政府方針に介護の処遇改善・公定価格の引き上げを明記―2025年骨太の方針

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政府は6月13日、2025年版の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定しました。

「賃上げこそ成長戦略の要」と表明し、介護や医療、福祉分野等の公定価格の引き上げを省庁横断的に推進するとしています。

公定価格の引き上げを省庁横断で推進

骨太の方針は、各年度の予算編成や政策の基準になる文書です。

国の経済政策や財政運営において優先して対応すべき課題を定めていて、社会保障分野の政策動向にも大きく影響します。

例えば2024年の同方針には、高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題や、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介業などに対する対策の必要性が掲げられ、現在、これらに対する規制の強化に向けた検討が進んでいるところです。

2025年度版は業界を越えた「賃上げを起点とした成長型経済」の実現に重きが置かれています。特に中小企業や小規模事業者の賃上げを促すため、国として生産性向上の促進や事業承継・M&Aの後押しなどに取り組むことが明言されていて、介護事業者もこの対象になります。

社会保障分野については個別の言及もあり、「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と方向性が示されました。

物価上昇を上回る賃金上昇を政府自ら率先していくという文脈でも、介護や医療、保育、福祉分野の公定価格の引き上げは「省庁横断的に推進する」事項として整理されています。

軽度者への生活援助・ケアプラン有料化など長年の検討事項に2025年度中に結論

一方で、2027年度の介護報酬改定に向けて歳出や保険料負担を抑える必要性も改めて強調しています。

具体的な切り口内容は、2024年12月にとりまとめられた「経済・財政新⽣計画」に期限付きですでに整理されており、方針に変更はありません。

25年度中に取り組むべきものとしては

  • ケアマネジメントに関する給付の在り方(10割給付の見直し)
  • 軽度者(要介護1及び2の利用者)への生活援助サービス等に関する給付の在り方
  • 利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し

などがあります。

(【画像】2024年12⽉26⽇経済財政諮問会議「経済・財政新⽣計画 改⾰実⾏プログラム2024」より)

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