特養の人手不足は「改善」傾向続く、不足施設の17%受入れ制限を実施 WAM調査

2022.04.14
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他業界の求人減少が影響 ただし有効求人倍率は再上昇

WAMは改善傾向がみられた背景として、累次にわたる介護職員の処遇改善策の効果に加え、新型コロナウイルス感染症によって経済活動が停滞したことによる他産業の求人減少による影響を指摘しています。

待遇面の改善による好影響が出ているとしたらポジティブな要素といえますが、有効求人倍率は再び上昇傾向にあることに留意が必要です。

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外国人人材の雇用は2極化

人手不足への対応のひとつとして、外国人人材の雇用が挙げられます。実際に外国人人材を雇用している施設は44.9%で、過去雇用していた施設の7.8%を含めると半数以上の施設が雇用経験があると回答しました。

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【画像】外国人人材の雇用状況

一方で、一度も雇用したことがないと回答した施設のうち、76.5%が現在も雇用を検討していないと回答。雇用を進められない理由として、言語の違いによる意思疎通の難しさや、文化・宗教の違いへの対応の必要性等の意見が挙げられています。

雇用経験のある施設からのアンケート回答結果では、「同国出身者を可能な限り複数雇用し、プライベート面で孤立させないようにしている」「日本語の勉強時間を別で確保している」などの工夫をしている施設もあり、採用や支援面での仕組み作りが求められるといえるでしょう。

人手が不足する施設の82%は受入れ制限なし

職員の充足状況について、「不足している」と回答した施設(44.9%)の不足人数は平均3.4人となり、20年度調査の3.3人からは横ばいでした。また、不足していると回答した施設のうち、特養本体や併設事業所等で利用者の受入れ制限を実施しているとの回答は17.4%あり、8割以上の施設が人手が不足する中でも通常の運営を実施していました。

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不足人員への対応についての回答は、「時間外労働を増やして対応」が51.4%、「労働時間(シフト)を変更・調整」が36.8%でした。現場ではたらく職員への負担感が大きくなることが予測される中、WAMは「充足状況の抜本的な改善が見込めなければ、事業の縮小・廃止を検討せざるを得ない施設も出てくることが懸念される」と懸念しています。

各施設のリアルな課題と具体的な取組み

今回アンケート調査結果からは、現場の職員等が直面しているリアルな課題も見えました。

・地域における労働人口の減少
・特養が他施設に比べて激務であるイメージがあり、求人の応募につながらない
・紹介業者経由の応募が多く、採用面でコストがかかる

介護報酬上の地域区分別での充足状況をみると、比較的都市部にあたる1級地〜4級地の施設と比べ、その他の級地にある施設で「人材が不足している」と回答した割合が高くなっています。

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また、人材紹介会社の手数料を高いと感じている施設は98.5%と大多数を占める結果となりました。決して安くない採用費をかけても定着率も高まっていない状況は業界全体の課題といえます。

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また、人材紹介会社の手数料を高いと感じている施設は98.5%と大多数を占める結果となりました。決して安くない採用費をかけても定着率も高まっていない状況は業界全体の課題といえます。

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