第198回社保審・介護給付費分科会が1月13日に開かれ、2021年度介護報酬改定に向けた「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令」について了承されました。本記事では全サービスに共通する「感染症対策の強化」に関する省令※の改正内容を整理していきます。
※省令…指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準。以下「運営基準」ととする
新型コロナウイルス感染症の拡大や自然災害による介護サービスへの影響を勘案し、感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築することが、次期改定の柱の1つとなりました。
これを踏まえ、介護サービス事業者の感染症対策を強化する観点から、全サービス事業者を対象に運営基準が改正されます。これまで居宅系サービス等には義務付けられていなかった「委員会の開催、指針の整備、研修の実施等」が運営基準に追加となり、施設系サービスでは「訓練(シミュレーション)の実施」が新たに義務化されます。
居宅系サービス等における委員会の開催頻度は明らかになっていませんでしたが、「おおむね6月に1回以上」とすることが明記されました(施設系サービスは現行通り「3月に1回以上」の開催)。
委員会の開催については全サービスで、テレビ電話やその他ICT機器の活用を可能とする点についても省令に明文化されました。こうした見直しに対して、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間を設けるとしています。
●感染症の予防・まん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね6月に1回以上開催すること。その結果について、職員等に周知徹底を図ること。(委員会はテレビ電話など情報通信機器を活用して行うことができる)
●事業所における感染症の予防・まん延の防止のための指針を整備すること
●職員等に対し、感染症の予防・まん延の防止のための研修・訓練を定期的に実施すること
※太字が追加・変更点
●感染症や食中毒の予防・まん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね3月に1回以上開催すること。その結果について、職員等に周知徹底を図ること。(委員会はテレビ電話など情報通信機器を活用して行うことができる)
●感染症や食中毒の予防・まん延の防止のための指針を整備すること
●職員等に対し、感染症や食中毒の予防・まん延の防止のための研修並びに、感染症の予防・まん延の防止のための訓練を定期的に実施すること
●別に、厚生労働大臣が定める感染症や食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順に沿った対応を行うこと
【「感染症対策の強化」に関わる省令一覧】
居宅基準第31条、第104条、第118条及び第203条、居宅介護支援基準第21条の2新設、地域密着型基準第3条の31及び第33条、予防基準第53条の3、第121条、第139条の2及び第273条、地域密着型予防基準第31条、指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第37号。以下「介護予防支援基準」という。)第20条の2新設関係
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。