介護施設では、日常的なケアを提供する中で利用者にいつのまにかあざや内出血などができていることに気が付くというのは、よくある出来事かもしれません。
しかし、利用者側の立場に立つと、例えば自身の親を預けていた施設の職員からその怪我についてあいまいな説明を受けたらどう思うでしょうか。「施設で虐待を受けているのではないか」という不信感にもつながりかねません。
今回は、原因不明の負傷事故が起きた際の適切な対応について取り上げます。
<相談内容> 私は特別養護老人ホームの施設長です。
先日、利用者の右の脇腹部分に内出血があることの報告がありました。
現場の職員からの報告によると、その内出血があることは数日前からわかっていたようですが、最初は深く気に留めず、放置していたようです。
数日経つ内に内出血の範囲が広がっており、一目見ても酷い状態になっているように見えてきたから報告をしたとのことです。
急いで病院に行ったところ、「これは肋骨が折れていますね」と医師に診断され、骨折事故として処理することになりました。
利用者の家族に報告したところ、「何故骨折したのですか?どこかにぶつけたのでしょうか?」と質問されました。事前にこの利用者の介助に当たった職員に簡単なヒアリングを実施すると、「多分オムツ交換の際の体位変換の際に強く体をひねったことが原因だと思う」と言っていたことからそのまま家族に伝えました。
すると、家族は「そんな中途半端なヒアリングだけで事を済ませようとしているのか。これは虐待ではないのか。」と激怒し、市に虐待通報し、さらに警察にも相談に行くという騒ぎに発展してしまいました。
どうすれば家族に納得して頂けるのでしょうか。
上記の相談内容のように施設内で原因不明の負傷事故があった場合、事後対応の在り方次第でご家族との信頼関係が壊れてしまう場面があります。
我々弁護士法人かなめでは、実際に原因不明の負傷に伴う事故後の対応について、介護施設から数多くの法律相談をいただき、対応してきました。
事後対応が不適切な場合、ご家族との信頼関係は壊れ、上記の事例の通り、虐待通報に繋がってしまうケースになりかねません。また、関係性の悪化から、損害賠償請求をめぐって訴訟にまで発展することもあります。
弁護士法人かなめ代表弁護士。29歳で法律事務所を設立。 現在、大阪、東京、福岡に事務所を構える。顧問サービス『かなめねっと』は35都道府県に普及中。 福祉特化型弁護士。特化している分野は、介護事業所・障害事業所・幼保事業所に対するリーガルサポート、労働トラブル対応、行政対応、経営者支援。 無料で誰も学べる環境を作るためYouTubeチャンネル『弁護士法人かなめ - 公式YouTubeチャンネル』を運営中。https://www.youtube.com/@kaname-law テキストで学びたい人向けに法律メディアサイト『かなめ介護研究会』も運営中。 https://kaname-law.com/care-media/