厚生労働省は2月10日、令和7年度全国厚生労働関係部局長会議の説明動画をYouTubeに公開しました。その中で、老健局の黒田秀郎局長は、重点的に推進している政策として「介護情報基盤」を挙げています。
2040年に向けて医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者の急増が見込まれる中、厚労省は介護情報基盤の全国的な運用を急ぎたい考えで、2026年4月1日以降、準備が整った市町村から順次運用が始まります。 基盤の整備を着実に進めるため、黒田局長は、ケアプランデータ連携システムの導入が進んでいない事業所に対して支援策を周知するなど、普及を後押しするよう求めました。
医療・介護連携やICT活用の中核施策「介護情報基盤」とは
社会保障審議会・介護保険部会は、介護保険制度の持続可能性や人材確保といった中長期課題を踏まえ、2025年12月に制度改正に向けた意見書を取りまとめました。
意見書では、
- 医療・介護の連携強化
- ICTを活用した業務効率化 の推進が必要と明示されています。
その具体策の一つが「介護情報基盤」です。
これは、介護事業所、市町村、医療機関などに分散している利用者情報(介護レセプト、要介護認定情報、LIFE情報、ケアプラン等)を集約し、利用者の同意を前提に、関係機関が電子的に閲覧・共有できる仕組みです。
従来、電話・FAX・郵送・対面で行われてきた情報連携をデジタル化することで、事業所の事務負担軽減や情報伝達の迅速化が期待されています。

(【画像】「令和7年度 全国厚生労働関係部局長会議」資料より)
介護情報基盤がもたらす主なメリット
厚労省は、介護情報基盤の導入によって期待される効果を、関係主体ごとに次のように示しています。
介護事業所・ケアマネジャー
要介護認定申請の進捗状況を「介護保険資格確認等WEB サービス」(WEBサービス)で随時確認でき、市町村への電話などでの問い合わせが不要になる
市町村(保険者)
関係者がWEBサービスで必要な情報を随時確認できるため、電話・窓口対応業務の負担が軽減し、印刷・郵送コストも削減できる
医療機関
主治医意見書を市町村に電子的に提出できるようになり、郵送が不要になる
利用者・家族
関係者間での情報連携がスムーズになるため、要介護認定に要する期間が短縮される
(【画像】「令和7年度 全国厚生労働関係部局長会議」資料より)
全国医療情報プラットフォームにおける「介護情報基盤」の位置づけ
介護情報基盤は、国が整備を進める「全国医療情報プラットフォーム」の構成要素の一つです。
そして、介護情報基盤は、
- 医療情報基盤(診療データの共有)
- 行政・自治体情報基盤(住民・行政情報の共有)
と並び、介護分野の情報共有を担う基盤として位置付けられています。
整備主体は保険者である市町村であり、地域支援事業として構築を進めることが定められています。
(【画像】「令和7年度 全国厚生労働関係部局長会議」資料より)
これらの取り組みは、政府の「医療DXの推進に関する工程表」に基づき段階的に進められています。
介護情報基盤については、
- 介護保険事務システムの標準化対応が完了した市町村から、2026年4月1日以降に情報共有を開始
- 2028年4月1日までに、全市町村での本格運用開始を目指す
というスケジュールが示されています。
ケアプランデータ連携システムの普及が前提に
介護情報基盤の構築に向けては、既存の「ケアプランデータ連携システム」の普及が重要な前提と位置付けられています。
同システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間でケアプラン情報をオンライン共有する仕組みです。現在は介護情報基盤とは別に運用されていますが、将来的には介護情報基盤へ統合する方向で検討が進められています。
ケアプランデータ連携システムの現場での普及は限定的
一方で、日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査では、現場での導入が十分に進んでいない実態が示されています。

(【画像】日本介護クラフトユニオン 処遇改善策の新要件に関する事前調査結果報告~ケアプランデータ連携システムの現状と課題~より)
ケアプランデータ連携システムの利用促進策:予算措置と処遇改善加算の要件化
こうした状況を踏まえ、黒田老健局長は次の点を説明しました。
- 2025年度補正予算において、システム利用料を無料とする「フリーパス」の期限延長に必要な経費を計上したこと
- 同システムへの加入が、2025年度補正予算における処遇改善の上乗せ要件の一つとなっていること
そのうえで、介護情報基盤の本格稼働前に利用を広げる必要があると強調し、都道府県担当者らに対して「支援策の周知を含め、積極的な普及促進をお願いしたい」と呼びかけました。

