1月18日に第199回社保審・介護給付費分科会が開催され、2021年度介護報酬改定の単位数など、改定案の内容が明らかになりました。【看護小規模多機能型居宅介護】の介護報酬改定について、単位数や算定要件の詳細を一覧でお知らせします。
・同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合要介護1:現行 12,401単位 ⇒ 改定後 12,438単位
要介護2:現行 17,352単位 ⇒ 改定後 17,403単位
要介護3:現行 24,392単位 ⇒ 改定後 24,464単位
要介護4:現行 27,665単位 ⇒ 改定後 27,747単位
要介護5:現行 31,293単位 ⇒ 改定後 31,386単位
・同一建物に居住する者に対して行う場合要介護1:現行 11,173単位 ⇒ 改定後 11,206単位
要介護2:現行 15,634単位 ⇒ 改定後 15,680単位
要介護3:現行 21,977単位 ⇒ 改定後 22,042単位
要介護4:現行 24,926単位 ⇒ 改定後 25,000単位
要介護5:現行 28,195単位 ⇒ 改定後 28,278単位
要介護1:現行 568単位 ⇒ 改定後 570単位
要介護2:現行 635単位 ⇒ 改定後 637単位
要介護3:現行 703単位 ⇒ 改定後 705単位
要介護4:現行 770単位 ⇒ 改定後 772単位
要介護5:現行 836単位 ⇒ 改定後 838単位
新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、全てのサービスについて、2021年4月~9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せとなります。
緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、「認知症行動・心理症状緊急対応加算」が新たに創設されます。
認知症行動・心理症状緊急対応加算…200単位/日(新設)
・医師が、認知症の行動・心理症状が認められるため、在宅での生活が困難であり、緊急に短期利用居宅介護を利用することが適当であると判断した者に対し、サービスを行った場合
・利用を開始した日から起算して7日間を限度として算定
緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、事業所の登録定員に空きがあること等を要件とする登録者以外の短期利用(短期利用居宅介護費)について、登録者のサービス提供に支障がないことを前提に、宿泊室に空きがある場合には算定が可能となります。
・利用者の状態や利用者家族等の事情により、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(介護予防支援事業所の担当職員)が緊急に必要と認めた場合であって、(介護予防)小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が、登録者のサービス提供に支障がないと認めた場合であること・人員基準違反でないこと・あらかじめ利用期間を定めること・サービス提供が過少である場合の減算を算定していないこと・「登録者の数が登録定員未満であること」 は削除
7日以内(利用者家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14日以内)
個室(7.43㎡/人以上)または個室以外(おおむね7.43㎡/人でパーティションや家具などによりプライバシーが確保されたしつらえ)
登録者の宿泊サービスの利用者と登録者以外の短期利用者の合計が、宿泊定員の範囲内で、空いている宿泊室を利用するものであること
市町村が認めた場合に過疎地域等において、登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間行わないことが可能となります。
<現行>登録定員及び利用定員を超えてサービス提供はできない⇒ <改定後>登録定員及び利用定員を超えてサービス提供はできない。ただし、過疎地域その他これに類する地域において、地域の実情により効率的運営に必要であると市町村が認めた場合は、一定の期間(※)に限り、登録定員及び利用定員を超えてサービス提供ができる
<現行>登録者数が登録定員を超える場合、翌月から、定員超過が解消される月まで、利用者全員30%/月を減算する⇒ <改定後>市町村が認めた時から、一定の期間(※)に限り、減算しない
一定の期間とは、市町村が登録定員の超過を認めた時から介護保険事業計画期間終了までの最大3年間を基本とする。
離島や中山間地域等の要介護者に対する介護サービスの提供を促進する観点から、「特別地域加算」と「中山間地域等における小規模事業所加算」の対象となります。
特別地域加算…所定単位数に15/100を乗じた単位数
中山間地域等における小規模事業所加算…所定単位数に10/100を乗じた単位数
厚生労働大臣が定める地域(※1)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合※1:①離島振興対策実施地域、②奄美群島、③振興山村、④小笠原諸島、⑤沖縄の離島、⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域
厚生労働大臣が定める地域(※2)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合※2:①豪雪地帯及び特別豪雪地帯、②辺地、③半島振興対策実施地域、④特定農山村、⑤過疎地域
介護職員等による口腔スクリーニングの実施を評価する観点から、現行の「栄養スクリーニング加算」が見直され、「口腔・栄養スクリーニング加算」が新設されます。
<現行>栄養スクリーニング加算:5単位/回⇒ <改定後>口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ):20単位/回(新設)口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ):5単位/回(新設)
算定要件は以下①②の2点です。このうち、加算Ⅰは①②のいずれも適合すること、加算Ⅱは①または②のどちらかに適合することが求められます。加算Ⅱは、併算定の関係で加算Ⅰが取得できない場合に限り取得可能です。
① 当該事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態について確認を行い、当該利用者の口腔の健康状態に関する情報を、当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること
② 当該事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報(当該利用者が低栄養状態の場合にあっては、低栄養状態の改善に必要な情報を含む)を、当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること
<現行>口腔機能向上加算:150単位/回 ⇒<改定後>口腔機能向上加算(Ⅰ)変更なし
口腔機能向上加算(Ⅱ)160単位/回(新設)
・口腔機能向上加算(Ⅰ)の取組に加え、利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省に提出し、口腔機能向上サービスの実施に当たって、当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・加算Ⅰ・Ⅱの併算定は不可
・3月以内の期間に限り、1月に2回を限度とする
管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取り組みを一層強化する観点から、「栄養改善加算」の単位数の見直しと「栄養アセスメント加算」が新設されます。
<現行>栄養改善加算:150単位/回⇒<改定後>200単位/回(原則3月以内、月2回を限度)
栄養アセスメント加算:50単位/月(新設)
栄養改善サービスの提供に当たって、必要に応じ居宅を訪問することを新たに求める
・当該事業所の従業者、または外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること
