2026年度臨時介護報酬改定では、介護職員等処遇改善加算が拡充されるほか、介護施設等の食費の基準費用額が引き上げられます。
1月16日の社会保障審議会・介護給付費分科会で厚生労働省が同加算の改定率などを含む改定の告示案について説明しました。
改定実施後の算定構造も示されており、各事業所で算定できる加算額が確認できます。
2026年度臨時介護報酬改定の大枠:処遇改善を6月、基準費用額引き上げを8月に実施
2026年度臨時報酬改定では、
- 介護職員等処遇改善加算の拡充(2026年6月施行)
- 補足給付の基準費用額のうちの食費部分、対象の一部利用者の自己負担額の引き上げ(2026年8月施行)
が実施されます。
改定率は2.03%の引き上げです。
内訳は処遇改善分が1.95%、基準費用額の引き上げ分が0.09%となっています。
なお、基本報酬などの見直しはありません。
上野賢一郎厚生労働相が同日、社会保障審議会に対して報酬改定の告示案について諮問し、その内容を厚労省が同分科会に説明しました。同分科会は内容について了承しています。
近日、社会保障審議会として改定の内容を認める旨が答申され、正式な告示までの手続きが進められる予定です。
1.介護職員等処遇改善加算の引き上げ全体像
当日の分科会ではまず、介護職員等処遇改善加算の全体像について説明がありました。
2026年度改定では、既存の介護職員等処遇改善加算の加算率が引き上げられるのに加え、上位区分が新設されます。
また、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援事業所にも介護職員等処遇改善加算が新設されます。
介護職員等処遇改善加算の既存対象サービスでは加算率の引き上げと上位区分の新設を実施
(【画像】第253回社会保障審議会・介護給付費分科会資料より)
既存の同加算の「引き上げ」分については、これまで「介護職員」の賃上げを実施するための加算率がサービス毎に設定されていましたが、今回の改定では賃上げの対象職種が拡充され、「介護従事者を対象に幅広く月1.0万円、率にして3.3%の賃上げを実現する」分、改定率が引き上げられます。
さらに、「上乗せ」分としては、同加算の上位区分である「(Ⅰ)ロ」と「(Ⅱ)ロ」が新設されます。 この新区分は、「生産性向上や協働化に取り組む」ことで算定できます。
新設の上位区分には介護職員の賃金をさらに月額7,000円(2.4%分)が上乗せできるよう加算率が設定されています。
なお、この「生産性向上や協働化にかかる取り組み」は「令和8年度特例要件」として設定されており、下位区分の算定を満たすために必要なキャリアパス要件(I)~(Ⅳ)や職場環境改善要件を満たしていない場合でも、年度内に要件を満たすことを申請時に提出する計画書上で宣誓することで算定が可能になります。

「令和8年度特例要件」(生産性向上や協働化にかかる取り組み)
以下のア~ウのいずれかを満たすこと
ア)【訪問、通所サービス等が対象】ケアプランデータ連携システムに加入+実績報告
イ)【施設サービス等 】生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの取得+実績報告
ウ)社会福祉連携推進法人に所属していること
※ケアプランデータ連携システムや生産性向上推進連携加算の算定は誓約で算定可能
見直し後の加算を上位区分まで算定した場合は、理論上、定期昇給を含めて最大1.9万円、6.3%分の介護職員の賃上げが実現することになります。
訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援等の算定要件は選択制
また、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援事業所には介護職員等処遇改善加算が新設されます。
こちらは、先述の「令和8年度特例要件」か「介護職員等処遇改善加算Ⅳに相当する要件」のどちらかを満たすことで算定できます。
「介護職員等処遇改善加算Ⅳに相当する要件」
(ア)から(ウ)までの要件を全て満たすこと。
- (ア)任用要件・賃金体系の整備等
次の一から三までを全て満たすこと。
一 職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(職員の賃金に関するものを含 む。)を定めていること。
二 一に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)に ついて定めていること。
三 一及び二の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての職員に周知していること。 ただし、常時雇用する者の数が10人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記三の要件を満たすこととしても差し支えない。また、申請時に上記一及び二の定めの整備を行うことを誓約した場合は、本補助金の申請要件の審査に 当たっては、基準月から当該要件を満たしたものと取り扱うこととする。当該誓約をした場合は、実績報告書において当該定めの整備を行った旨を報告することとする。
- (イ)研修の実施等
次の一及び二を満たすこと。
一 職員の職務内容等を踏まえ、職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関
する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること。
a 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFFJT等)を実施するととも
に、職員の能力評価を行うこと。
b 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
二 一について、全ての職員に周知していること。
ただし、申請時に上記一の計画を策定し、研修の実施又は研修機会の確保を行うことを誓約した場合は、本
補助金の申請要件の審査に当たっては、基準月から当該要件を満たしたものと取り扱うこととする。当該誓
約をした場合は、実績報告書において、当該計画の策定等を行った旨を報告することとする。
- (ウ)職場環境等要件
別紙1表5に掲げる「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに1以上の取組を実施し、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2以上の取組を実施すること。ただし、1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする。ただし、申請時に職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約した場合は、本補助金の申請要件の審査に当たっては、基準月から当該要件を満たしたものと取り扱うこととする。当該誓約をした場合は、実績報告書において、当該職場環境等要件に係る取組を行った旨を報告することとする。
各サービスの算定構造は、こちらで確認できます。
2.基準費用額の改定は2026年8月
近年の食材料費上昇を受け、2026年度の臨時介護報酬改定では、補足給付の基準費用額も見直されます。
介護保険施設等における食費部分の基準費用額と第3段階①⓶にあたる利用者の負担限度額が引き上げられます。

