2021年度の介護報酬改定では、介護老人保健施設(以下、老健)のターミナルケア加算について、区分の新設や要件の追加があります。2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
老健において、医師が回復の見込がないと判断した入所者に対して、人生の最期の時までその人らしさを維持できるように、入所者や家族の意思を尊重して、医師、看護師、看護職員が連携を保ちながら看取りをする場合に算定する加算です。
2021年度の介護報酬改定では、中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、現行の死亡日以前30日前からの算定に加えて、それ以前の期間の対応を評価する区分が新設されます。
①死亡日45日前~31日前の対応を評価する区分が新設(80単位/日)
②現行の評価区分、単位数は変更なし
③算定要件に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組が追加
④看取りに関する協議の場の参加者として「支援相談員」を明記
(介護老人保健施設)死亡日30日前~4日前:160単位/日死亡日前々日、前日:820単位/日死亡日:1,650単位/日
(介護療養型老人保健施設)死亡日30日前~4日前:160単位/日死亡日前々日、前日:850単位/日死亡日:1,700単位/日
(算定要件)・医師、看護職員、介護職員等が共同して、随時本人またはその家族に対して十分な説明を行い、合意をしながら、その人らしさを尊重した看取りができるよう支援すること
・本人またはその家族に対する随時の説明に係る同意については、 口頭で同意を得た場合は、その説明日時、内容等を記録するとともに、同意を得た旨を記載しておくこと※本人が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族に連絡しても来てもらえないような場合も、医師、看護職員、介護職員等が入所者の状態等に応じて随時、入所者に対するターミナルケアについて相談し、共同してターミナルケアを行っていると認められる場合には、ターミナルケア加算の算定が可能。この場合には、適切なターミナルケアが行われていることが担保されるよう、職員間の相談日時、内容等を記録するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来てもらえなかった旨を記載しておくことが必要。 なお、施設としては、一度連絡を取って来てくれなかったとしても、定期的に連絡を取り続け、可能な限り家族の意思を確認しながらターミナルケアを進めていくこと
・本人またはその家族が個室でのターミナルケアを希望する場合には、意向に沿えるよう考慮すべきであること※個室に移行した場合の入所者については、平成17年9月30日において従来型個室に入所している者であって、平成17年10月1日以後引き続き従来型個室に入所するもの(別に厚生労働大臣が定める者に限る)に対して、介護保健施設サービス費を支給する場合は、当分の間、介護保健施設サービス費(Ⅰ)の介護保健施設サービス費(iii)<多床室>【基本型】若しくは(iv)<多床室>【在宅強化型】、介護保健施設サービス費(Ⅱ)の介護保健施設サービス費(ii)<多床室>【療養型】、介護保健施設サービス費(Ⅲ)の介護保健施設サービス費(ii)<多床室>【療養型】または介護保健施設サービス費(Ⅳ)の介護保健施設サービス費(ii)<多床室>を算定する。
(入所者基準)・医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること
・入所者またはその家族等の同意を得て、当該入所者のターミナルケアに係る計画が作成されていること
・医師、看護師、介護職員等が共同して、入所者の状態または家族の求め等に応じ随時、本人またはその家族への説明を行い、同意を得て、ターミナルケアが行われていること
(留意点)・死亡前に他の医療機関等に移った場合または自宅等に戻った場合、当該施設においてターミナルケアを直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定することができない
・施設を退所した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能であるが、ターミナルケア加算は死亡月にまとめて算定することから、入所者側にとっては、当該施設に入所していない月についても自己負担を請求されることになる。入所者が退所する際、退所の翌月に亡くなった場合には、前月分のターミナルケア加算に係る一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ておくことが必要
・施設退所の後も、継続して入所者の家族指導等を行うことが必要であり、入所者の家族等との継続的な関わりの中で、入所者の死亡を確認することが可能
・外泊または退所の当日についてターミナルケア加算を算定できるかどうかは、当該日に所定単位数を算定するかどうかによる。 したがって、入所者が外泊した場合(外泊加算を算定した場合を除く)には、当該外泊期間が死亡日以前30日の範囲内であれば、当該外泊期間を除いた期間について、ターミナルケア加算の算定が可能
(介護老人保健施設)死亡日45日前~31日前: 80単位/日(新設)死亡日30日前~4日前:160単位/日死亡日前々日、前日:820単位/日死亡日:1,650単位/日
(介護療養型老人保健施設)死亡日45日前~31日前: 80単位/日(新設)死亡日30日前~4日前:160単位/日死亡日前々日、前日:850単位/日死亡日:1,700単位/日
(算定要件)・医師、看護職員、介護職員、支援相談員等が共同して、随時本人またはその家族に対して十分な説明を行い、合意をしながら、その人らしさを尊重した看取りができるよう支援すること
・本人またはその家族に対する随時の説明に係る同意については、 口頭で同意を得た場合は、その説明日時、内容等を記録するとともに、同意を得た旨を記載しておくこと※本人が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族に連絡しても来てもらえないような場合も、医師、看護職員、介護職員、支援相談員等が入所者の状態等に応じて随時、入所者に対するターミナルケアについて相談し、共同してターミナルケアを行っていると認められる場合には、ターミナルケア加算の算定が可能。この場合には、適切なターミナルケアが行われていることが担保されるよう、職員間の相談日時、内容等を記録するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来てもらえなかった旨を記載しておくことが必要。 なお、施設としては、一度連絡を取って来てくれなかったとしても、定期的に連絡を取り続け、可能な限り家族の意思を確認しながらターミナルケアを進めていくこと
・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと(追加要件)
・施設サービス計画の作成にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること(追加要件)
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。