訪問系サービスにおける外国人材の従事を認めるに当たり、具体的なルールづくりに向けた検討が始まっています。
1月22日に開かれた厚生労働省の検討会では、訪問系サービスにおける外国人材の受け入れに向け、一定水準の日本語能力や介護技術を証明するための条件を課すことなどを条件とする案について話し合われました。
訪問介護や訪問入浴介護など、サービス種別に応じて具体的な検討が進んでいますので、その内容を整理してお伝えします。
現在、訪問系サービスでは、介護職に就くことができる外国人材のうち、介護福祉士の資格を持つ、”在留資格「介護」”と”EPA介護福祉士”の従事が認められています。
一方で、訪問系サービスの「1対1で介護サービスを提供する」という特性を踏まえ、EPA介護福祉士候補者・技能実習生・特定技能の「介護」の資格保有者の受け入れは、認められていません。
(【画像】第4回 外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会資料より(以下・同様))
今回、訪問系サービスでの外国人材を受け入れるにあたっての要件緩和を検討するにあたって、厚生労働省は以下のサービス種別の状況やデータなどを整理しています。
以下、議論の中心となった訪問介護と訪問入浴介護を巡る検討についてご紹介します。
訪問介護の従事者には、介護職員初任者研修の研修修了などの要件が課せられています。
今回、外国人材の受け入れを進めるに当たって、厚労省は、日本人と同様に、介護職員初任者研修もしくはそれと同等の研修修了を要件とする案を示し、複数の委員が賛同しました。
ただし、認知症高齢者への対応なども想定されることから、従事者には一定の日本語力の担保が必要となる点について、以下のような意見が出ています。
一方、訪問入浴介護は、2人以上でのサービス提供が必要であり、すでに外国人材の活用が認められている施設系サービスと同様、技能実習指導員等により適切な指導体制を確保しやすいという特徴があります。
こうした特性を踏まえ、訪問介護や訪問介護と同様の特性を持つ定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護と比べ、スムーズに外国人材の従事を認められそうです。ただし、
などとして、訪問入浴介護でも外国人の受け入れ緩和に当たって一定の要件を設ける必要性を指摘する意見もありました。
訪問系サービスにおける外国人介護人材の規制緩和を巡っては、ケアの質をどのように担保するのかという懸念事項もあります。これに対し、厚労省が示した対応案は以下の通りです。
こうした提案に対する目立った反対意見はなく、多くの委員から賛同の意見があがりました。
もちろん、介護ケアの質の担保は外国人材だけに限ったものではありません。「日本人の介護従事者にも同様のことがいえる」との声も多数ありました。そこで、外国人だけを対象として厳しい要件を設定するのではなく、日本人と同等の対応を検討していく中で、日本人の深刻な介護人材不足に対しどのような見直し・対応を実施していくべきか、検討会の枠組みを超えた横断的な検討を求める意見もも目立っていました。
このテーマを巡っては、今後も詳細な検討が複数回に渡って続けられる見通しです。引き続き、動向をご紹介してまいります。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。