「求人を出しても応募がない」「せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう」。
多くの中小介護事業所が、深刻な人材不足に頭を悩ませています。
今、求職者が見ているのは、給与や職場の雰囲気だけでなく「安心して長く働ける環境かどうか」を示す“福利厚生”です。 ハローワークや求人サイトの応募フォームに、「福利厚生」の欄にしっかりと記載があるかどうかで、応募率に差が出てくるという話もあるほどです。
「大手のような制度は無理…」と諦めていませんか?
今回の記事では、経営に工夫が問われる時代において、中小事業所だからこそ実現できる、福利厚生の導入・充実アイデアを紹介します。
また、求人において大切なのは、制度を整えるだけでなくそれを魅力的に伝えることです。
ぜひ最後までお読みいただき、求職者の心をつかんでください。
1.今すぐ始められる!予算ゼロのお手軽福利厚生7つのアイデア
福利厚生の導入というと、「住宅手当」や「保養所」など大がかりなイメージを持たれるかもしれません。 しかし、実は予算ゼロからでも、十分に魅力的な制度は作れます。
導入も簡単で、すぐに職場の空気が変わる“お手軽福利厚生”7選を紹介します。
1. 希望休制度の明文化 :職員の希望休をできる限り反映するルールを文書化。「休みが取りやすい職場」はそれだけで魅力的です。
2. ありがとうカード制度 :「いつもありがとう」「助かりました」など、感謝の気持ちをカードに書いて渡す制度。人間関係が温かくなります。
3. おやつの日・コーヒー無料デー :月に1回、みんなでおやつを食べたり、コーヒーが飲み放題の日を設けるだけでも、ちょっとした癒しになります。
4. 誕生日・記念日のギフト :500円程度のクオカードやメッセージカードを贈るだけでも、「覚えていてくれた」と感動してもらえることがあります。
5. 勤続表彰制度(簡易型) :5年・10年勤続で手作りの表彰状を渡すなど、形式だけでも「大切にされている」と感じてもらえる機会に。
6. 制服貸与・洗濯支援 :制服を自前で買うのではなく貸与し、洗濯も業者委託することで、職員の実質負担を減らせます。
7. 職員紹介制度(リファラル採用) :採用に至ったら紹介者に5,000円~1万円の謝礼を。外部広告費よりコスパがよく、信頼度の高い採用につながります。 これらの制度はまず、求職者に対して「やっていることが伝わるかどうか」が重要です。 求人票や面接時にしっかり伝えましょう。
2.少しの予算で“信頼される職場”に!導入価値のある福利厚生3選
予算をかけられる場合は、より実利のある福利厚生を整備することで、職員の満足度や安心感を大きく高めることができます。
①選択制企業型DC(確定拠出年金)
毎月3,000円〜の拠出で将来の資産形成を支援する制度です。
給与とは別に、将来のためのお金を積み立てることができるという安心感は、特に若手職員にとって魅力的です。
「退職金制度がある」と求人票に書けるだけでも、応募者の印象が変わります。
② 資格取得支援制度(+助成金活用)
「介護福祉士国家試験」や「実務者研修」などの受講費用を事業所が補助する制度です。
キャリアアップ助成金を活用すれば、事業所の実質負担は大きくありません。
「この職場で働けば、成長できる」と感じられる仕組みが、離職防止にも効果を発揮します。
③ 医療保険制度(入院・手術保障付き)
月500~1,000円程度の医療保険に、会社が加入支援(または一部補助)する制度です。
中高年の職員が多い事業所では、実際に保険金を受け取った職員から「この保険、ほんと助かった」と喜びの声が上がることも。
それが他の職員にも伝わり、制度の価値が“実感”として共有されていきます。
“体験から広がる福利厚生”は、紙に書かれた制度以上の力を持ちます。
3.「制度がある」だけではダメ!“伝え方”で福利厚生に命を吹き込む
制度を整えても、求職者にその価値が伝わっていなければ意味がありません。
「福利厚生あり」と一言書くだけでなく、具体的な内容を明示し、求職者に「職場の雰囲気」を伝えることが大切です。
たとえば――
- 求人票に「〇〇制度あり」と明記する
- 自社HPやブログで制度を紹介する
- SNSで、表彰や誕生日の様子を写真つきで発信する
- 面接時に「実際の利用者の声」を伝える といった伝え方が有効です。
“中身”よりも“伝え方”で、制度が活きてくるのです。
4.まとめ ― 福利厚生は単なる仕組みではなく従業員へのメッセージ
福利厚生とは従業員に対し、「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを形にする手段です。
たとえ費用は少額であっても、その想いが伝われば、職員の満足度は大きく向上します。
中小企業だからこそできる、丁寧で柔軟な制度の導入が、いま求職者に選ばれる理由になります。
「大手だからできる」「うちは小さいから無理」と決めつけず、まずは1つ、今の職場に合った制度を整えることから始めてみませんか?
求職者から“選ばれる介護事業所”になるための第一歩は、意外と近くにあるのかもしれません。
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