社会保障審議会・介護給付費分科会では2024年度介護報酬改定に向け、全てのサービス事業者の対応が必要な”横断的なテーマ”の検討も進められてきました。
そのうちの一つが「高齢者虐待の防止/介護現場における安全性の確保、リスクマネジメント」です。虐待防止については、複数の立場から職員のサポートが必要であるとの指摘がされています。また、介護施設等には介護事故の発生時に市町村への報告が義務付けられていますが、報告された情報が自治体によって必ずしも活用されていないことが問題視されています。
”高齢者虐待防止等の取組の推進”は、10月にまとめられた「令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点」にも重要事項として明記されています。
リスクマネジメントの在り方とともに検討が行われた、第224回の介護給付費分科会の検討状況を振り返ります。
まず、前段の「高齢者虐待の防止」について、厚労省が示していた論点は以下の通りでした。
高齢者虐待をめぐる状況を踏まえ、高齢者虐待防止対策を促進する方策として、どのようなことが考えられるか。
介護サービス事業者への対応としては、2021年度介護報酬改定で運営基準が改正され、すべての介護サービス事業者を対象に、高齢者虐待防止措置が義務付けられました。
具体的には、虐待発生時の対応や発生防止のための委員会の設置、指針の整備、研修の実施、担当者を定めることについて経過措置付きで義務付けられています。完全な義務化は2024年4月に迫っています。
しかし、2021年度時点での体制整備の状況はサービス種別によって異なっています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。