2027年度の介護保険制度改正では、人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築が柱の一つに位置付けられています。 令和7年度の全国厚生労働関係部局長会議では、老健局の黒田秀郎局長が制度見直しの方向性を改めて説明しました。
本稿では、その内容をもとに、“地域の類型を踏まえたサービス提供体制・支援体制”に関する施策についてポイントや今後の予定を整理します。
地域類型別制度への転換 全国一律から三類型に
次期制度改正に向けて社会保障審議会・介護保険部会が2025年12月に取りまとめた意見書には、人口減少やサービス需要の変化に着目し、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の3つの地域に分類する考えが盛り込まれています。
- 中山間・人口減少地域 −高齢者人口が減少し、サービス需要が減少する地域
- 大都市部 −高齢者人口が2040年にかけて増加し続け、サービス需要が急増する地域
- 一般市等 −高齢者人口が増減し、サービス需要が2040年までに増加から減少へ転じる地域
(【画像】社会保障審議会介護保険部会(第130回)2025年12月1日「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より抜粋
特例介護サービスの新類型では人員配置基準などを緩和
中山間・人口減少地域では、深刻な担い手不足で事業所の撤退が相次ぐ中、必要なサービスを受けられない、いわゆる空白地帯も生じており、対策が大きな課題となっています。
こうした状況を踏まえ厚労省は、中山間・人口減少地域に限定し、現行の特例介護サービス(自治体によって人員・設備・運営基準の一部緩和を認める「基準該当サービス」や「離島等相当サービス」)の中に“新たな類型”を設置する方針を明らかにしています。
(【画像】社会保障審議会介護保険部会(第130回)2025年12月1日「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より抜粋)
(【画像】社会保障審議会介護保険部会(第130回)2025年12月1日「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より抜粋)
具体的には、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和などが想定されていますが、詳細は今後、介護給付費分科会で検討されることになっています。
対象となるサービスは、既に特例介護サービスが認められている居宅サービスなど(訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など)に加え、施設サービスや特定施設入居者生活介護、さらに地域密着型サービスにも広げる予定です。

(【画像】社会保障審議会介護保険部会(第130回)2025年12月1日「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より抜粋)
また、特例を活用しても提供体制の維持が難しいケースを想定し、保険給付の代わりに、市町村が事業として介護保険財源を使い、事業者がサービスを提供できる仕組みを取り入れる方向性も明らかにされています。
新たな類型では訪問介護での包括報酬も導入
また新たな類型の枠組みでは、訪問介護などについて、現行のサービス提供回数に応じた出来高報酬に加え、包括的な評価(月単位の定額払い)も選択可能としています。
出来高払いでは、山間部での訪問にかかる移動時間・距離の長さや、利用者の入院によるキャンセルなどが、経営に大きな影響を及ぼすという制度上の限界があります。これに対し、包括的な評価を導入することで、利用者数に応じて収入の予測ができ、経営の安定が図られるメリットが期待されています。

(【画像】社会保障審議会介護保険部会(第130回)2025年12月1日「論点ごとの議論の状況(参考資料)」より抜粋)
大都市部・一般市では定巡と夜間対応型訪問介護を統合
大都市部・一般市では 2040 年にかけて高齢者人口が増え続け、サービス需要が急増すると見込まれています。それに対応するには、ICTやAI技術を活用し、24 時間365日対応できる体制を整備することが重要だとしています。
また、夜間対応型訪問介護を廃止し、機能が類似・重複すると指摘されている定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合することも示されています。
厚労省は、介護保険法の改正案を今国会に提出する予定です。

