看護師定着と売上獲得を叶えるための考え方―理論に基づく訪問看護経営(2)

2022.08.05
2022.08.09
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前回は、既存事業として介護事業を手掛けている事業者が、新規事業として訪問看護ステーションを立ち上げる際にどのようなシナジーが得られるのか、そして何故訪問看護の立ち上げがうまくいかないのか説明してきました。
今回は、円滑な訪問看護ステーション運営を阻む2つの課題を整理し、それらを解決するためのヒントとして、サービスプロフィットチェーンという考え方をご紹介していきます。

目次
    訪問看護ステーション運営を阻む2つの課題
      サービスプロフィットチェーンとは
        サービスプロフィットチェーンを実現するために

        訪問看護ステーション運営を阻む2つの課題

        訪問看護ステーション運営の難しさを引き起こしている主な要因としては、2つの要素を指摘することができます。

        一つ目は、看護師の採用の困難さと離職率の高さです。
        訪問看護師の有効求人倍率は2019年時点で3.1倍(*1)となっています。全職種の有効求人倍率が1.46倍ですので、採用の難しさが際立っています。また、離職率は病院の看護師が平均10%程度ですが、訪問看護師は平均15%前後(*2)となっており、高くなっています。

        こうした環境の中で、採用してもすぐに看護職員が辞めてしまうと、またすぐに採用をしなければ設置基準の2.5人を下回ってしまい、ステーション運営ができなくなってしまいます。その弊害として、

        ・紹介会社等を頻繁に使って採用コストが高まる
        ・人材が定着しないことで安定したサービス提供が困難になる。さらにその結果として、連携機関からの信頼を得られずに利用者確保ができない
        という悪循環に陥ってしまいがちです。

        二つ目は、利用者獲得の難しさです。
        訪問看護の市場環境については、ステーション数が多く激戦区の地域もあれば、競合がほぼいない地域もあります。しかし、そのどちらにおいても利用者獲得は難しいものです。

        激戦区では厳しい獲得競争を勝ち抜かなければなりません。一方で、訪問看護ステーションがあまり無い地域では、競合が少ないですが顕在顧客も少なく、そもそも訪問看護というサービス自体の認知が乏しい場合があります。そうした際には、サービス提案やニーズの掘り起こしからしなければ利用者獲得につながりません。

        まとめると、訪問看護ステーション運営における大きな課題は人材確保と売上に関するものだと言えます。

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