厚生労働省の「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」では、介護保険給付の対象となる福祉用具貸与のルールの見直しについて集中的に検討を続けてきました。当初着目された、"福祉用具貸与のみを位置付けるケアプラン"の扱いについては、同検討会がまとめる報告書への記載が行われず、財務相の諮問機関が求めてきた2024年度報酬改定での対応は見送られる見通しです。
この報告書では、一定の条件下で貸与と販売の選択制の導入を検討するよう求めるなど、福祉用具の制度について根本的な見直しを働きかけています。報告書は、社会保障審議会・介護保険部会へ提出され、今後の制度改正に向けた検討の土台となります。
本検討会では、以下の3点を主な論点として様々な意見交換がなされてきました。
【1】福祉用具貸与・特定福祉用具販売の現状と課題を踏まえたあり方の検討 【2】福祉用具貸与・特定福祉用具販売に係る適正化の方策 【3】福祉用具貸与・販売に関する安全な利用の促進、サービスに質の向上等への対応
厚労省はこれまでの意見をもとに報告書案を提示し、5日の検討会で最終的な整理に向けた検討を求めました。
資料:介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会 これまでの議論の整理(案) 資料:介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会 これまでの議論の整理(案)概要版
報告書ではまず、現行の福祉用具貸与・特定福祉用具販売の制度を再整理する必要性について、総論を示しています。それは、主に、”人口構造が変化する中で制度の持続可能性をどのように確保していくのか”という観点に集約されます。
ただし、介護保険制度における”高齢者の自立支援”や”利用者自身による選択”という基本的な理念は普遍的なものです。こうした前提に立ち、「一部の貸与種目について貸与と特定福祉用具販売の選択を可能とするかどうか」検討を進めることと、その目的としては、利用者の自己決定に基づく「自己実現を図る機会の確保」があることも明示されました。
福祉用具貸与・特定福祉用具販売における「選択性」を導入する場合、その対象は、
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。