従来の3つの処遇改善加算が一本化された「介護職等処遇改善加算」(新加算)の算定状況が明らかになりました。厚生労働省が示したデータによると、最上位区分である加算(Ⅰ)の算定率は約4割にとどまっています。
同じく算定状況を調査した福祉医療機構は、算定に必要な「キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)」のクリアに難しさがあるのではないかと分析しています。
12月23日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、処遇改善加算の今後の在り方が議題になりました。厚労省は、議論の参考にするため、2024年8月サービス提供分の介護職等処遇改善加算の算定状況をまとめています。
(【画像】第243回社会保障審議会介護給付費分科会【資料3】処遇改善加算等についてより)
新加算には上位から順に(Ⅰ)から(Ⅳ)の区分があります。算定にあたっては①キャリアパス要件②月額賃金改善要件③職場環境等要件の3つを満たすことが求められています。
今回示されたデータによると、最上位である加算(Ⅰ)の算定率は、サービス全体では42.3%にとどまりました。
このうち最も高かった特養では76.6%で、それに(Ⅱ)を合計すると93.1%に上ります。一方、特養以外での加算(Ⅰ)の算定状況は、在宅系サービス(訪問介護、通所介護、通所リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護等が36.9%(うち、訪問介護は35.7%)、介護老人保健施設は65.1%などと開きはあるものの平均すると42.3%で、これに(Ⅱ)を合計すると、7〜9割です。この差から、(Ⅰ)の要件を達成するには一定のハードルの高さがあることがうかがえます。
介護職員等処遇改善加算の算定状況については、福祉医療機構(WAM)も独自に調査を実施しており、加算(Ⅰ)の算定率と(Ⅱ)の算定率には開きが見られました。
ルポライター・カメラマン。ブリッジ・ジャパン(マーケットニュース執筆)、日本放送協会(N H K)、C Bニュース(医療、介護、障害分野での執筆)などを経てフリーランスに。ライフワークではハンセン病問題を継続取材。