社会保障審議会・介護給付費分科会では12月19日に審議報告が行われ、来年度の介護報酬改定における全サービスの個別項目が決まりました。
【訪問看護】については専門性の高い訪問看護の評価やターミナルケア加算の見直しなどが含まれています。審議報告より【訪問看護】および【介護予防訪問看護】の改定項目を取り上げます。
*こちらの内容は「カイポケ訪問看護マガジン」の記事の一部表現を変更して掲載しています
専門性の高い看護師が訪問看護・介護予防訪問看護を実施する場合やその計画的な管理を行うことに対する加算が新設されます。
要介護者等の円滑な在宅移行を推進するため、看護師が退院日等の当日に初回訪問することを評価する区分を新設します。
介護保険の訪問看護で提供するターミナルケアが医療保険で提供するケアと同様であることから、ターミナルケア加算の評価を見直します。
診療報酬における対応との整合性を図る観点から、離島等に居住する利用者の死亡診断に対してターミナルケア加算を算定し、看護師が情報通信機器を用いた死亡診断の補助を行った場合の評価を新設します。
居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全サービスにおいて、感染症・災害のどちらかまたは両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算されます。
ただし訪問看護は、前回報酬改定で感染症の予防・まん延防止のための指針の整備が義務化から間もないこと、災害に関する具体的計画の策定が求められていないことから、2025年度中は計画が未策定でも減算は適用されません。
※介護予防訪問看護の場合も同様です。
居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全サービスにおいて、利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、虐待の発生・再発防止の措置(対策委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬が減算されます。
施設系サービス、居住系サービスを除く全サービスにおいて、利用者の生命・身体保護上やむを得ない場合を除き、利用者の身体的拘束等が禁止されます。また、やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、拘束状態、拘束時間、心身の状況、拘束理由を記録することが義務付けられます。
歯科専門職と連携し、訪問看護で口腔衛生状態及び口腔機能の評価を実施し、利用者の同意の下の歯科医療機関・介護支援専門員への情報提供を評価する新たな加算を新設します。
人員配置基準等で必要数が定められた職種について、個人情報を適切に管理すること、利用者に支障が生じないこと等の条件を満たす場合、テレワークが可能になります。今後テレワークの取扱いの明確化や具体的な考え方が示されます。
緊急時訪問看護加算の24時間対応体制を充実させる観点から、夜間に対応する看護師等の勤務環境に配慮した場合を評価する区分が新設されます。
24時間対応(オンコール)で、看護師等に速やかに連絡できる体制等、サービス提供体制が確保されている場合に、看護師等以外の職員も利用者や家族からの電話を受けられるよう見直しを行います。
退院時共同指導加算で記載する指導内容を文書以外の方法で提供することが可能になります。
理学療法士等のサービス提供状況・サービス提供体制等の加算の算定状況に応じ、理学療法士等の訪問における基本報酬と12カ月を超えた場合の減算割合が見直されます。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定が適用されている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算、中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることが明確化されます。
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービス の確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定める対象地域の認定は、都道府県及び市町村から追加・除外の必要性等を聴取した上で見直しを行います。
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