居宅介護支援を経営・管理している皆様は、実地指導・監査の準備はお済でしょうか?ここでは、全国各地の自治体が公表している実地指導の指導事例をまとめています。皆様の事業所の所在地やお近くの地域で、どのような指導事例があったのか、その内容を知って実地指導に向けた準備を進めましょう。今回は、青森県青森市の指導事例をご紹介します。
○居宅サービス計画(ケアプラン)の作成に当たり、利用者が複数の指定居宅サービス事業者等の紹介を求めることが可能であることや、居宅サービス計画原案に位置付けた居宅サービス事業者等を選定した理由の説明を求めることが可能であることについて、口頭による説明のみで行われている。
利用者の意思に基づいた契約であることを確保するため、利用者が介護支援専門員に対して複数の居宅サービス事業者等の紹介を求めることや、居宅サービス計画原案に位置付けた居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることが可能であること等について説明を行う際には、文書を交付し説明を行うとともに、理解したことについて必ず利用申込者から署名を得ること。
文書を交付して説明を行っていない場合には、契約月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで、運営基準減算として所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定すること。また、運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数を算定しないこと。
なお、同様の事例がないか、平成30年4月以降に契約した利用者について自主点検の上、過誤調整を行うこと。
○モニタリングを行っていない。
介護支援専門員が1月に利用者の居宅を訪問し、利用者に面接していない場合には、特段の事情のない限り、その月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで、運営基準減算として所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定すること。また、運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数を算定しないこと。
なお、同様の事例がないか、この事例を含め過去5年間の全利用者分について、自主点検の上、モニタリングを行っていない利用者があった場合は、過誤調整により返還すること。
○介護支援専門員ごとの研修計画を策定していない。
研修計画を策定していない期間については、加算の算定は認められないため、全利用者について自主点検の上、該当する期間の当該加算について、過誤調整により返還するとともに、加算が算定されなくなる旨を市(介護保険課)へ届け出ること。
○特定事業所加算(Ⅰ)について、算定要件である常勤かつ専従の主任介護支援専門員2名以上を配置していない。
常勤かつ専従の主任介護支援専門員2名以上を配置していない期間については、特定事業所加算(Ⅰ)の算定は認められないため、全利用者について自主点検の上、該当する期間の報酬(加算)について、過誤調整により返還するとともに、加算が算定されなくなる旨を市(介護保険課)へ届け出ること。
○退院・退所加算の算定について、1回の入院又は入所期間中につき、重複して算定している。
退院・退所加算の算定に当たっては、病院等の職員からの情報収集回数及びカンファレンスへの参加の有無に基づき、いずれかの加算を1回を限度として算定すること。
なお、重複して算定しているものについては、平成30年4月1日以降の全件について自主点検のうえ、過誤調整を行うこと。
ご紹介した事例のように、介護報酬の過誤調整が必要になる場合は、指定された期間の記録を遡って確認することをはじめ、その後の介護報酬の取り下げや再請求に伴う事務負担、会社のキャッシュフローに対する負担など、事業所経営に大きな影響を受けることになります。
ご紹介した事例が、皆様の事業所の自主点検のきっかけや、お役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
出典元:「介護サービス事業者等に対する実地指導等における指導事例」青森県青森市
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年2月29日掲載のものです。
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