「ACPについてアプローチする」と考えると、高度なスキルが必要と捉えがちです。
しかし、訪問看護従事者や介護・福祉関係者があまり難しく考えてしまうと、その支援を受ける側は更に難しく受け取ってしまいます 。
ACPは将来の変化に備え、将来受ける医療やケアについて、本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことですが、言い換えればそれぞれの生き方です。堅苦しく考えるものではありません。
生活の場でサービスを提供している訪問看護従事者・介護や福祉の関係者だからこそできるACPについて考えたいと思います。
看護や介護・福祉の仕事を続けていると、たくさんの方の人生に関わります。医療機関や介護施設などその場所も様々です。
例えば病院には、病気や怪我をした人が訪れます。状態や年齢、性別などが様々な相手に対し、私たちは、治療をサポートし、療養生活の中で患者の健康状況を安定させ、自宅へ戻り地域で暮らしていけるよう働きかけます。
時には、人生の終末期に向かう方に対して、最期までに向けて最善の医療や看護を提供する役割を担います。
介護・福祉施設では、高齢の方や障害を持っている方たちが施設で生活を継続していけるようサポートことが最大の役割です。その人がどんな状況にあっても尊厳を持ち生活できるように支援します。
このように専門職として対象と関わる場所は異なっても、その相手が「人」であること、そしてその人が障害や病気を抱えていても、より良く生き、暮らしていくために治療や看護・介護を提供することは共通しています。
では、「暮らし・生活」を支える訪問看護従事者あるいは介護・福祉関係者として、どのようなACP支援ができるのでしょうか。
訪問看護従事者や介護・福祉関係者がサービス対象者に関わるきっかけは、病院(施設)から退院(退所)をする時や、何らかの原因で対象者に障害が生じた時、または加齢で今までのような暮らしがしにくくなった時が多いと思います。
株式会社叶夢代表取締役。うさぎ訪問看護ステーション管理者。看護師、社会福祉士、呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、認定心理士。地域密着300床病院での勤務を経て27年前から訪問看護ステーションや在宅診療の現場に従事。2005年に明正会グループでCEOより経営学を学び2010年に子会社の代表取締役に就任。2016年に独立し株式会社叶夢を設立。