取り組みは、やみくもに営業にいくのも大事なのですが、相手が何を求めているかをこちらが把握し、確認することがより大切です。病院であれば、いかに多くの情報を把握しこちらの情報もお伝えさせて頂くことが大切です。そのために日ごろからの関係性作りや、雑談などもさせていただきながら信頼関係を構築していきます。また、ご紹介いただいたご利用者様の退院後の生活のことや訪問時の様子などを報告させていただき、そこで必要な情報をお伺いしたり、また新規のご依頼をいただいたりすることもあります。信頼関係が出来てこその情報もあるので、できる限り生の情報をいただけるように努めています。

それ以外に工夫しているのは月並みですがノベルティーグッズ作ることです。看護師のスタッフに営業営業と言っても中々重い腰が上がりません。ボールペンやペットボトル、カレンダーなどのノベルティーグッズを作成してそれを配ってきて、とお願いしてそのついでに空き情報を配ってもらうなど工夫をしました。

トライアンドエラーとタスク分解、納期をつけることが大事

経営におけるこだわり、大事にしていることは何ですか?

すぐやる、必ずやる、できるようにやるということを大事にしています。

あくまで私が感じる印象ですが、40代以上の方は仕事をお願いすると、「どうしたらいいですか?」と言う回答が返ってくることが多いのですが、20代から30代では「こう思うのですがどうでしょうか?」と自分の意見を先に伝える方が多いです。 それは、物心がついたころからスマホが身近にあり、すぐに調べる癖がついているからではないか?と感じています。なんでもすぐに責任転嫁するのではなく、まずは自分でやってみる、そして自分なりの意見や考えを持って報告して欲しいと思っています。スタッフには「急がばググれ」と伝えています。とにかくやってみるというスタンスでトライアンドエラーを繰り返すうちに、どのようにやると良いかが見えてきますし、うまくいかずとも情報を仕入れることができます。

大事にしていることの2つ目として、仕事をタスクとして分解をし、全てに納期をつけることです。できないのであればできないと言ってもらうようにし、できるように管理者と一緒になってタスクを細かくきっていくようにしています。過程ではなく全員が結果にこだわった仕事をしてもらいたいと考えています。

コロナ後の世界と生き残るために重要だと思うことは何ですか?

現在約67%の仕事で物理的に在宅ワークができないと言われていると聞きました。私たちが携わっている訪問看護においては在宅ワークに切り替えることは不可能ですが、一部オンラインで業務をすることが可能になりました。(精神科訪問看護のみ)弊社ではICT活用を積極的に行ない、業務効率化も進んでいます。コロナ後の世界には現在も環境が整いつつあるそれらのICTが加速されていくでしょう。例えば、見守りシステムやオンラインでの診療、薬の管理などは急速に進むと考えられます。

弊社では2018年の物件から導入していますが、バイタルセンサーや空間センサー、温度湿度センサーを組み合わせた見守りシステムなどは日進月歩で新製品が出てきていますので在宅においてもスタンダードになってくるのではないかと思います。今後は報酬の大きなプラス改定が望めない中、これらのICT活用をすることで、業務効率化を一層進めていかなければ、経営的に厳しくなると考えています。

そして、今後生き残るためには、変化に対応する組織として常に新しいものを受け入れられる文化を形成することが大事だと思っています。新しいことをやるとした際についてきてくれるかどうか、そのために経営もできるだけガラス張りにしていく必要がありますし、実際そうしています。指揮をとったら動いてくれる柔軟な組織は今後も特に気を配っていきたいですね。

今後の方向性はどのように考えていますか?

終末期や難病の方たちの中でもより重篤な方たちの支援をしてきました。今まで培った私たちの経験やノウハウを活かし、今後しっかりとこの地域で地域包括ケアシステムの根幹を担っていきたいと思っています。

乳幼児から高齢者、難病の方や障がいをお持ちの方まで多くのご利用者様がいらっしゃいます。そういった中で、今後は全国に936万人ほどいると言われている障がいの訪問看護の領域に特に注力していきたいと考えています。今までの経験で私が感じたことですが、障がい者の方への在宅医療はまだまだ発展途上だと思っています。どのような障がいをお持ちでも安心できる医療体制の下、安全に生活できる環境を提供することができればと考えております。

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