・利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して栄養アセスメントを実施し、当該利用者又は家族に対して結果を説明し、必要に応じ相談等に対応すること
・利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、栄養管理の実施に当たって、当該情報その他栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・口腔・栄養スクリーニング加算Ⅰ、栄養改善加算との併算定は不可
CHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用により、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを推進する観点から、「科学的介護推進体制加算」が新設されます。
科学的介護推進体制加算…40単位/月(新設)
・入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること
・サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
なお、2021年度より、CHASE・VISITを一体的に運用するにあたって、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、以下の統一した名称が用いられる予定です。
科学的介護情報システム「LIFE(ライフ)」(Long-term care Information system For Evidence)
褥瘡マネジメント加算について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>褥瘡マネジメント加算:10単位/月⇒<改定後>褥瘡マネジメント加算(Ⅰ):3単位/月(新設)褥瘡マネジメント加算(Ⅱ):13単位/月(新設)
①入所者等ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
②①の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等ごとに、医師、看護師、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員等が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していること
③入所者等ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者等の状態について定期的に記録していること
④①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等について、褥瘡の発生のないこと。
・加算ⅠとⅡの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・3月に1回を限度としていた点が見直され、毎月の算定が可能となる
排せつ支援加算について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>排せつ支援加算:100単位/月⇒<改定後>排せつ支援加算(Ⅰ):10単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅱ):15単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅲ):20単位/月(新設)
①排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも6月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
②①の評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施していること
③①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに支援計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、または、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
・加算Ⅰ~Ⅲの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・6月を限度としていた点が見直され、6月を超えて算定が可能となる
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する観点から、新たな評価区分の新設と区分の統合が行われます。
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)…750単位/月(新設)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)…640単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)…350単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)…25単位/日(新設)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)…21単位/日
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)…12単位/日
・加算Ⅰは、介護福祉士が70%以上、または、勤続10年以上の介護福祉士が25%以上のいずれかに該当すること
・加算Ⅱは、介護福祉士が50%以上であること
・加算Ⅲは、介護福祉士が40%以上、または、常勤職員が60%以上、または、勤続7年以上の職員が30%以上、のいずれかに該当すること
処遇改善加算や特定処遇改善加算の職場環境等要件について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取り組みがより促進されることが求められます。
・職員の新規採用や定着促進に資する取り組み・職員のキャリアアップに資する取り組み・両立支援・多様な働き方の推進に資する取り組み・腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取り組み・生産性の向上につながる取り組み・仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取り組み
職場環境等要件に基づく取り組みの実施について、当該年度における取り組みの実施が求められます。
小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、平均の賃金改善額の配分ルールについて、以下の見直しが行われます。
・「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」⇒「より高くすること」に見直し
つまり、「2倍以上」という制限がなくなり、より柔軟な配分が可能となります。
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて廃止されます。その際に、2021年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業所については、1年の経過措置期間が設けられます。
利用者の公平性の観点から、同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の見直しが行われます。
・同一建物減算等の適用を受ける利用者の区分支給限度基準額の管理については、減算の適用前(同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合)の単位数を用いる
・大規模型を利用する者の区分支給限度基準額の管理については、通通常規模型の単位数を用いる
引用:第199回社保審・介護給付費分科会「資料1令和3年度介護報酬改定の主な事項」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。