管理者の兼務制限など「ローカルルール」の見直しを提言 短時間勤務者の常勤換算も課題に

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人員配置基準に関するいわゆる“ローカルルール”について、9月30日に開かれた社保審・介護給付費分科会にて、見直しや統一化の検討を要請する声が多く聞かれました。

介護保険におけるローカルルールとは、各自治体ごとに法令や通知の解釈などが異なり、独自の制限や基準を設けることを指します。本分科会では「管理者の兼務範囲」に焦点を置き、下図事例に基づく議論が成されました。

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高松市長の大西秀人氏は同市で実際に設定しているローカルルールについて、「管理者が他の業務に従事する場合において、無制限に認めると業務過剰になる恐れがある。よって、同一敷地内でも事業所が異なれば認めないというルールを設定している」と提示。

そのうえで、「ローカルルールの実態の把握について何らかの調査を行うべきだが、その場合には地域の実情やそうせざるを得ない理由・背景を踏まえて調査してほしい」と進言しました。

一方、全国老人福祉施設協議会の小泉立志氏からは、行政担当者の指導の相違による報酬の返還など、多大なロスがでているという指摘がありました。特養では生活相談員とケアマネの兼務を認めない事例や、管理者要件の相違などが発生していると、現場の状況を共有しています。

このほか、人員基準そのものに差がある現状を危惧する意見や、一定の基準・ガイドラインを国から示してほしいとの要望も多数あり、今後の介護現場の実態に沿うような変更がなされることに期待がよせられています。

また、人員配置基準に関し、本審議会では育児休業・介護休業等による短時間勤務制度の利用者の位置づけについても議論が交わされました。

論点となったのは、短時間勤務を実施する人員の「常勤換算」について。診療報酬とは異なり、介護報酬においては、育児・介護休業制度利用者を週30時間以上の勤務で「常勤」とみなす特例が設けられていません。

この点について、深刻な人材不足への対応策として、介護報酬においても上記特例の設置を含めた柔軟な対応を容認する声が多く挙がりました。

その一方で、介護サービスの質の低下や、その他職員への負荷量の増大を不安視する声も。NPO法人高齢社会をよくする女性の会の石田路子氏は、「ただちに人を数を減らすという方向に流れていかないほうがいいのでは。柔軟な運用方法に重きをおいて検討を進めていくことが重要」と指摘しています。

引用:第186回社保審・介護給付費分科会「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」より

※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月2日掲載のものです。

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