10月21日に第104代首相に選出された自民党の高市早苗総裁。首相就任会見や24日の所信表明演説では一貫して介護施設や医療機関等の経営環境の厳しさに触れ、問題意識を露わにしました。
具体的に着手する対策として、2027年度の介護報酬改定を待たずに、事業者の経営支援や処遇改善につながる補助金を給付することを明言しています。
高市首相は就任会見の冒頭で、日本維新の会との合意を基に実現していく施策として、物価高対策や憲法改正などと並び、社会保障改革を挙げました。
(【画像】連立政権合意書のうち、介護・医療分野に関する記載。2026年度中に具体的な制度設計を行うとしている(「自由民主党・日本維新の会連立合意書」を基に編集部で作成))
物価高対策の優先順位について問われた場面では、自民党が7月の参議院選挙で掲げていた国民への給付金をやめて、これを財源として物価高に関する具体的な対応のための財源として使うとの考えを示しました。使い道の具体例として、「赤字に苦しむ病院・介護施設への対応として、診療報酬・介護報酬について報酬改定の時期を待たずに―今、もう経営大変ですから―経営の改善、また働いておられる方々の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置させていただく」と説明しました。
そのほか中小企業小規模事業者への対応として賃上げと設備投資を強力に後押ししていくこと、電気・ガス料金の支援も優先事項としました。
高市首相は、自民党の新総裁に就任したタイミングでも、「病院、介護施設は、いま大変な状況になっている。病院に関しては7割が深刻な赤字。介護施設の倒産も過去最高になった」と危機感を露わにしており、「補正予算を使い、支援できる形を検討してもらいたい」との考えを示していました。
21日には組閣が行われ、厚生労働相には上野賢一郎氏が起用されました。
個人の政策としても、医療・保育・介護・教育などの公的な分野の処遇改善や“健康予防”の推進などを掲げています。
就任後の記者会見では、高市首相の指示を踏まえ、「医療分野などについても職員の処遇改善とともに、経営改善を支援する考えだ。そのために必要な施策を経済対策や補正予算に盛り込む」と説明しました。
一方、記者から「支援の方法は、診療報酬の“期中改定”を実施するのか」と問われると、「必要な対応については今後検討していくということになろうかと思う。現段階で確定的なことはなかなか申し上げられない」と回答。支援自体は行うものの、それが報酬を引き上げる「期中改定」という形になるかは未定としました。
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